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ツカザキ病院眼科 疾患説明シリーズ Part1 緑内障について ツカザキ病院眼科 疾患説明シリーズ Part1 緑内障について

検査

  • 田淵
    実際に緑内障と診断するために必要な検査はあるのでしょうか?
    中倉
    まず眼圧検査、隅角検査さらに眼底検査で特徴的な緑内障所見を認めれば視野検査や最新の網膜断層写真なども行い判断します。
  • 田淵
    検査は1回だけではなかなか信用できないとも言われていますが、それはどうしてでしょうか?
    中倉
    特に視野検査は患者さんの慣れが必要です。また精密な眼圧測定にもなれが必要だと思います。
  • 田淵
    となると、本当に診断を確定し、ベースラインと言われる治療開始後に比較対象とする治療前の状態を把握するのには、何回ぐらいの通院を必要とするんでしょうか。
    中倉
    私はよほど眼圧が高くなければ、前医で使用している薬を一旦中止してもらいベースライン眼圧を3回測定しています。
    できれば時間を変えて日内変動もみたいです。
  • 田淵
    お医者さんの眼だけでは、分からない超早期の緑内障を診断できる診療機器があると聞きましたが、それはどんなものでしょうか?ツカザキ病院でも使いますか?
    中倉
    これまでは専門医による肉眼で判定を行ってきましたが、新しいOCTでは肉眼では見えない網膜神経線維層の厚みを測定できるようになりより精度の高い診断と治療のタイミングを図れるようになりました。患者さんにとっては不必要な目薬の投与をさけることにもつながると思います。ツカザキ病院眼科でも状況に応じて必要な場合には臨床利用しています。

図1 OCTによる黄斑部における早期緑内障変化分析 ( 網膜黄斑部神経繊維層解析 )

図1.OCTによる黄斑部における早期緑内障変化分析

OCT画像 網膜の内層3層(GCC)のひはく化はより早期の緑内障を捉えるとされています。

治療について

  • 田淵
    緑内障の治療は、治すというよりは、進行を遅らせるものだと聞いていますが、それはどういう事でしょうか?
    中倉
    一度欠けてしまった視野は戻りませんが、眼圧を下げることによって視野の進行速度を遅らせることができます。定期的に通院して頂くことでここの患者さんの視野の進行速度をある程度把握できます。 緑内障の治療目的は生涯にわたってその患者さんが不自由のない視野を残すことです。
    語弊を招くかも知れませんが、多少欠けていても御本人が不自由なく暮らせればOKで、そのライフスタイルも重要です。
  • 田淵
    緑内障の治療は本当に繊細な事を目的にしているんですねえ。
    日常的な地味な取り組みが重要だと感じますね。緑内障を罹患しているほとんどの患者さんにとって治療の中心となる点眼治療についてお聞きします。
    点眼の目的は一体どんな事で、そして、点眼を終了する事はできるんでしょうか?
    中倉
    近年新しい緑内障点眼薬の開発、登場は目覚しくかつては手術をしなければいけかった患者さんが点眼薬でコントロールできるようになりましたが、継続できなれば全く意味がありません。継続にはアドヒアランス(患者さんの病識と治療態度を含めた用語)が良くないとだめです。それにはやはり点眼薬の本数は少ない方がいいと思います。
    点眼薬がなくなるもしくは減量できるのは緑内障手術のメリットです。
  • 田淵
    眼圧には日内変動や、日間変動、さらには姿勢や季節変動まで、大変に複雑な変動要素があるとされているわけですが、診察の間隔が長期に渡って空いてしまうと眼圧の値が実際はどの程度なのか分からなくなって、眼圧がきちんと目的の値にコントロールされているかについて判断が難しくないでしょうか?
    中倉先生は、どれぐらいの診察間隔が適当だとお考えでしょうか?
    中倉
    2ヶ月に一度が適当かと思いますが、視野にでる前の段階の人や高眼圧症のみの方はもう少し間隔をあけてもいいかと思います。
  • 田淵
    点眼剤が効きにくくなると聞いたことがありますが。
    中倉
    あります、これは薬への耐性の場合もあれば病気自体が原因のこともあります。
    大事なことは通院していないとそれが判断できないということです。
  • 田淵
    点眼剤にはいくつかの作用機序があると聞いていますが、それについて教えて下さい。
    中倉
    基本的には房水流出促進と、房水産生抑制の2つですが前者のほうがより眼圧下降効果は強いです。
  • 田淵
    なかなか多くの作用の違う緑内障点眼剤があるんですね。しかも最近ではゾロ薬と呼ばれるジェネリック薬がたくさんあるので、点眼治療の組み合わせは無限大にありますね。
    何種類ぐらいの点眼剤を中倉先生は使われておられるんでしょうか?
    中倉
    現在確か37種類発売されておりますが、基本的には7-8種類かと思います。
  • 緑内障インタビュー
    田淵
    ところで、ジェネリック点眼剤に対するツカザキ病院眼科としての姿勢を教えて頂けますでしょうか。
    中倉
    現在キサラタン(ラタノプロスト)のゾロが20数種類ありますが私は絶対使いません。
    緑内障点眼薬の99%は基材といわれる水のような成分です。防腐剤や基材も全く同じなら使用しますが各社バラバラです。同じような眼圧下降作用を得られる可能性はあるのか?
    ある報告ですと眼内移行濃度は70%だそうで、値段と同じで効果も70%。
    また違う副作用をだされるとコントロールできません。何でも安いのには理由があるわけで、同等効果でない限り使いません。
    緑内障インタビュー
  • 田淵
    社会保障費についての国策については一市民として十分に理解できますが、これに関してだけは完全に僕らは責任ある立場ですからね。ゾロ薬で効果がなくてじわじわ不可逆性の視野欠損が生じた場合に一体誰が責任を取るんですかねえ。当事者である患者さんと処方責任のある医師の身にもなって欲しいですね。
    全成分が同じである真のジェネリックを切望します。

手術療法

  • 田淵
    緑内障点眼剤で治療効果がなかった場合には、飲み薬、レーザー治療、そして手術という3つの追加療法がありますが、それぞれについて大まかに説明して下さい。
    中倉
    炭酸脱水酵素阻害薬の飲み薬は体調を崩しますので数週間で限界です。
    SLTというレーザー治療も私の経験では1/3しか効きません。確実なのは手術ですがこれには主にろ過手術と流出路再建術の2種類があります。それぞれメリット・デメリットがありますので患者さんによって使い分けしています。
  • 田淵
    なるほど、それぞれに一長一短ですね。飲み薬が一時しのぎで、レーザー治療で効果を得る確率が低くしかも再発を基本とする治療であるとなると、やはり手術療法が点眼治療の次に控える治療という事になるわけですね。手術療法には主に2種類あるとお聞きしていますが。
    また選択の基準になる事があれば教えて下さい。
    中倉
    ろ過手術は主にトラベクレクトミーをさしますが、結膜下に前房内からのバイパス通路を作成し房水を溜め込む手術です。病型を選ばず、奏功すれば15以下の低い眼圧を得られますが、視力低下、眼瞼下垂、充血や晩期感染症など多数デメリットがあります。
    流出路再建術はトラベクロトミーと呼ばれる関西人(医師)が好むあまり副作用がない手術です。リカバリーも早く私はほぼ日帰りで施行しています。デメリットは前房出血による霧視ですが勝手に治ります。著効すると13mmHgになりますが、15-18mmHgになります。したがって目標眼圧には点眼薬の追加が前提です。
図2 緑内障手術(トラベクロトミー)術中写真
緑内障手術(トラベクロトミー)術中写真
下方からトラベクロトミーを施行しています。
日帰りで約20分です。
図3
緑内障手術 写真
術後の前房出血は必発ですが、若い人ほど早く消退します。
  • 田淵
    それぞれの手術療法を患者さんの状況に合わせて選択していくわけですね。
    手術療法のメリットはどんな事なんでしょうか?
    中倉
    点眼薬を減らせること、患者のアドヒアランスの影響を取り除けることです。
    また薬剤性角膜障害もへります。
  • 田淵
    手術療法にはデメリットがあるんでしょうか?
    中倉
    特にトラベクレクトミーには多数あり、慎重にしないと患者に後悔させることになります。
    十分な説明と納得、その後の経過観察が重要です。
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