皆さんこんにちは。ツカザキ広報編集部です。
急に肌寒くなりましたが体調を崩されていませんか?これから秋の紅葉が楽しみですね。
今回は視能訓練士による「見える生活を維持しよう」と題した、日頃の「見る」行為について様々な内容をご紹介いたします。
「見る」は、日常生活において欠かすことのできない行動です。しかし、一言で「見る」といっても、「見る」という行動のためには様々な視る力(機能)があります。
今回は、「見る」とはどのような機能があるのかを知り、健康に「見る生活」を維持していくための知識をご紹介します。
「見る」そして「見える」を表現するための機能(視機能といいます)について簡単にまとめてみます。
視力とは空間における物体の存在や形状を認知する能力をいいます。一般的には小数であらわされます。
視力は0.01から1.5(2.0)までで数値が高いほどよく見えることを意味します。
また、0.01未満の視力は指数弁(目の前に出された指の数を数えることができる)、手動弁(目の前で手を振っている動きが見える)、光覚弁(光を感じることができる)であらわされます。
視野とは、視線を固定した状態で見える範囲をいいます。
正常な視野の範囲は外側(耳側)が最も広く(100度)、続いて下側(足元)(70度)、上側と内側(鼻側)(両方とも60度)と広さが異なります。
(下図、赤で囲った範囲:右目の場合 左目では左右対称になります)
眼球の水晶体の厚みを調整することにより近方の物体などに焦点を合わせる機能を「調節」と言います。
「調節力」は無調節で見ることができる距離から近方に焦点を合わせる力を意味し、加齢とともに減退します。つまり手元に焦点を合わせづらくなります。
両眼視機能とは、両目で見た情報を頭の中(脳)で1つにまとめることができる高度な機能です。
両眼の視野は重なり合う部分があるが、左右眼で見ている物体の像はわずかに異なり、これを「視差」といいます。
この「視差」により空間認知のための「立体視」や「遠近感」を感知することができます。
光を感じ、その強さを識別する能力をいいます。暗いところでは網膜の周辺部に分布する「杆体細胞(かんたいさいぼう)」が、明るいところでは網膜中心部に多く分布する「錐体細胞」が反応します。
明るい場所から暗い場所に移動したときに最初は見えにくいが少しずつ見えてくるようになることを「暗順応」といいます。
また、暗い場所から明るい場所に移動すると最初はまぶしさでよく見えないが、少しずつ見えてくるようになることを「明順応」といいます。
色を感じる機能を「色覚」といいます。「色覚」は網膜の中心部分に多く分布する錐体細胞が関与しています。
色覚の異常には先天性(両眼性・遺伝性)と後天性(片眼/両眼性・基礎疾患の程度に影響される)があります。
「見えにくい」という言葉には様々な見え方の変化が含まれています。「見る」機能については前述の通り様々な機能があり、「見えにくい」という表現は一般的にいわれる「視力が低下した」という意味だけではありません。
「見えにくさ」についてはそれぞれ、眼の病気によるものや加齢に伴う「見る」機能の低下が原因となります。
「見えにくい」には以下のような種類があります。
かすみやぼやけるなどの見えにくさや、まぶしさや暗さなどの見えにくさは、近視や遠視、乱視などで、眼鏡やコンタクトレンズで矯正が可能な「屈折異常」が原因の場合や、白内障などの眼球内の混濁や出血などが原因となる場合があります。
また、光を感じる役割をもつ網膜の錐体細胞や杆体細胞が障害される疾患が原因の場合があります。
視野については、その原因の疾患により様々な欠け方があります。周辺が見えにくくなる「視野狭窄(きょうさく)」、中心部分が見えにくくなる「中心暗点」、また不規則に欠損する場合もあります。
視界が歪んで見える、線や文字が波打って見えることなどのを「変視症」といいます。原因としては網膜の疾患によることが多く、疾患や病状により変視症の場所や程度は変わってきます。
物が2重に見えたり、景色がだぶって見えるなどの見えにくさは、「複視(ふくし)」といいます。両眼で見た場合の「複視」の原因となるのは「両眼視機能」の問題が多く、片眼で見た場合の「複視」の原因となるのは眼球における角膜や水晶体の疾患や乱視などのが原因によることが多いです。
後天的に色の区別がわかりにくくなるのは、錐体細胞が多く分布する網膜の中央部分(黄斑部)が障害される場合や、その他の網膜の疾患が原因となることが多いです。
加齢に伴う眼の衰えに様々な外的ストレスが加わることによって目の機能が低下した状態、またはそのリスクが高い状態をいいます。
フレイルとは「加齢に伴い身体の様々な機能が低下することによって、健康障害に陥りやすい状態」を意味します。これは、身体的のみならず精神・心理的や社会的など多面的な問題を抱えやすく、自立障害を招きやすい状態です。
眼の病気による視機能の障害は回復が難しいことが多いです。早期発見により適切な予防や治療が行えれば進行を遅らせることや症状を軽減させることができるかもしれません。
日本眼科医会では、「アイ(目)」をやさしく包み込む手で、これまでの人生を共にしてきた目に対するいたわりや感謝の気持ちを表現する「アイフレイル」の啓発活動をしています。
「アイフレイル」のスローガンは加齢に伴う目の機能低下や病気への正しい理解と早めの対応により、これからもよく見える快適な人生を楽しんでほしいという「目の健康寿命をのばそう」というメッセージを創出しています。
参考・引用:日本眼科医会 日本眼科啓発会議アイフレイル啓発公式サイト
「見る」機能のチェックの方法のコツとしては、
・まず片目ずつで確認する。
普段は両目で見ているため片目だけの見え方の変化に気が付きにくいことがあるからです。
・片目を手で塞ぎ、景色の見え方を確認する。
そして、反対側の目に変えて確認する。
このとき、左右の目の見え方を比較することも大切。
「アイフレイル」の公式サイトでは「アイフレイルチェックリスト」があり、普段の生活における「見えにくさ」をチェックすることでアイフレイルの有無を確認することができます。
加齢や病気による機能低下は避けられないものがありますが、より健康に生活するためにセルフチェックと定期的な眼科受診により「見える生活」を維持しましょう。
外界の情報の7割から8割は視覚から得られるといわれています。身体が元気でも「見えにくさ」が強くなると文字を読み書きすることや外出することもしにくくなります。
また、車の運転や就労、就学など日常生活に欠かせない活動についても支障をきたすことがあります。よって、今回ご紹介した「見る」機能と見えにくさについて知り、普段から見え方の変化について意識をすることは重要なことと思います。
眼科受診の際は、お近くのかかりつけ医にご相談ください。