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ピックアップ Pickup / Column

楠山Dr

新しいことを始めるとき

おはようございます。今日は梅雨の中の良い天気です。
お休みで今、朝9時過ぎです。
心電図モニターの音は聞こえず、院内の PHS の呼び出しも聞こえません。
今聞こえるのは時々の車のエンジン音とウグイスが鳴く練習をしています。
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月ぐらいから聞こえていましたがウグイスさんもだいぶ上達なさったようです。
やっぱり練習すると違いますね。

ちょっとブログが空いてしまって申し訳無いです。
手が回りませんでした。ご無沙汰です。

新年度が始まって2ヶ月が経ちました。
新しい環境になった人は当院内でもたくさんいます。
研修医、研修医を卒業してそれぞれの専門を決めた専攻医、新卒の看護師さん、勿論病院はたくさんの職種からできていますので、それぞれの部署の新任の方、新しい環境に慣れたでしょうか。
実際に働いてみると思っていたイメージと違ってビックリすることもあるかもしれません。

ま、最初から上手くできる人はいませんし、現場で色々失敗することもあるでしょう。
色々あって苦々しい想いをすることもあるでしょう。
今でも私はしています。

最初は実際に現場に出ないと分からないこともあります。
更に実際の仕事で大切なのは教科書に書いている医学ではなく、仕事のやり方であったりします。
ま、理想と現実のギャップは周囲の手助けはあるでしょうが、それぞれで埋めていかざるを得ないと思います。

この業界しか知らない私ですが、個人的にはちょっと自信が無くて不安なときには聞いて欲しいですね。
ま、なんでかんでも聞いていたらキリも無いですし仕事も進みませんが、大切な決断や対外的な部分で不安があるときは慎重な方が得であった様に思います。

ブレーキがついていない車とアクセルが重い車、どちらの車に乗りたいですか?
当科、手術もする科ですので、安全第一ですよ。

その辺の匙加減は残念ながら教科書にもガイドラインにも書いていません。
どこまで自分で判断して良いのか、どこから上司に相談するのか、そのラインを綺麗に見分けることができる人が優秀なんだと思います。
最近は人気が無いらしいですが、大人の知恵、マナーって所でしょうか。

さて、そんな事をツラツラと考える中年男性ですが、数ヶ月前に私も宿題を出して頂きました。
「ある事を立ち上げなさい」と。

以前も「立ち上げ」に関してはこのブログでも書いたことがありますが、新しいことを始めることに参加するのは非常に大変ではありますが、やりがいもあれば未知との遭遇も経験する事ができます。

人間はルーチンが大好きです。
だって楽だし安心感があります。
しかし、「新しいことを作ってみて」と言われて、「やってみよう」と前向きに行くのか、「えー!私ですか?」と反射的に防御の姿勢を取るのか、この選択は仕事でも人生でも大きな分岐点になるように思います。

まず声をかけてもらえた、というのは良いことと思えるかですね。
相手が「コイツはダメだな~」って思いながら新しい仕事を持ってくるでしょうか?

咄嗟に「忙しくなるなぁ・・」と思ってしまうと後向きの感情が出て来ることもあるでしょうが、新しいことを経験するチャンスはなかなか転がっていないもんです。
で、結局する仕事であれば気持ちよく受け取った方がお互いに気持ちよく仕事ができます。

今回頂いた仕事、元々ちょっと興味はありましたが1人ではできないことでもありましたので、取り組むきっかけを頂いたんだ、と思うとやる気も出るってもんです。

ただ、日常業務の中に新しいことを立ち上げることを入れていくので、日常が忙しくなるとお留守になってしまうこともあります。
当初は焦っていたのですが、「ま、しゃーない。仕事が落ち着いた時に進めよう」と吹っ切れてからは妙な焦燥感はなくなりました。

有難いことに何故か色々な方が助けて下さって、下準備は整いました。
メンバーも決まりました。
自分の中で理想とする目標も決まりました。

さて、机の上で考えるという仕事が終わったら後は物事を動かしていくだけです。
この緊張感、コワいんですけど、ドキドキします。
自分が考えてきたことが正しいかどうか分かる瞬間ですから。

そう、学生オーケストラの舞台袖にいる感じですね。
舞台に出たら後戻りはできません。
それまでに自分なりに練習をしてきたのであれば、ちょっとした興奮と緊張が混ざった気持ちになり、ブザーが鳴って舞台袖の扉が開いてみんなで光の中に出ていくあの高揚感は素晴らしい思い出です。

大阪市立大学交響楽団チェロパートは最初に舞台袖でみんなでリポビタンDを一瓶飲んで出て行くのが決まりでした。
懐かしい思い出ですが、今でも思い出すことができます。
私にとっての心の中の大切な風景の1つです。

さて今回の仕事に関わってくれる人は25名+αです。
その人達が参加してそれぞれが何かを得ることができて良かったな、と思ってもらえるような作品になっていることを願います。

だって、手術・診療と一緒で自分はどれだけ頑張っても評価するのは他人ですもん。
その評価は謙虚に受け止めなければいけません。
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年目ぐらいだったとき、ある先生に”Dr. Kusuyama, No Excuse! (和訳:楠山、言い訳はなし!)” と英語で叱られたのを覚えています。
その時ホントの意味で自分の仕事の意味を教えてもらったように思います。私を大人にしてくれた言葉ですね。 

もう一度見落としがないか最終確認をしないと・・・。
実は時々ですが、出かける時にガスの元栓を閉めたか気になって駐車場から家に戻ることがあるぐらいのビビりなんです(^_^)
断じて強迫神経症じゃないからね!
石橋をたたき壊す様な慎重な性格なだけです。

この職業には丁度良い性格と割り切っていますけどね・・・。
また新しいみんなと一緒に新しい仕事ができる、これはこれで幸せなことですよ。
そろそろ出航かな。

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