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ピックアップ Pickup / Column

楠山Dr

3度目の卒業

今日は雨です。当直明けに外に出てみると結構な雨が降っていました。
耳を澄ませてみるとシトシトと少し心が落ち着く音がします。
この雨でまた温かくなってくれると良いのですが。

つい先日までは朝晩は結構冷えていましたので薄手のセーターを着ていたのですが、この1週間ぐらいはシャツにジャケットで外に出るようになりました。
シャツを着てジャケットになると春が来た、って感じがします。
シャツにジャケット、好きなんですよ。

さて今年度、実は御縁があって母校に2週間に1回カテーテルのお手伝いに行っておりました。
母校に帰るのは大学院を卒業してからですからなんと10年以上も経っています。
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年も経つと町並みは大きく変わることが多いですが、先日のブログで御紹介させて頂いたお好み焼き屋さんもその近くの町の風景も変わらない部分は有りますよね。

私の母校は天王寺の町中の大学なのですが、学舎の入り口に1本だけ桜が植えてあります。
いつも学校に行くときはその桜を見て登校() していました。
言うなれば心の中の風景ですよね。
春はビルの合間なんですが綺麗に咲いて、桜の花びらが散っているのは結構絵になります。

ちょうど先日最後の大学でのお手伝いの日でした。
いつもの通り「登校」しますとその日はもうその桜が咲いていました。

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大阪と言えば桜ノ宮の桜も花見で有名な場所です。
あそこは川縁にたくさんの桜があって川に桜が映えて、ザ・花見、といった感じですが、大学の桜は1本だからこそ綺麗なように思います。
どうでしょう?ビルと合っているように思いませんか?

ま、私の勝手な感想ですし、もしかしたら母校贔屓でそんな風に思えるのかもしれませんが・・。
皆さん、いかがです?

その大学でのお手伝いでは実際に自分がカテーテルをするわけではなく、先生方がカテーテルをされているのを見せて頂きながら議論させてもらう時間でした。
大学ですから医者も多いので、難しい症例をこなす先生方もいれば、カテーテルを始めて間もない先生方もいます。
私にとっては2週間に1回の気分転換にもなっていたような感じもします。

別に病院で働くのが「イヤ!」と言っているわけではないですよ。
どうしても当院ですと自分で手を動かしていることが多いですし、研修医の先生と一緒にいるときでも自分も検査や手術に入っているわけです。
一方、大学ですとカテ室の外の椅子に座って客観的に皆さんの手技を見ることができます。

行く前は外で座っていて何か役に立つことができるのかな?
と疑問に思っていましたし、お顔は知っているとはいっても初めて一緒に働く先生ですから、上手く打ち解けることができるか、シャイな私としては非常に不安に思っておりました。

多分、大学の皆さんがフレンドリーないい人達だったからだと思いますが、実際はそれぞれの先生とそれぞれの議論ができたように思います。
難しい手術をする先生とは一緒に考えたり、検査を身につけている先生とは検査が終わったらすぐ症例を振り返ったり・・・。
ある3年目の先生は見せてもらっている半年ぐらいの間にカテーテル検査がとても上手くなっておりました。
先日見たカテは気持ちよかったですね。

やっぱり同じ1年でも卒業後20年目の医師とは伸び方が違いますね。
患者さんとお話ししていると医療業界のみならずどの業界でもそのようですが、
「医者は最初の5年で決まる」です。

6年目以降も医師としての実力は伸びていくのですが、医師としての心構えや仕事や物事の捉え方、といったような普遍的な物は最初が肝心です。
今となっては私も朝の回診の時間 (出勤日は患者さんの朝食前と決まっています。理由は後日) を変えることはもはや困難です。

カテーテルも同じです。
やはり最初の癖はどうしても残ります。
その3年目の先生、安全でゆっくりに見えるけど無駄が無いので結局メリハリの効いた速いカテーテルをするようになっていました。

カテーテル手術って華々しく見えるかもしれないですが、診断カテーテルが下手では良い手術はできません。
ピアノと同じく基本が大切って事ですよね。

そんな経験を大学でさせてもらっていたのですが、こんな「おっさん」がずっといても意味はありません。
てなことで今年度末で卒業となりました。
あの桜、私の大学・大学院・特任講師と3回目の母校の卒業を祝ってくれていたのかもしれないですね。

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今日の雨、大学の桜を散らさないでほしいですね。
だってあと数日したら新入生の皆さんが入学してきますもの。
やっぱり卒業よりは入学の時に桜は咲いておいてほしいですもん。

さ、またツカザキ病院にも新しい先生方がたくさん来られます。
ウチで研修を始める先生方も国家試験は全員合格と聞きました。
プロとしての出発ですね。
大変だと思いますが、きっちり指導させていただこうと思います。

また新年度、心機一転で色々思っている人はたくさんいると思います。
それぞれの世界で、それぞれ全力で頑張りましょう!

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