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狭心症

狭心症

この病名も皆さんはよく耳にすることがある病名かと思います。急性心筋梗塞症と同じく冠動脈を舞台にした病気です。良くある症状としては以下です。

症状

最近、階段の上り下りや坂道で胸が苦しくなって休むようになった。
自転車をこいでいると胸が苦しくなって、休むと治る。
最近、胸が苦しくなって一度に歩くことができる距離が短くなっている。などなど……です。

皆さん、狭心症の症状って「胸痛(胸が痛くなること)」って思っていらっしゃいませんか?

実は意外と「胸がいたーい!」とおっしゃる患者さんは少ないのです。よくあるのは……

  • 胸が重苦しいです…
  • 胸が圧迫される感じがして、大きな息が吸えないんです…
  • みぞおち(心窩部とも言います)辺りが痛いんです…
  • 歩くと左肩が重いような気がします…
  • 下顎から歯が疼くような気がします…
  • なんかしんどい…

意外と色々な症状があります。その上、外来にいらっしゃる時には皆さん症状が無いことが多いです。お話をじっくり伺って採血・心電図・レントゲンなどさせて頂きながら、冠動脈CTや心臓超音波検査など検査を組み立てていきます。

検査・治療

実際に外来検査で虚血性心疾患が疑われ、詳細な精査が必要となりますと、心臓カテーテル検査に進みます。主に2泊3日の検査入院で行っております。冠動脈造影は手首、肘、足の付け根のいずれかの動脈から柔らかいワイヤーを先導させて心臓の入口までカテーテルを挿入していきます。
造影剤を注射して3本の冠動脈を造影して検査は終了です。局所麻酔で行う検査ですので、お手伝いが必要でしたら動かずにおっしゃって下さいね(ベッドが狭いので動くとアブナイのです)。(患者さんには優しい・・?) 看護師さんが対応してくれます。
心臓は立体ですので様々な方向から血管を撮影し、75%(内腔が本来あるべき血管の1/4 になったとき)以上の狭窄で血行再建の適応と考えます。

他院から心機能低下・胸痛にて御紹介の患者さんです。病歴からも狭心症が疑われましたので、外来で冠動脈CTを施行しました。 右冠動脈は「C」を描くように流れています。CTでは静止画で石灰化(強く白い部分)で見えにくいところはありましたが、いろんな断面から検討できるのは特徴です。 矢印の部分に狭窄が疑われました。冠動脈造影を施行したところ、CTと同じ所見でした。

皆さん、狭心症は動脈硬化で水道管に水垢が溜まるように血管の血液が通る部分が狭くなるとお考えと思います。大部分はその通りですが、一部には冠れん縮性狭心症という動脈の壁が痙攣して収縮し血液が通る部分が狭くなる場合もあります。必要に応じてお薬を注射して発作の誘発を行って確定診断を行うこともあります。

血管は狭くとも治療をするべきか迷う中等度病変もあります。その場合は狭いところに検査用のワイヤーを通し、注射で負担をかけて狭窄部より先の部分に血流が足りないかを確認します。
血管が狭いことを治療するのではなく、心筋(心臓の筋肉) に血が足りていない状態を解除するのが治療目標です。私たちも最大限努力し、安全な手術を目指しますが、手術のリスクは「ゼロ」にはなりません。治療する価値がある手術を選択してお勧めするのも我々の大事な仕事と思います。

検査が終わりましたら御家族と画像を見ながら説明です。病気がなければ画像を見て自信を持って日常生活に復帰して頂きます。治療を要する病気があるのであれば、治療方法を検討し皆さんと一緒に決定していきます。

患者さんへ

時々、「検査が怖いから、病気が見つかると怖いから受診しなかった」というお話を伺います。いかがでしょう。虚血性心疾患は生活の質を下げかねない病気ですので早期発見し早期に治療することは重要です。また検査しない限りは病気の有無もわかりませんので、狭心症と言われてから10年間検査もせず、怖いので旅行や外出に積極的になれなかった方がいらっしゃいました。検査で病気がないことが確定し結果を説明させていただいたときの「10年間勿体なかったですね」という言葉を覚えております。
病院で専門的な検査となりますと躊躇されることもあるかと思いますが、病気がないことを証明することも検査の重要な役割でもありますので、もし迷っておいでの方がいらっしゃれば一度循環器内科の扉をたたいていただければと思います。

【文責:楠山 貴教】

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