このような頚動脈狭窄の治療手段としては、内科的治療と外科的治療があります。
・内科的治療
高血圧症、高脂血症、糖尿病などの動脈硬化増強因子のコントロールや狭窄部に起こる血栓症を予防するための薬物治療です。
・外科的治療
狭窄を解除して血液の流れを改善する血行再建という治療で、内膜剥離術と血管内治療(ステント治療)があります。狭窄が軽度であると内科的治療だけで様子を見ることができる場合もありますが、狭窄の強い場合には外科的治療が望まれます。
これらの外科的治療はすべての病変で可能なわけではなく、狭窄の部位や程度、患者さまの全身状態や合併する病気などによって、どちらも可能な場合があります。狭窄率が70%以上(血管径が7割以上小さくなっている)の症候性の狭窄に対し、内科的治療での再発作率は11%で、外科的治療では3%に減じることができます。
当院では頚動脈狭窄症にはステント治療を主に行い、良好な結果を得ています。
2022年 脳血管内手術件数内訳 | 件 数 |
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経皮的脳血栓回収術 | 91件 |
脳血管内手術(コイル塞栓術) | 40件 |
経皮的頸動脈ステント留置術 | 38件 |
血管塞栓術 | 9件 |
経皮的脳血管形成術 | 18件 |
その他 | 19件 |
総件数 | 215件 |
本治療法は、全身麻酔を行って頚部の皮膚切開を必要とせず、また、長時間血行を遮断せずに、血行再建が行えるのが大きな利点です。しかし、すべての外科的治療には何らかの危険性を伴います。これらの多くは、従来の経皮的血管形成術に伴って起こるものと同様です。ステント治療はこれらを改善するために導入されていますので、その頻度は経皮的血管形成術に比べると低いと考えられています。また、病変の部位や程度、性状等によっても危険性の程度が異なります。しかし、稀ですが、どのような場合でも合併症が起こる可能性はありますので十分に理解してください。
脳梗塞・脳出血・血管解離・徐脈低血圧・その他(穿刺部異常・造影剤によるアレルギー、ショック、腎機能障害、神経障害、撮影時の放射線被爆による一過性の脱毛など)