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ツカザキヘルスラボ

FLS(骨折リエゾンサービス)ってなに?~骨折の連鎖を防ぐために~

みなさんこんにちは!ツカザキ広報編集部です!(*’ω’*)

なかなか耳にすることのない「FLS(骨折リエゾンサービス)」をご紹介します。
耳にすることはなくても、実は私たちのとても身近なところにあるんです!

今回はツカザキ病院 整形外科 部長 佐藤誠久医師による、
「FLS(骨折リエゾンサービス)ってなに?~骨折の連鎖を防ぐために~」を動画でご紹介いたします。

※動画には音楽・音声が入っております。再生場所や音量にお気をつけください。wifi環境での閲覧を推奨します。

Fracture Liaison Service~骨折リエゾンサービス~

動画を見ることができない方のために、動画の内容を文章で読んでいただけるよう内容を解説しています。

皆さんこんにちは。ツカザキ病院 整形外科の佐藤と申します。
本日は当院で行っております、FLS(骨折リエゾンサービス)についてご説明したいと思います。

骨折リエゾンサービスでは、大腿骨近位部骨折に対してサービスを行っております。
大腿骨近位部骨折は、大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折という骨折です。


大腿骨頸部骨折というのは、大腿骨の首根っこのところで折れた骨折です。

大腿骨転子部骨折は、筋肉がついている「転子」という場所に生じた骨折です。このふたつの骨折を対象として骨折リエゾンサービスを行っています。


このふたつの骨折を受傷されるとどうなるかというと、もう一度歩行するために手術が必要となることが多いです。
大腿骨頸部骨折に関しては、ズレが大きい場合は人工骨頭という人工の関節に変えてしまわなければいけません。

ズレが小さい場合はスクリュー(ネジ)で固定します。

ただ、スクリューで固定した後も大腿骨の頭の部分である大腿骨頭が壊死と言ってダメになってしまうことがあります。そうなった場合は、再び人工骨頭に再手術が必要になる場合もあります。
大腿骨転子部骨折に関しては、骨癒合※を得られやすい場所ですので骨に入れる釘を用いて骨を接合します。
大腿骨近位部骨折の最大の原因は骨粗鬆症にあります。
※骨癒合:骨折の治癒経過の最終段階

大腿骨近位部骨折の最大の原因は骨粗鬆症

骨粗鬆症というのは骨の内部構造及び外角である皮質が薄くなることによって、力学的に弱くなった状態のことを言います。


上図のように非常に密である内部構造が徐々に粗になることによって、圧迫力や外からの外力に弱くなりポキっと折れたりぐしゃっと潰れたりします。これを骨粗鬆症と言います。
日本における大腿骨近位部骨折の動向は年々増加しています。これは皆さんよくご存じの高齢化社会を反映して年々増えています。当院で扱う症例もどんどん毎年増えています。


また、国民の介護が必要となった原因として第4位にあります13%が骨折・転倒により介護が必要な状態になったことが挙げられます。


骨折を生じた場合、骨折を生じなかった方に比べて約2年間で2.7倍の再骨折の可能性が高いと言われています。どこか折れた時に次に骨折を起こすということは通常に比べてリスクが2倍~3倍近い状態にあるということです。
つまり、骨折を再度起こさないように介入し、治療を行うのがFLS(骨折リエゾンサービス)の意義になります。

骨折リエゾンサービスの「リエゾン」って?

FLSのリエゾンです。リエゾンとはフランス語で「つなぐ」という意味です。
患者さんを囲うすべての関係者である、我々医師・看護師・薬剤師・理学療法士・栄養士・ソーシャルワーカー(社会福祉士)これらの方々皆さんの協力で1人の患者さんを支えて、どのような治療が一番良いかを考え「つなぐ」という意味でリエゾンと言います。
我々もチームを構成して週に一度回診をさせていただいて、大腿骨の骨折を受傷された方にお話を聞いたり、栄養状態を評価しています。

◆チームメンバーの役割
・理学療法士
「離床」と言って、ちゃんと歩けているかを確認したり転倒しやすいかどうかを確認したりしています。ご自宅にお帰りになる際には「居宅調査」と言って、ご自宅に段差がないか・もし段差があるとしたら手すりを付ける工事の必要性を評価しています。


・薬剤師
「ポリファーマシー」を評価しています。ポリファーマシーは7剤以上のお薬を飲まれている方が対象です。過度にお薬を飲まれている方がおられます。そういった方のお薬の整理や腎機能、その他状態からお薬を飲むことが出来るか。飲むことが出来る場合は、飲み方が正しいか。睡眠薬・鎮痛薬が過剰になっていないかを評価しています。一方で「骨粗鬆症の飲み薬の飲み方の指導」をしています。


・管理栄養士
「栄養管理」として患者さんの栄養状態から足りない栄養素は何かを評価しています。足りない栄養素があれば補助食をつけて対応しています。飲み込みの悪いご高齢の方には医師の方に「言語聴覚士への依頼」つまり飲み込みが出来るかどうかを依頼し、飲み込みの評価をしたのちに適切な食事形態を取っています。どうしても飲み込めない方は、鼻からの軽微な栄養チューブを入れるので「経管栄養のメニュー」を考えています。


・ソーシャルワーカー(社会福祉士)
骨折されたら素早くソーシャルワーカーが患者さんのご家族にお話しさせていただき、今後どのような形で「療養・リハビリを継続していくかをご相談、適切なアドバイス」をしています。骨粗鬆症治療は非常にお高い薬も使う治療になりますので、転院して治療が継続可能かを「転院先と相談・調整」しています。退院後、骨折治療を継続できているか「退院後の電話調査」を行っています。

当院ではこのようなパンフレットを作成し、患者さんおよびご家族にお渡しして骨粗鬆症の予防・啓発に努めています。

次回は骨折の原因となる骨粗鬆症についてお話しします。

まとめ

・FLSは大腿骨近位部骨折に対するサービス
・大腿骨近位部骨折の最大の原因は骨粗鬆症
・骨粗鬆症は骨の皮質が薄くなることで起こる
・骨折をすると通常に比べ再骨折のリスクが2~3倍近くなる
・再び骨折をしないようにFLS治療がある

症状が気になる方は、まずはお近くのかかりつけ医にご相談ください。

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