TSUKAZAKIThinkout
- Artificial Intelligence Team
- ツカザキ病院眼科 人工知能チーム

ツカザキ病院眼科は年間手術件数が8000件ほどの国内最大規模の眼科チームです。15年前のスタートアップ当初から臨床データベースの構築に注力して来ました。制約の大きい大学病院には実現不可能な客観的データに裏付けられた大規模臨床が当科の目指すスタイルでありアイデンティティだと自認しているからです。現在では、7万人のユニークID、10万枚を超える画像データベースに成長し、私達のAI研究開発での最大の強みになっています。
さらに私達のチームは43名の視能訓練士、7名のAIエンジニア、プロダクトマネージャーという多人数、多職種から構成され、リーンスタートアップを基本としたスピーディーな技術開発を行っています。
我々は人工知能を研究しておりますが、人工知能とは何だろうと思われる方が多いと思います。
実は、人工知能に明確な定義はありません。
コンピュータで人間の知能と同じような
知的な働きを行うことができれば、それは人工知能と呼ぶことができるだろうといわれています。
実は人工知能(AI)ブームはこれまでに3回ありました。
パズルや迷路、簡単なボードゲーム(チェスなど)等をアルゴリズムによって解くことが検証されました。この推論と散策を用いることで、知的な表現がある程度行えるようになりました。
しかし、現実のような非常に複雑な問題を解決する事はおろか、少しでも条件が定まり切っていない項目があると、理論が成立しないことから、大衆に現実社会での利用は難しいと判断され、第一次AIブームは終息しました。
エキスパート(専門家)の知識などをもとにアルゴリズムを構築することで、エキスパートと同等の判断をコンピュータで行えるシステム(エキスパートシステム)が脚光を浴びました。
エキスパートが不足している状況を、機械によって代替できるのでは?という期待感から多くの企業が導入、出資、開発を行っておりました。しかし、専門家の知識をベースにエキスパートシステムを構築するにあたって、ありとあらゆるパターンを想定し、矛盾のないように教え込むのは至難の業です。ルールが明確な非現実的な問題しか対応できず、さらには当時のマシンスペックからは、現実的には演算が困難であることが判明し、第二次AIブームは終焉を迎えました。
第一次、第二次AIブームは、判断する根拠・特徴量を人間が緻密に設計し、教えるアルゴリズム重視の人工知能であり、AIは判断基準を自ら構築してはいないものでした。データから機械が自ら判断基準を構築してこそ、人工「知能」と呼べるものでしょう。
ニューラルネットワーク自体は1980年代からあったものですが、ムーアの法則にささえられたマシンスペックの向上から、演算困難であった多層のニューラルネットワークが実際に演算できるようになりました。画像解析、機械翻訳だけでなく、自動運転など応用例は多種多様にわたります。
我々は、現在のブームの立役者であるディープラーニング・ニューラルネットワークを用いた、画像・動画解析を中心として様々な取り組みを行っております。
ニューラルネットワークを主軸とした人工知能開発、ビッグデータ解析、
IoTシステム開発などの様々な技術開発を行っております。
これらの新技術を通じることで、医療の洗練・効率化、医療費の効率化、
遠隔診療の確立による国際医療の改善を目指し、日夜研究を行っております。
下記以外にもさまざまな開発を行っております。
ニューラルネットワークによる画像解析を行っております。
当院ではOptos社のOptos®を用いた、眼底画像の自動診断を研究しております。スクリーニングとして眼科医が不足している地域などで使用されることによって、疾患の緊急性を判断・トリアージを行い、必要であれば、眼科医の受診を推奨するシステムの構築を目指しております。医療資源が不足した国・地域でも、本当に医師によるOn siteの診療が必要な状況かを判断する遠隔診療を行えるように、日々研究を進めております。
ビックデータの構築・解析を行っております。
当院では、手術は行うだけでなく、それをデータとして管理・分析することで、学びを得ることが非常に重要だと考えております。当院では、国内最多クラスの手術について、その件数のみならず、合併症の発生割合などありとあらゆるデータをリアルタイムでデータ管理しております。どの手術はどのように改善すべきだった、どの部門がどれだけの活動をしているなど全てのデータがすぐに管理・分析できるようなシステムにより診療レベルの更なる向上を目指しております。
IoTシステムの開発に取り組んでいます。
日本では、医療費が社会的な問題になっておりますが、点眼薬の不適切な使用もその原因のひとつです。一方では、点眼薬を使用すべきなのにしていないなど服薬を適正に行えていない方もいらっしゃいます。点眼瓶にセンサーを使用することで、その波形を人工知能で解析し、服薬状況を把握することを目標に開発を進めております。このように医療費の適正化のために、様々な技術研究・開発を行っております。