みなさんこんにちは!ツカザキ広報編集部です!(*’ω’*)
胃カメラ・大腸カメラって言葉では聞いたことあるけど、実際どんな検査をして何がわかるの?
そんな疑問をお持ちではないでしょうか⁉
今回はツカザキ病院 消化器内科 部長 路川陽介医師による、「内視鏡検査でわかること~胃カメラ・大腸カメラを受けよう!~」のコラムをお届けいたします。
こんにちは。ツカザキ病院消化器内科の路川(みちかわ)と申します。本日は消化管内視鏡検査、いわゆる胃カメラ、大腸カメラについてお話ししたいと思います。
検査の話の前に、消化管について簡単にお話しします。
消化管は、口から体内に入った食物を運び、消化し、吸収する臓器です。食道から始まり、胃・十二指腸・小腸(空腸・回腸)・大腸があり、体に不要なものを便として肛門から排出します。それぞれの臓器ごとに働きがあり、その働きに不具合(疾患)が起こると症状が出現します。
症状は臓器ごと、不具合の度合いによって様々であるため、われわれ医師は患者さんの訴えを聴き(問診)、症状の種類や部位を確認(診察)し、診断します。体内で起きていることであるため、問診や診察で判断できない時には血液検査やレントゲン、CT検査、エコー検査など様々な検査機器を用いて診断を進めていきます。
しかし、消化管の壁(粘膜)で起きていることは、上記の流れでは判断できないことが多いです。さらに不具合があるのに明確な症状として出現しないことも多く、代表的な疾患としては悪性腫瘍、いわゆる癌(がん)があります。
そこで行われるのが、消化管の壁(粘膜)の状態を直接確認することが可能な消化管内視鏡検査となります。
内視鏡検査には様々な種類がありますが、われわれ消化器内科医が扱う代表的なものが胃カメラ(上部消化管内視鏡検査:EGD)と大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査:CS)です。
胃カメラは字の如く、胃の壁(粘膜)をカメラ(内視鏡)で観察する検査ですが、胃のみでなく食道や十二指腸の途中(下行部)まで見ることが可能です。また、最大の目的はがんの検索になりますが、その他にも症状の原因精密検査や、腫瘍が良性なのか悪性なのかの判断、癌のリスク因子の確認などを行なっています。下記がその一部の例となります。
※血に含まれる鉄分が胃酸により酸化し胃液や便が黒くなることがあります。
※ヘリコバクター・ピロリ菌は胃がんのリスクファクターの一つで、内視鏡で萎縮性胃炎があることが確認できると除菌療法が行えます。
これはごく一部に過ぎませんが、1回の胃カメラで非常にたくさんのことがわかります。
また、3・4・5に関しては健診異常や症状がない中で行われた胃カメラであり、検査を行ったことがあるかないかだけで大きな違いがあることが分かって頂けたかと思います。
しかし、胃カメラがどれだけ有用な検査だとしても、受けることに抵抗がある一つの理由として検査時の苦痛があります。
指を喉の奥に入れると、オエっと吐き気が起きます。これを咽頭反射と言い、検査前のキシロカインスプレーによる麻酔である程度軽減はするものの、この反射には個人差があることや、胃カメラが喉の奥まで到達し、いざ飲み込む時にも再度オエっとなり、さらに飲み込めた後にもこの反射が続いてしまう方もいます。
これを経験してしまうと毎年検査をするよう医師に勧められても拒否的になってしまうのは仕方がないと思います。そのため、検査を受けることの恩恵(メリット)よりも、検査による苦痛(デメリット)が上回らないようにすることが大切と考えています。
その苦痛を軽減する方法の一つとして、鎮静剤の静脈注射があります。鎮静剤とは、痛み止め(鎮痛剤)や静脈(全身)麻酔薬とは違います。緊張を和らげ、ウトウトと眠くなる効果があり、抗不安薬や睡眠薬などに属する薬剤です。
当院で使用するのはミダゾラム(ベンゾジアゼピン系薬物)で消化器内視鏡検査及び消化器内視鏡を用いた手術時の鎮静に対して認められている薬剤です。
緊張が和らぐと反射が低下し、眠くなることで苦痛の度合いを低下させます。投与量は体格や年齢で調整し、意識はありますがボーッとした状態で行われます。効果には個人差があるため患者さんの苦痛の度合いによる量の調整も可能です。
鎮静剤の量を増やせばその分苦痛は軽減しますが、量が多過ぎると意識がなくなり、呼吸が弱くなり、血圧が低下することがあります。そういったことが起きてしまっても、当院では常に血圧や体内の酸素量をチェックしながら検査を行い、必要に応じて点滴や酸素投与、鎮静剤の効果を打ち消す拮抗薬(フルマゼニル:ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬)の投与を行うことで、鎮静剤による副作用で身体に負担が懸からないよう努めています。
鎮静剤を使用した場合、検査終了後は目が覚めるまで院内で休んでいただき、米国麻酔学会の帰宅基準で評価を行い、帰宅途中や自宅での転倒を可能な限り予防します。
また、車・バイク・自転車の運転が検査当日はできなくなるため、公共交通機関(バス、電車、タクシー)の利用や、徒歩での帰宅となりますが、お一人での帰宅が難しい場合には迎えが必要となります。当院では年齢が85歳以上の方、または杖などの歩行補助具が必要な方に限って、付き添いが必要と判断しておりますので、お手数ですがご協力をお願い致します。
大腸カメラも胃カメラと同様に大腸の壁(粘膜)を観察する検査です。
胃カメラと違うところは、前日夜からの絶食のみではなく、検査前日就寝前の下剤内服や約1-2Lの腸管洗浄薬内服、いわゆる検査前処置が必要となります。大腸内には通常便塊があるため、この前処置が適正に行われていないと検査を開始することもできませんし、検査を開始したとしても観察不十分となってしまいます。
また、大腸カメラの最大の目的は大腸がんの検索ですが、それ以外に前がん病変である大腸腺腫(ポリープ)の診断・治療なども兼ねているため、きれいな腸管で検査を行うことが大切です。
では、大腸カメラでもいくつか例を挙げていきます。
体重減少の原因精密検査で行った大腸カメラで、直接の原因ではないが、大きい大腸腺腫が見つかったため後日入院で切除した(当日切除し、そのまま入院となる時もあります)。
下痢の原因精密検査で行った大腸カメラで、大腸炎が見つかり、生検(組織採取)を行ったところ潰瘍性大腸炎の診断となった。
お腹の張りの原因精密検査で行った大腸カメラで、進行大腸がん疑いが見つかり、生検を行った。
このように症状と病気がつながらない時があるため、実際に見てみないと分からないのも大腸カメラの特徴です。
また、例にも挙げたように胃と違って、一定の条件下ではありますが、その場でポリープ切除を行うことが可能であり、それが大腸がんの予防にもつながります。
大腸カメラは個人の腸の形によって難しさが異なり、検査をする側(医師)、される側(患者さん)の状態に影響されることがあります。機器や検査法の進化、医師の挿入技術の向上によって苦痛が少ない検査になってきていますし、胃カメラと同様に鎮静剤で不安を和らげることも可能です。
また、内視鏡を大腸の奥まで進めるのが難しくてもレントゲンを見て腸の形を整えながら内視鏡を進めていくことができる透視下内視鏡検査という方法があります。当院の内視鏡センター内には透視室があるため、その場の判断で透視下内視鏡検査が行ることも特徴と考えています。
胃カメラ、大腸カメラ、それぞれの特徴は分かって頂けましたでしょうか。検査について何かご不明な点がございましたら、消化器内科外来もしくは内視鏡センターまでご連絡下さい。
最後にどんな時に消化管内視鏡検査を受けるべきかをお示しします。
以上です。ご静聴ありがとうございました。
【文責:消化器内科 路川 陽介】
2024年2月17日(土)に三栄会広畑病院にて、今回のコラムの内容をより詳細にお伝えする市民講座を開催いたします。
※市民公開講座(ツカザキ健康大学)ではございませんので、スタンプの押印はありません。
ご興味のある方は是非ご予約の上、三栄会広畑病院へお越しください。
講演1:相性のいいヨーグルトは?自分の腸に合う「マイ乳酸菌」を見つけよう!!
演者)ツカザキ病院 栄養科 科長代理 石井 友賀
講演2:内視鏡検査でわかること~胃カメラ・大腸カメラを受けよう!~
演者)ツカザキ病院 消化器内科 部長 路川 陽介
座 長:三栄会広畑病院 内科 部長 木下 真一郎
日時:2024年2月17日(土)13:30~
場所:三栄会広畑病院
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