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2019.10.23

集中力について

 こんばんは。皆さんお元気ですか?急に朝晩は寒くなってきましたね。少しずつ我々循環器内科の忙しくなってくる時期が近づいてきたような気がします。終日寒いよりは一日の中で寒暖の差が大きいときの方が大変なのです。

 実際に働いておりましても胸痛の救急要請が多くなってきたような気がします。更にその救急患者さんを診ていても緊急カテーテル検査(手術付きですが・・)を必要とする患者さんが多くなってきているように思います。

 実際私の10月の3回の当直、全部で緊急カテをしております。緊急手術と言ってもピンキリです。例えばカエサルの如く「来た、見た、勝った」と1時間で終わっちゃう手術もありますし、「来た、見てビックリした、何とか勝った」で4時間かかってしまう手術もあります。

 手術は吉野家の如く「うまい、安い、早い」(これも歴史があるらしいですよ) が一番です。カテーテルを始めたとき先輩は「楠山君、Safety、Smooth、Speedy、可能だったら Gentle だ」と叩き込んでくれました。
 ですので私はできるだけ単純な手術を心がけていますが、最近行いが悪いのか、なかなかカテ神様はイジワルをします。

 先日の木曜日、当直をしておりますと「胸痛患者の要請です」と看護師さんに言われ「どーぞ」と返事をして実は「聞き覚えのない名前だな・・」と思ってカルテを開いて見ると9年前の当科の入院歴があるではないですか。しかも主治医を見るとなんと「楠山」と書いてあります。
 覚えていなかったのは申し訳ないけど、それだけ循環器内科と縁が無かったんだからご勘弁です。

 さて、救急外来でお顔を拝見すると一気に思い出しました。明らかな心筋梗塞でしたので緊急カテーテルをしに行きました。すると案の定、ちょっと大変な状況でした。元々私の患者でもありますので心疾患の既往もある方です。
 心臓をサポートしてくれる機械を入れて、固くなったところを削り、Y型にステントを入れてきました。かかった時間は部屋に入ってから出るまで4時間です(内容は多分専門知識を持った方であれば分かっていただけると思います)。
 予定手術は綿密に最初から最後までイメージして臨みます。しかし、緊急はある種出たとこ勝負です。
 その日も最初の画像を見たときに工程表が頭の中に浮かんだのですが、その日は工程表の長大さに一瞬たじろぎましたが、立ち止まってもいられません。心筋梗塞のカテは時間との勝負ですので、粛々と進めなければなりません。

 術者は必死なので時間の長さを忘れるのですが、助手を含めたスタッフと何より患者さんと御家族にとってはこの時間はたまった物ではありません。本当に皆さんよく頑張ってくれたものだと思います。
 スタッフは手伝ってくれますが術者以外は待つ時間もあり暇なときもあります。私も先輩の手術の隣で居眠りをしたこともあります。
一方、患者さんはテンピュールとは言え狭いベッドでジッとしていて頂かないといけません。「寝てて良いよ」は楽なのに「ジッと寝ておきなさい」はツラいんですよね。同じ寝るなのに全然違います。

 集中力って一生懸命していると切れない物のようです。別に集中力を高めるための特殊な訓練はしていませんし、自己啓発セミナーにも行ってはいません。強いて言うならオーケストラやピアノでの舞台でしょうか。前室でメガネをかけ、マスクをして帽子を被ってカテ室に入るときはオケやピアノの舞台に出る気分ですよね。
 舞台袖の暗いところから光の中に出ていく瞬間、ライトの熱さと舞台の熱気を感じるときがたまりません。
 冷静でないと良い演奏はできませんが、熱い気持ちは無いと人の心を打てないですよね。良い演奏を聴かせようと色っぽいことを考えると熱くなりすぎてだいたいコケます。おー、手術と同じような物ですね。

 その日は患者さんもよく頑張ってくれました。いつもより患者さんとの会話は少なかったように思いますが、看護師さんが対応してくれていたのでしょう。それか9年前の私の患者さんでしたので、何となく私も必死と感じて下さっていたのでしょうか。
私達の心臓カテーテル検査は局所麻酔(起きたまま)の手術です。つまり患者さんと私達の共同作業なんですよ。できるだけ患者さんとは要所要所で会話するように気をつけていますが、その日はできてなかったですね。

 集中治療室に入って頂き、看護師さんにバトンタッチし御家族への説明が終わると医局の自分の椅子にへたり込んでしまいました。カルテや手術記録をいつもはすぐ書くのですが、キレちゃったんでしょうね。あ、勿論集中力ですよ、集中力。

 手術後は術者は脱水ですので、飲み物飲むことが多いです。私は最近では中年太りを気にしており、昔はコカコーラだったのですが、最近はウィルキンソンの炭酸になりました。当直中ですのでビールは飲めませんが、あの一口目の炭酸の感触がたまりません。
 「その日のうちに手術記録は書く」というポリシーはありますので、頑張って書いたのですが・・・。途中で居眠りしちゃって目を開けたらホントに「訳分からんこと」書いているんですよね。ビックリしましたよ。ま、集中力も体力も限界があるのでしょう。

 ともかくその患者さんは翌日には心臓を助けてくれる機械からも離脱しお元気になりました。めでたしめでたし。「先生が当直で良かった」って仰ってくれたのは嬉しかったな。

皆さんも症状あったら早めに来て下さいね。お大事に。

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