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Top > 診療のご案内 > 眼科 > 糖尿病網膜症について > 糖尿病網膜症について2
  • 疾患説明シリーズ Part1 緑内障について
  • 疾患説明シリーズ Part2 網膜前膜について
  • 疾患説明シリーズ Part3 流涙について
  • 疾患説明シリーズ Part4 加齢黄斑変性について
  • 疾患説明シリーズ Part5 多焦点眼内レンズと乱視用眼内レンズ
  • 疾患説明シリーズ Part6 網膜血管閉塞疾患について
  • 疾患説明シリーズ Part7 円錐角膜について
  • 疾患説明シリーズ Part8 糖尿病網膜症について
  • 疾患説明シリーズ Part9 強度近視眼底
  • 疾患説明シリーズ Part10 網膜色素変性症について
  • 疾患説明シリーズ Part11 飛蚊症と網膜剥離
  • 疾患説明シリーズ Part12 角膜疾患
  • 疾患説明シリーズ Part13 斜視について
  • 疾患説明シリーズ Part14 ドライアイについて
  • 疾患説明シリーズ Part15 黄斑円孔について
  • 疾患説明シリーズ Part16 ぶどう膜炎について
  • 疾患説明シリーズ Part17 眼瞼疾患について
  • 疾患説明シリーズ Part18 ロービジョンについて
  • 疾患説明シリーズ Part19 眼圧、緑内障、視野検査について
  • 疾患説明シリーズ Part20 色覚異常について
  • 疾患説明シリーズ Part21 弱視、およびその治療
  • 疾患説明シリーズ Part22 硝子体注射について

ツカザキ病院眼科 疾患説明シリーズ Part8 糖尿病網膜症について ツカザキ病院眼科 疾患説明シリーズ Part8 糖尿病網膜症について

治療について

  • 田淵
    注射治療はどんなものなんでしょうか。薬価が非常に高く、繰り返して行わなければならない点について先生のお考えをお聞かせ下さい。
    大原
    血管内皮増殖因子(VEGF)という物質があります。これは、強力な血管透過性亢進と血管新生の作用を持つ物質ですが、増殖網膜症や黄斑浮腫では、このVEGFの眼内での濃度が上昇しています。このVEGFを阻害する薬を、眼内に注射する治療です。黄斑浮腫の治療薬として、たいへん注目されています。現在(H28年9月)は、ルセンティスおよびアイリーアという薬が認可されており、これらの薬を眼内に注射することが糖尿病黄斑浮腫の標準治療となっています。有効な薬であることは間違いないのですが、非常に高価であることと繰り返しの投与が必要で、患者さんの負担の面、医療財政の面からも少し問題があるとは思っています。他の治療方法を組み合わせて、注射回数を減らすことができるかというのが課題です。
  • 糖尿病黄斑浮腫の治療前と治療後の高深達OCT所見 糖尿病黄斑浮腫の治療前と治療後の高深達OCT所見
    [ 糖尿病黄斑浮腫の治療前と治療後の高深達OCT所見 ]
    治療前の写真では、図の中央部が山なりになっていて、嚢胞が形成されている事が一目瞭然です。治療後には、治療前とは逆に盆地状の形状になっています。これが本来の黄斑部(目の中心部)の構造に近い構造である。抗VEGF剤硝子体注射治療によって、視力は治療前0.3から治療後に0.7まで回復しました。
  • 田淵
    一方で、黄斑虚血という状態もありますよね。これもまた厳しい状態といいますか。
    大原
    血管障害が進行すると毛細血管が閉塞していきますが、黄斑部でこの血管閉塞がおこっていくと虚血性黄斑症です、限局した閉塞では視力は維持されていますが、ある程度進行すると視力が下がってしまいます。現在のところこの病態に対する有効な治療方法はなく、回復不能です。
  • 糖尿病黄斑浮腫の治療前と治療後の高深達OCT所見 糖尿病黄斑浮腫の治療前と治療後の高深達OCT所見
    [ 糖尿病網膜症による虚血性黄斑症と正常黄斑部 ]
    虚血性黄斑症眼では、正常黄斑部に比較して全体に網膜が薄くなり、なだらかに盆地状となる正常黄斑構造がほぼ消失しています。このような虚血性黄斑症では重篤な視力障害が恒久的になります。

前増殖網膜症について

  • 田淵
    さて、進行してしまう糖尿病網膜症のコースで、最初にレーザー治療の選択になる前増殖網膜症に
    ついて少し詳しく解説して下さい。
    大原
    持続する高血糖により、血管が障害されます。まず、血管透過性の亢進する段階が単純網膜症、微小血管が閉塞、消失していく段階が増殖前網膜症です。この増殖前網膜症の段階から治療が開始されます。具体的にいうと、血管が閉塞したところ(無灌流領域といいます)にレーザーを打ちます。広範囲に無還流領域が認められる場合には、眼底全体にレーザーを打ちます。さらに進行すると、新生血管といわれる異常血管が出てきます。増殖網膜症の段階です。この増殖網膜症に至るのを抑制するのが治療目的です。
  • 田淵
    この段階でとどまるという事はどうでしょう。先生の長年の経験では、レーザーでコントロールできた
    と思う方の割合はどんなもんでしょうか。
    大原
    残念ながら来なくなってしまう患者さんもいらっしゃいますし、経過も長いので難しいですが、7~8割くらいは維持されているのではと思っていますが、今後進行していく可能性もありますし、どうでしょう?もちろん血糖コントロールの状況で大きく変わってきます。やはり、血糖コントロールの良い方は、定期的にちゃんと受診してくれる方も多くて、進行があってもレーザーを追加することでコントロールできている場合がほとんどだと思います。
  • 田淵
    ご本人さんの自覚症状的にはどうでしょうか。
    大原
    黄斑浮腫などを合併していないなら、自覚症状はほぼありません。先に述べたことにつながりますが、自覚症状がないので来なくなってしまう患者さんもいらっしゃいますが、網膜症は進行している場合がありますから、必ず定期的に受診していただきたいです。

手術について

  • 田淵
    その次の段階に進むといよいよ増殖網膜症という状況になって、硝子体手術が必要になる事が多くなります。
    その手術適応について先生のお考えをお聞かせ下さい。
    大原
    以前は遷延する硝子体出血、黄斑部におよぶ牽引性網膜剥離が手術適応でしたが、網膜剥離がなくても増殖膜の牽引が黄斑部へおよぶようなものも適応になるかと思います。また日本では、黄斑浮腫に対しても、硝子体手術が施行されることがあります。硝子体手術の機械や器具、技術の向上により、一昔前よりもやや適応が広くなっています。
    レーザー治療のされていない硝子体出血も、依然よりはあまり待たずに早期に手術する傾向にあります。ぼくもそのようにしています。
  • 田淵
    硝子体手術はどうですか、患者さんは術中は問題なく受けてくれますか?
    PDRの手術となるといろいろ手技も複雑になる気がしますが、ちょっとどんな事を一般的に行うのか説明してもらえますか。
    大原
    先に述べたように、手術技術、器具の進歩により以前より、手術時間が短くなりました。ほとんどの患者さんは問題なく受けてくれます。
    眼内の出血で濁ってしまった硝子体をできるだけきれいに切除除去し、網膜上の増殖膜もできるだけきれいに切除します。黄斑浮腫がある人は、内境界膜という膜を剥離除去することがあります。手術終了時の眼の中の状態によっては、空気や、ガスまたはシリコンオイルなどを眼内に注入することがあります。また、増殖糖尿病網膜症で硝子体手術をする場合は、ほとんどの方は白内障手術も同時に施行しています。
  • 重症糖尿病網膜症で生じる牽引性網膜剥離に対する硝子体手術治療 重症糖尿病網膜症で生じる牽引性網膜剥離に対する硝子体手術治療
    [ 重症糖尿病網膜症で生じる牽引性網膜剥離に対する硝子体手術治療 ]
    牽引性網膜剥離は、糖尿病網膜症が極度に進行した場合に生じる病態です。図の中央部の赤丸(視神経乳頭)から下方に太い帯状の増殖膜(白矢印)が張っているのが分かります。Swept –Source OCT像(高深達OCT)では、このような分厚い膜状変化の場合でも網膜中心部(黄斑部)の剥離像(白矢印)が明確に検出できます。この症例は、硝子体手術を施行し、汎網膜光凝固術も併用しました。その結果、写真でお示しするように網膜の復位が得られ、糖尿病網膜症の悪化も抑制する事ができました。
  • 田淵
    厳しい状況からの手術になると、下向き姿勢を術後に取らないといけないので、そのあたりも苦しい事はあると思いますが。
    大原
    手術終了時にガスや空気を注入すると術後に下向き姿勢にならないといけなくなります。術後の網膜剥離を予防するために、そのようにしていただくことがほとんどです。下向き姿勢は、本当につらく大変なことですので、そうならないことが一番ですが、細心の注意を払っていても、それらを注入しなければいけない状況になりえます。患者さんには申し訳ありませんが、ご理解いただきたいです。
  • 田淵
    患者さんに病気の持つ深刻さと、何をすれば良いのかという正確な情報の両面がきちんと伝わる事が
    大原先生の切なる願いだと思うんですが、そのために先生が心がけていることを教えて下さい。
    大原
    丁寧な説明です。できる限り、検査所見などもみてもらいながら、ご理解いただけるまで根気強く説明しています。硝子体手術が必要な患者さんに対しては、時間をとって特に丁寧に説明するようにしています。
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