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ピックアップ Pickup / Column

楠山Dr

長い雪の日

こんばんは。今日は寒いですね。
なんか底冷えがしてきました。いかがお過ごしですか?
皆さんはどんな日を過ごされたでしょうか?大丈夫でしたでしょうか?

私、楠山も色々な経験をしました。

実は火曜日も少し遅くなりまして、タクシーも混んでおり家まで歩くことにしました。
姫路で雪が積もること自体が数年に1回です。
雪の日って雨の日と違って不思議と静かですよね。
十分中年になっているにも関わらず、雪の上を歩いて雪の「ギュッ、ギュギュッ」という音を聞きながら歩いていました。
踏みしめられた雪の上の「ジャリ」よりも誰も踏んでいないところの雪を踏んだときの音の方が好きです。

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その日はコンピニに置いてあった自転車のサドルに積もっている雪を見て「クスッ」と笑う余裕を持って家に帰ることができました。
でも身体の芯から冷えていたみたいでお風呂に入ったら身体が溶けちゃいそうでした。

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翌日は午前中、ある病院へ行く用事がありました。
いつもであれば車で行くのですが、雪の日の運転は全く自信が無いので、公共交通機関を使っていくことにしました。
多分、バスも渋滞に巻き込まれると思い、かなりの余裕を以て家を出て見ると、掛け値なしの銀世界でした。
どうしようもなかったら諦めも付くのですが、調べると播但線は動いています!
一応、これでも「プロ」ですから手段があれば困難があろうと仕事は果たさないといけません!

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まあ運動だ!と思って駅まで歩くと予想通り2号線は大渋滞です。
ふと車通勤している後輩の顔が思い浮かびました。
循環器内科は御存知の通り緊急カテーテル検査で夜中に呼ばれることもあります。
On call
に鳴って可及的速やかに病院に馳せ参じ、1分でも早く冠動脈を広げることが仕事ですが、こんな日は違います。
「少しぐらい遅れても良いから安全に病院まで来るように」と最優先事項が変わります。
考えたら当たり前の事ですが、「緊急手術です」と言われると一刻も早く病院に行かなければ・・・と思うのですが、万が一事故を起こすと、結局手術は始まらないのです。
彼にも「遅れても良いから気をつけてね」と言ってあげなければ・・・とLine を送ると、時既に遅し。
「おはようございます!徐行運転です!(原文のまま)」って返ってきました。
私の先輩の教えを彼にも伝えなければ・・・。

そんなこんなで駅に近づくと徐々に歩いている人も増えてきました。
で、播但線の改札で駅員さんに聞いてみると・・・「今電車が出まして、次は40分後ぐらいです」と言われました。

ちょっと泣きそうになりましたが仕方がありません。
ホームで午後の手術の作戦を考えながら立っていたのですが、段々マッチ売りの少女の物語が頭に浮かぶようになりました・・・。
ヤバい、ヤバすぎます。確かアレの最後は・・・。

と、ツッコミながらこっそり足踏みしながら待っていますと「現在京口を走っておりあと4分です」とアナウンスがありました。
電車が入ってきて、皆さんで温かい電車の中に入った時に流れたホッとした空気は実感がこもっていたように思います。

さて、播但線の車窓は徐々に銀世界となり、再び駅から病院まで歩いたのですが、世界が真っ白。
蒜山の祖母が昔「雪道は転けないように小股で歩きなさい」と教えてくれた事がこんなに役立つとは思いませんでした。

転倒も骨折もせず無事、10分遅れで病院に到着しました。
何事も無かったかの様に外来をして合間に調べてみますと、姫路~網干間も不通です。
復旧を神に祈ったのですが復旧せず、タクシーも病院前になくまずは駅まで歩いているとタクシーの営業所に1台だけ居るでは無いですか?
運転手さんとも目が合い、どう考えても運命の出会いとしか思えません。

手術前に焦りたくないので「網干まで良いですか?」と伺うと「良いですよ」と心強い返事。
有難く送ってもらいました。
途中、いつの間にか早起きの疲れが出たのか寝てしまっていました。
気付けばはりま勝原の駅近くです。
ここまで来ると最初は楽しんでいた雪もありがたくなくなってきます。
でも、車窓を見ているとお店の前に雪だるまの親子が座っていました。
お店の方が作ったのでしょうか。雪を楽しんでしまうって素敵ですね。

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何とか病院にたどり着き、足下の悪い中、予定入院の患者さんも皆さん、無事病院に到着したとのこと。ホントに良かった。
午後の手術も無事終了し、手術記録を書いてコーヒーを飲みながら調べると電車が動いています。 
網干まで歩いたのですが、確かに雪は無くなっていますがアイスバーンになっていました。
正に夜のスケート場になっていました。

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駅に着いたら着いたで電光掲示板も今日一日の疲れが出たのか、21時の電車の後に17時の電車が来る!って言っていますし今日の雪による社会の混乱具合が分かりました。

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姫路駅に何とか着いたのですが、身体も冷えてお腹も減ってしまったので、ある全国チェーンの牛丼屋さんに入ろうとしたとき、「材料がありませんのでメニューは無くなり次第終了です!」って入口に手書きの張り紙をしてありました。

有難いですよね。できるだけのことをする、と言う姿勢は心強いですよね。
お陰で温かい御飯を食べさせてもらい身も心も温まり、家まで帰る元気が出ました。異常事態時の良い意味での頑張りは人の心を励まします。

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家に着いて時計を見ると午後1030分です。散々な一日でした。

雪に慣れた地域の方に笑われそうですが、雪はスキーや雪景色・露天風呂なんかではとても綺麗に見えるのですが、雪を初め自然は社会を混乱させることも多々あります。
そう思うと人間なんてちっぽけなもんですね。

あの日(25)皆さんは大丈夫でしたか。
明日も雪の予報でした。どうか気をつけてくださいね。

 

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追伸:コンビニも食べ物が少なくなっていましたね。
今朝のカンファレンスで栄養科主任が「食材が来なくって」と。主任、ウデの見せ所ですね。
実は医療器材も少し遅れています。十分確保はしているのですが、物流関係の方も大変です。
早く温かくなって状況が良くなりますように。

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