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ピックアップ Pickup / Column

楠山Dr

非日常の時間

皆さん、ご無沙汰しております。お元気でいらっしゃいますか。
ホームページでも適宜皆さんにはお伝えしておりますように、院内での新型コロナウイルス感染症で病院機能を制限しており御迷惑をおかけしております。

当たり前なのですが病院は公立病院ではないといっても、公器ですし病院って普通に営業じゃなかった診療しているのが普通ですよね。
当院も御存知のように救急診療をやっていくことを目的としていましたので現在の状況は患者さんや御家族だけでなく、地域の皆さんに御不安と御不便をかけているのが、非常に心苦しいです。

病院のホームページでも院内の状況を逐次お知らせしていることと思いますが、徐々に状況は改善しつつあるかと思っています。
勿論、まずは最後まで押し切って通常の診療に戻していかないといけないので、まだ気を緩めるわけにはいきません。

私は医者を始めて20年になります。
研修医の時からよく「当たる」人間でした。
どうやら「当たる」「当たらない」は指導医と研修医の間で遺伝するように思います。
お陰で指導医のいる時代に急変・重症患者さんもよく「当たり」ましたし、当直中の地震は複数回経験しています。
ただ、このような通常診療を止めざるを得ない状況は初めてです。
病院を歩いていてもこの期間の人気のない雰囲気は非常に強い違和感を覚えました。

外来は電話診療で対応させて頂いており、患者さんとお話ししていても色々な心配をおかけしているようで、
「先生はコロナにかかってへんのか?頑張りや。はよ落ち着いたらええな」と。
患者さんに私が心配をされていては本末転倒です。
でも涙が出るぐらいありがたい話です。

ただ、ここまでの長期間にわたる診療の停止に対しては御批判の声があるのは当然と思いますし、更に患者さんや御家族には陳腐な表現しか見つけることができないのですが、大きな御負担・御心配をおかけして申し訳ない気持ちとしか言えません。

筆を執るのは1ヶ月ぶりです。
実は1月末に書かなくては・・と思っていたのですが、心の余裕が無く書くには書いたのですが、出す気になれませんでした。
この1ヶ月はカテーテル検査もしておりませんので、患者さんの診療はしておりましたが、少し時間がありました。

何をやっていたかって?
色々な人と話をしておりました。
どうやってもコロナウイルスとすぐにはお別れすることができないように思いますし、感染対策の問題やコロナウイルスのこと、これから更に当院が感染に強くなるためにどのようにしていくことが必要なのかを話しておりました。
このような特殊な状況でこそ、話すことが共通の理解や意思統一に非常に大切と考えています。

孫子に「敵を知り己を知れば百戦危うからず」と有名な言葉があります。
結局は職員11人の感染に対する自覚や習熟、またコロナウイルス自体の理解や検査の限界など、今回色々な経験をしてきたことを今後に生かしていくしか我々にできることはありません。

状況はホームページの通りで徐々に落ち着きつつありますが、状況が安定し通常体制に戻ったとしても、そこはゴールではなく、そこからが本当のスタートになります。
この経験を生かして全職員で当院を強くしていかないといけないのです。

昔、その「当たる」先輩が、非常に厳しい当直の時に
「楠山君、明けない夜は無いから。いつか朝は来るよ」と言いながら一緒に救急外来へ歩いて行ったことを思い出しました。

私自身、こんな辛い非日常が二度と起きないように自分にできることをして、一日一日姫路の地域医療に少しでも寄与できるように一歩一歩また歩き始めないといけません。

改めて、様々な方に御迷惑と御心配をおかけしています。
申し訳ない。もっと強くなりたいです。

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