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新型コロナウイルス対応の現場より

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2021.03.09

新型コロナウイルスワクチンの接種を受けました

新型コロナウィルス感染対策チームの萩倉と申します。

私が普段担当している心臓・血管の範囲はやはり緊急の病気が多く、診療再開後、命を救う・長生きする・症状を改善するための、緊急カテーテル手術や緊急開胸手術も行われるようになりました。
地域の皆様の急病にお役立てできるようこの体制を保つべく、新型コロナウィルス対策チームの活動は続きます。

3月8日現在、当院内で新型コロナウィルス感染への治療をうけていらっしゃる方はいませんが、重病で入院されていらっしゃる方もおり、主に緊急で入院される方は新型コロナウィルスの検査(鼻に棒を入れる、痛い検査です)を何度も受けていただいています。
我々も幾度となく受けた検査ですが、なかなか慣れないですね。痛い。申し訳ないです。痛い検査に関わらず快くご協力いただけることが多く、大変ありがたく思っています。ありがとうございます。

さて、本日ワクチン接種を受けました。

最初に頭に浮かんだ事は、以前新型コロナウィルスに感染して、残念ながら亡くなってしまった方と交わした会話だったように思います。
『うなぎを食べたいな。』
といったような内容だったと思います。
ちょっと高級品となってしまったウナギですが、少し奮発して食べられていた日常があったはずでした。ワクチンさえ接種していれば、亡くならなかったと今でも考えています。ご本人、ご家族の気持ちを思うとおかけすべき適切な言葉が難しいです。ご冥福をお祈り申し上げます。

気になる接種の痛みは…インフルエンザのワクチンよりもむしろ軽いくらいでした。
今までのインフルエンザのワクチンは本当に皮下注射だったのか?? 肩のところの脂肪は、僕の場合以前のスポーツの影響か他の場所より少し薄いような気がしていますので(やせているといいたいわけではありません…ほどほどブヨブヨしている部分もある中年です)、今までのインフルエンザのワクチンも筋肉注射だったのでは、なんてことを思ったくらい。(そもそもインフルエンザのワクチンは、本来は筋肉注射をするものですがちょっと話が逸れますので割愛)

こうして2週間後くらいには、感染をしづらく重病になりにくい体を得ることができます。皆様より先に申し訳ありません。その分しっかりお役に立てればと考えています。

今回受けさせていただいたワクチンはmRNAワクチン(BioNTech/pfizer社)になります。日本国内ではmRNAワクチン(ファイザーやモデルナ)やウィルスベクターワクチン(アストラゼネカ)がこの1年で皆様にとどけられる有力なワクチンの候補となっています。

mRNAワクチンにしても、ウィルスベクターワクチンにしても、巷に流れる噂は色々だなと感じています。
例えばグーグルを立ち上げて調べたい言葉を入力すれば、情報が簡単に入手できる反面『根拠』のない話に惑わされる可能性が高い時代だなと思います。

さて、根拠とは。
新型コロナウィルスの歴史が浅く、教科書と呼ばれるものはおそらくないです。ですので教科書ではありません。
この新しい病気に対して我々が『根拠』としているのは、主に薬を世に出すまでの過程(いわゆる治験とよばれるもの)の論文と、実際に投与が始まったあとの結果だと思います。
実際に投与が始まったあとの結果がなぜ重要か。リアルワールドデータ、なんて言われますが、実際の薬の投与は『治験』に比べて色々な点でゆるくなりますので、最初の治験の結果ほど有効な数字が見られないことが多いといわれています。
今回のワクチンで大きく違ってくるところは年齢だと思います。
ワクチンが世に送り出されるまでの治験では過半数が55~65歳未満の比較的若年者となっています。ところが多くの国で医療従事者を除く優先接種対象は高齢者になっていますので、『話が違った!』『高齢者に○○社のワクチンは効かない!』なんてことが起きうるわけです。
ところが…mRNAワクチンもウィルスベクターワクチンも(話がややこしいのでこの際ファイザーのワクチンもアストラゼネカのワクチンも、としましょうか)、実際にワクチン投与を受けた70歳以上の高齢者は、新型コロナウィルスに感染をしづらく、また重症化し入院しにくい事が明らかになりました。

上記はイギリスからの報告です。ファイザーのワクチンもアストラゼネカのワクチンも同じように70歳以上の高齢者1万人前後に投与をされた後の報告となっています。ちょっとわかりにくいですが、いずれのグラフも一番左の『ワクチンなし』というグループがあり、それを『1』とした場合にどれだけ新型コロナウィルス感染と診断される危険が減っていくかという推移をみています。例えばいずれのワクチンも初回のワクチン投与21-27日後にはOdds ratioが0.5近辺で上下に伸びている黒い棒がOdds ratio『1』にかかっていないので、ワクチン無しに比べて明らかに感染者を減らしたということが読み取れます。(Odds ratioというのは厳密には何倍という値ではないのですが近い感覚でかまいません。)
いずれも1回目のワクチン投与後の話です。アストラゼネカについては1か月以上間隔をあけるタイプのワクチンなので正味1回のワクチン後の効果としても考えられます。それぞれのグラフを見ると、少し特徴があるように見えます。実際70歳以上にワクチンが投与された場合、ファイザーのワクチンは10日以降に明らかに感染者を減らしその傾向は28日程度まで続きますがそれ以下になる事はありませんでした。アストラゼネカのワクチンは少し遅れて14日以降に明らかとなってきますが、35日を超えても感染の危険をさらに低下させるようなグラフとなっています。それぞれ特徴があるように見えます。Efficacyとよばれる効果はファイザーのワクチンが最大61%、アストラゼネカのワクチンが最大73%と報告されました。新型コロナウィルス感染症による緊急入院を、ファイザーのワクチンは43%減らし、アストラゼネカのワクチンは37%減らしました。
明らかな優劣はないようですが、1回のワクチン投与で大きな効果を示しているアストラゼネカのワクチンをできるだけ多くの国民に届けようという考え方がイギリスだけでなくドイツにも広がっているようです。

他国ではワクチン投与が開始されてから3ヶ月以上経っています。例えばアメリカでは2020年12月14日、イギリスでは2020年12月8日ワクチン投与が始まりました。それぞれの国の最近のウィルス感染者数の推移をみてみましょうか。

ワクチンが広まってきている二つの国ですが、主にファイザーワクチンが広まっているアメリカは元の感染者数の多さも反映してか感染者数が下がり止まっているように見えます(第2波と同じくらい)。一方3月8日現在アストラゼネカワクチンをメインとして使用しているイギリスでは第1波の時に近づきこのまま『ゼロコロナ』も視野に入っていそうです。イギリスは接種率が高いそうですので単純な比較は困難ですが、こちらも少し特徴になってくるでしょうか。

そうこうしているうちにワクチン投与から数時間経ちました。
痛くもかゆくもありません。個人差が激しいようですね。
ワクチンの広まりと、ソーシャルディスタンスの継続で、ゼロコロナも夢物語ではないと本日気持ちを新たにしました。

薬局の片隅に-80℃の、mRNAワクチンを保管する冷蔵庫がたたずんでいます。
皆様に早くお届けできますように。

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