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ツカザキ病院眼科 疾患説明シリーズ Part14 ドライアイについて ツカザキ病院眼科 疾患説明シリーズ Part14 ドライアイについて

はじめに
ドライアイについて
眼の表面のうるおいが少なく乾燥して、黒目の表面に肌荒れのような状態が生じます。
乾燥感、異物感、充血、流涙、かすみ眼、視力低下など、あらゆる症状を自覚します。
眼精疲労の主要な原因疾患でもあります。
ドライアイの症状 図 ドライアイの症状 図
原因は?
涙の分泌量が減少すること、あるいは涙の成分に異常をきたすことが主な原因とされています。
涙液分泌量の減少の原因は様々あり、コンピュータのモニター作業による瞬きが極端に減少すること、あるいはエアコンを動作させることにより乾燥した室内にいたり、コンタクトレンズの装用、季節による空気の乾燥具合など、周りの環境、生活習慣が原因となることがあります。
また、環境以外にもムチンというタンパク質の量が、減ることで、涙が不安定になったり、マイボーム腺と呼ばれる脂分の産出腺が梗塞して涙液蒸発量が増加することが原因であったり、シェーグレン症候群という全身疾患が背景にある場合もあります。
涙の成分が安定しない場合、涙の量は正常に分泌されているのにすぐに乾燥してしまい、結果ドライアイと診断されるケースもあります。
治療・当科では 治療・当科では
まずは、主な原因を把握するために涙液分泌量を検査で計測し、角膜の状態を顕微鏡で診察して診断します。
検査の結果を診て、その人にあった多様な治療方法を検討します。
人工涙液点眼、保湿点眼、涙点プラグ治療、涙点閉鎖術など、あるいはそれを組み合わせて眼表面の状態の正常化をはかります。
当科では、ドライアイの専門医が外来を開いています。
眼の表面の病気は、眼科診療の中でも複雑で特殊な難しい専門分野です。
眼の乾燥が気になる時は、一度専門医の診察を受けてみては如何でしょうか。
本日は、当科で教育担当として、ドライアイに対する外科治療を積極的に行っている丸岡先生にお話を伺います。
本日は、当科で教育担当として、ドライアイに対する外科治療を積極的に行っている丸岡先生にお話を伺います。

ドライアイについて

  • 田淵
    ドライアイという病気は、相当一般的になったといいますか、眼科の病気の中でもポピュラーですね。
    眼科的な診断基準をまず説明して頂けますか。
    丸岡
    3つの項目になります。
    まず一つ目に自覚症状、涙液の異常、そして角結膜上皮の異常つまり目の表面の異常になります。
  • 田淵
    病名として診断をつけるには、少し複雑な条件があるんですね。
    診断のための検査についてもう少し詳しく説明して下さい。
    丸岡
    涙液の異常としては、シルマー検査といって涙液の分泌が実際どれくらいあるのかという検査で紙を眼に挟んで濡れてくる量で涙液の分泌量を計ります。またBUT検査は眼表面に涙がのった時にどれくらいの時間ではじけてくるかを測る検査で、診察の際に行う検査です。眼の表面の異常も診察で涙の状態を見る際にフルオレセイン染色をするのですが、眼の表面にある傷の状態を詳しく見ることができ、評価します。
  • 田淵
    ドライアイと診断された場合にはどのような治療があるんでしょうか。
    丸岡
    まず基本は、涙液を補うところから始めます。一番眼表面にやさしい防腐剤フリーのソフトサンテアが基本です。
    これだけでもずいぶん楽になる人が多いです。
    単純に補うだけでは追いつかない人には、涙の質を変えるような点眼液がいくつか出てきているのでその人の涙に合わせて、
    涙の質の改善を図ります。
    それでも難しい場合は、少ない涙でも溜まり易いような環境を作るためにプラグで涙点をふさいでやったり、結膜にたるみが出て眼表面に上手に涙が溜まれない状態になっているのを結膜を整えてあげることで、改善を図ります。
    涙に含まれる油が少ない人には、ホットパックや軟膏も効果的です。
  • [ドライアイの患者さんの角膜染色写真] [ドライアイの患者さんの角膜染色写真] [ドライアイの患者さんの角膜染色写真]

    乾燥に起因する角膜表面の細かなでこぼこに貯留した蛍光染色剤が蛍光照明によって発光する事で、角膜表面のびらん状態が視覚化している。左図ではあまり明らかではない角膜表面上の点状発光が、中央図や右図では数、範囲ともに増加している事が分かる。

  • 田淵
    なるほど、点眼治療が効かなかった場合の次の段階の治療もあるということですね。最近になって、薬効作用が異なった種類の点眼剤が複数使用できるようになりましたが、解説して頂けますか。
    丸岡
    ヒアルロン酸の点眼薬は、主に保湿です。水分を含んでとどめやすくするという役割です。
    ムチンを増やす点眼薬は、水分を眼表面にくっつきやすくするという役割です。
    涙液を増やす点眼薬は、効く人と効かない人がいますが、涙液の分泌を増やしてくれます。
  • 田淵
    点眼剤の種類がいくつもあってその組み合わせには専門的な診断と治療が必要だと感じますね。
    ツカザキ病院眼科でも点眼剤が複数使用できるようになったのと合わせてドライアイ外来を専門外来として立ち上げた経緯があります。
  • 田淵
    点眼剤を用いた治療の際に、注意しないといけないのが薬剤性の角膜障害ですね。特にドライアイ患者さんの場合は、点眼治療がかえって問題を引き起こしやすいという事があると思うんですが、いかがでしょうか。
    丸岡
    それは、診療をしていてとても強く感じます。
    なので、ソフトサンテアという防腐剤フリーの点眼薬がまず基本なのですが、どうしても治療薬にひかれてしまい、ソフトサンテアの点眼を怠る人が多く、再度診察で説明することが多いです。
  • 田淵
    防腐剤にも種類がありますし、それらが入っていない角膜治療剤を時と場合によって使用していくという事になりますね。点眼剤の薬効成分以外にも、防腐剤の種類によっても違いがあって、実際の臨床での使用の組み合わせは相当に複雑ですね。
    丸岡
    本当に組み合わせは複雑です。
    使ってみて、反応を見て選んでいくのがやはり大切だと思います。
  • 田淵
    ドライアイになる患者さんの中でシェーグレン症候群という全身的な疾患が背景にある患者さんが おられますね。
    丸岡

    シルマー試験が0mmに近い人には必ず口は渇きませんか、パンは食べられますかと聞いています。
    口の渇きが認められる人には採血検査でシェーグレン症候群に特徴的な抗体が上がっていないかも調べています。

    シェーグレン症候群の人は特に重症のドライアイを伴う人が多く、特に炎症も絡んでいることがおおいので、単純にドライアイだけの治療では難渋することが多いです。
  • 田淵
    いくつかの抗がん剤を使用されておられる患者さんの中にも、顕著なドライアイ症状が出現する患者さんがおられますね。
    丸岡
    涙液が減少する方もいらっしゃいますし、角膜の細胞の再生が鈍ることがあるということも報告されており、
    点眼で助けてあげるとずいぶん楽になる方がいらっしゃいます。

治療について

  • 田淵
    ドライアイ外来に通っておられる患者さんの通院の頻度というのはどれぐらいなんでしょうか。
    丸岡
    治療中は1ヶ月に一度くらいのペースで診察しています。
    落ち着いてくれば、特に夏の湿度の多い時期は診察頻度はあけていけると思います。
    ドライアイの重症の方は、目を開けられないくらいの状態になるので、生活の支障も出やすいため、落ち着くまではつめて治療を加えていき生活が楽に出来るレベルに早くもっていってあげたいと思っています。
  • 田淵
    また、ドライアイ診療と同様に日本の眼科学会が世界に発信している疾患で、
    マイボーム腺機能不全(MGD)という病気がありますね。この疾患について説明していただけますか。
    丸岡
    これの定義ですが、さまざまな原因によってマイボーム腺の機能が異常をきたした状態であり、慢性の眼不快感を伴うとされています。涙では、一番上層にある油層の形成にマイボーム腺は重要な役割を担っています。
    この油層があることで涙は蒸発しにくく安定するのです。それがMGDになると油層がうまく作れず、涙が不安定になります。
  • [マイボーム腺梗塞の所見] [マイボーム腺梗塞の所見]

    A では白矢印の先にPouting と呼ばれるマイボーム腺開口部における分泌物の異常貯留を認める。Bのオレンジ色の円でマークされた部分の白い点状物の散在は、マイボーム腺開口部に油が固形化している状態を示し、マイボーム腺機能の低下の可能性を示唆している。

  • 田淵
    なるほど、MGDも相当に眼表面の状態に影響しますね。となるとドライアイなのかMGDなのかは専門性のある眼科医がきちんと診断しないと難しいですね。ドライアイとMGDの併発もあるんでしょうか。
    丸岡
    多いと思います。
    ドライアイも年齢ともに涙液の分泌は減っていくのですから悪化傾向になります。
    マイボーム腺の油の分泌も主に性ホルモンに依存しているといわれていますが、特に更年期を迎えた後の女性は明らかに悪化傾向にあります。
    併発というよりもむしろ影響しあっているように思います。ドライアイが悪くなれば、瞼のこすれから炎症が常にある状態であり、それによってマイボーム腺機能も悪くなり、油の分泌が悪くなる。そうすれば涙の油層がうまく作れなくなり涙が不安定になりドライアイは悪化する。といったように悪いサイクルが始まります。
  • 田淵
    MGDの治療法としてはどんなものがあるんでしょうか。
    丸岡
    MGDは、油の性質が悪くなり正常の人より固まりやすくなっているといわれています。そうして油が詰まってだんだんマイボーム腺が働かなくなってきていると考えられています。なので、その詰まった油を溶かすためのホットパックが基本です。
    10分以上暖かいタオルを眼の上に乗せることを3ヶ月ほど毎日続けると違ってきます。
  • 丸岡
    そうして油が詰まってだんだんマイボーム腺が働かなくなってきていると考えられています。なので、その詰まった油を溶かすためのホットパックが基本です。10分以上暖かいタオルを眼の上に乗せることを3ヶ月ほど毎日続けると違ってきます。
  • 田淵
    眼表面の病気は進行が早く治癒も早いですが、再発しやすいというイメージがありますが、その点はいかがでしょうか。
  • 丸岡
    崩れていくと階段をかけ降りるように悪化していきます。
    また、ある程度は自分の涙で何とかしようと、体も反応するのですが、それでも追いつかなくなって初めて症状に出るので、
    症状が出てくるまでにも診察すればサインは出ていると思います。
    時間をかけて実は、現在の状態まできているということがほとんどなので、自覚症状が改善しても、しっかりいい状態まで持ってこないと、すぐにまた崩れます。
  • 田淵
    となると、ドライアイやMGDの診断がついた事がある患者さんには、いわゆるかかりつけの眼科医の存在が重要な気がします。それと、きちんと画像データとして病気の経過が記録に残っているかも重要ですね。
    丸岡
    そう思います。
    いろんな傾向を蓄積していくと注意すべき点はそれぞれに違ってくるので、年単位で傾向を把握することが大切だと思います。
  • 田淵
    ドライアイやMGDに対する専門外来というのは、派手さはないですが、すごく丁寧な診療が必要ですね。
    丸岡
    全般的な診療にくらべて、専門外来はいろいろな面からひとつの疾患を診察するので、患者さんも医療をする側もとても時間と根気がいると感じます。ただ、どうしてもドライアイやMGDはいずれのひとも無関係ではいられない疾患だと思うので、患者さんに上手に付き合ってもらうようになることで生活をより快適なものにできればと思っています。
  • 田淵
    丸岡先生は現在マイボーム腺の構造解析をテーマに臨床研究を行っておられますが、その点について教えて下さい。
    丸岡
    マイボーム腺自体、いまだどのような機能を果たしているのかはっきりわかっていない部分であり、それでもこうやって専門外来をさせてもらっていると少なからず困っている患者さんはいらっしゃって、実際治療をしていくと改善する感触をもつことができています。とくに女性は高齢化のこの世では更年期を迎えてもまだ活躍される方はどんどん増えている現社会でどうやってこのマイボーム腺をいい状態にすることでドライアイ症状を軽くすることが出来るのか、それによってどれだけ生活がしやすくなるかと感じるので、マイボーム腺の機能をより理解し管理の仕方をすこしでもよりよく出来ればと思っています。
  • 田淵
    丸岡先生はツカザキ病院眼科のドライアイ外来の中心になって診療をされておられますが、ツカザキ病院眼科の未来像を教えて下さい。
    丸岡
    それぞれのエキスパートをお互いにお互いの専門性を共有しつつすみわけができ、来院された患者さんにツカザキ病院眼科内で日本中、世界中の眼科で必要な専門知識を効率よく提供できる場所になることです。
  • 田淵
    どうもありがとうございました。
ドライアイでお悩みの方は、どうぞお気軽に当科を受診下さい。
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