新緑がまぶしい季節になりましたね。
先日のお休みに歯医者さんへ行ってきました。
平日は病院内でやや下向き加減に歩いておりますし、空を見上げることがありません。
久しぶりに駅まで歩いて空を見上げるととても綺麗な青空で、道の街路樹の緑とよく合っていました。
深呼吸をすると使っていない筋肉が動きとても気持ちよかったです。
さて、先日は御縁あって当院に指導的なお立場の先生に来院頂き、冠動脈が完全に詰まっている方(慢性完全閉塞病変と申します。御興味あれば当科のホームページにどうぞ)の手術をして頂きました。
どうしても1つの施設の中で手術をやっていますと新しい風が吹きません。
勿論、1つの方向性を持って継続的に進んでいくことは非常に重要です。
石の上にも三年ですね。
私の場合は、「カテ室の上に17年」です。
継続は力なりで、少しずつ何かが見えてブレイクスルーをしたり、ふと数年前と比較して上達していることに気付くことがあります。
やはりこれは大切なことで、1つのことを継続することは言うは易く行うは難しです。
一方で外部の方を招聘して勉強することも必要です。
皆さん御存知のように「井の中の蛙大海を知らず」です。
外部の刺激は時として化学反応を起こして、良い意味での急激な発展を得ることがあります。
こちらは御縁がないとお目にかかることができませんが、今回御縁あって、済生会横浜市東部病院 伊藤良明先生が来院され小さなワークショップを開催することができました。
人見知り楠山は非常に緊張していたのですが、術前カンファレンスで、御高名な先生ですが血管造影の所見を非常にわかりやすく解説し、落とし穴や治療戦略を教えてくださいました。
術中も学会のライブ(公開手術、でしょうか)では伺うことができない、術中のつぶやき、お考えや解釈、私の質問にも答えて下さって、とても勉強になる時間を過ごすことができました。
実は伊藤先生の前にも当院では院外の先生を招聘したことがあります。
私が「こっそり」尊敬している先生に来て頂き、自分ではまだ経験の無い慢性完全閉塞病変のあるテクニックを見せて頂きました。
その後、私もそのテクニックを取り入れて手術をするようになりました。
やはり最初は教科書を読むだけではなく、参加して教科書に書いていないことを含めて吸収しないとできません。
伊藤先生にしてもその先生にしても非常に教えることがお上手で簡単な質問に対しても丁寧に教えて下さったり、「こんな感触だよ」と途中で触らせて頂いて言葉では表現できない感覚を教えて下さいました。
実際今でも自分の手に残っていますし、その後に経験したときも「同じ感触だ」と分かったときは非常に嬉しかったものです。
やはり手術というものも、まずはその先生を「まね」することから始まるのだと思います。
私、子供の時はピアノ、大学ではチェロをしていましたが、先生のまねができるというのは非常に重要なことです。
研修医の先生に最近、カテーテルを一緒にして手技を教えることがありますが、指示した事が出来るようになって、次の段階を教えるようにしています。
でも教育は「誉めて育てる」が今の考え方だそうです。
でも、叱責してはいけないのではないと思います。
特に私達の仕事は患者さんの命に関わることですし、取り返しがつかないので厳しくないといけません。
ですので、私のポリシーは「出来たときは誉めるけど、ダメなときは理由を明確にして怒るのではなく、叱る」を目標にしています。
私の時代は良いカテをしたらいつの間にか上司はカテ室におらず、まずい!と思ったときは何故か後ろにいるのです・・。
叱られないのは誉められているのかな、と気付くのに数年かかったものです。
おかげさまで叱られた時のことしか覚えていません。
これは正に危険を感じる動物的勘みたいなものでしょうか。
ともかく、先日の手術は伊藤先生の慢性完全閉塞病変のみならず様々なテクニック・コツを教えて頂き、患者さんの治療も成功し非常に実り大きい手術でした。
その日は実はやや興奮して子供みたいに寝付きにくかったです。
芸術と同じで良い物を見ることは重要ですね。
その興奮を糧(カテ)に、私のカテも更にレベルを上げていかなければなりません。
先日もブログに書いたように、私もまだまだ駆け出し。
教えて下さった先生方が納得して下さって患者さんが喜んでくれるような良い手術を1つ1つスタッフと積み上げていきたいものです。