キービジュアルの画像

ドクターインタビュー DOCTOR INTERVIEW

ドクターインタビュー

緊急症例も含めあらゆる成人心臓血管疾患に対応可能です

心臓血管外科 主任部長 田内 祐也

どのような診療を行っていますか?

ツカザキ病院心臓血管外科では、あらゆる成人心臓血管疾患に対する治療が可能で、それらに対して手術を中心に診療を行なっています。その中には狭心症や心不全などの心臓疾患、大動脈瘤や大動脈解離などの大動脈疾患、下肢閉塞性動脈硬化症や動脈閉塞などの末梢血管疾患、静脈瘤などの静脈疾患、透析シャントなど様々なものが含まれます。それぞれの患者さんに対して、的確な治療方針を決定し、安全で確実な手術を行い、適切な術後管理の後、患者さんが疾患を克服し、元気に退院していく手助けを行うこと、その繰り返しが我々に与えられたミッションです。

大動脈瘤について

上記のように様々な疾患に対して治療を行っており、それぞれの分野ごとに工夫やPRしたい点があるのですが、今回は大動脈疾患に関してご説明します。
大動脈疾患の中心は大動脈瘤です。大動脈瘤とは何らかの原因により大動脈にこぶができ、徐々に大きくなり、最終的には破裂の危険性が出てくるといった疾患です。破裂してしまうと激烈な痛みと共に、大出血を引き起こし、急いで救急車を呼んでも病院まで生きて辿り着けないこともあります。困ったことに、大動脈瘤はかなり大きくなるまで症状を伴うことはなく、破裂が初めての症状ということも稀ではありません。知らず知らずのうちに発症し拡大していくのです。そのため発見されるのは偶発的であることが多くなります。瘤のサイズが小さい場合は定期的な画像検査が必要となり、手術適応サイズまで大きくなると早めの治療をお勧めしています。当科では手術のみならず、外来での定期画像フォローも責任を持って実施します。
また、緊急大動脈疾患として急性大動脈解離は是非とも知っておいて頂きたい疾患です。典型的には突然の胸背部痛にて発症するこの疾患は、大動脈が裂けてしまい、突然死の可能性もある重篤な疾患です。多くの場合、救命のためには緊急手術が必要となります。ツカザキ病院では24時間365日対応で緊急疾患の受け入れ、手術が可能です。

大動脈瘤の治療法

大動脈瘤の治療で重要なことは破裂する前に治療を行うことです。と言いましてもすべての動脈瘤を治療するわけではなく、破裂の危険性のある大動脈瘤に対して治療を行います。胸部大動脈瘤や腹部大動脈瘤など部位によって、破裂の危険が出てくるサイズがある程度決まっており、そのサイズ以上の大きさの動脈瘤に対しては早めの治療が必要です。また多くの大動脈瘤は徐々に拡大しますので、小さなサイズでも定期的に確認して治療のタイミングを逃さないようにしなければなりません。治療法は大きく分けて2種類あります。まず開胸や開腹手術が必要となり、胸部大動脈瘤の場合は人工心肺使用が必要となる、大動脈瘤切除、人工血管置換術です。これはある程度大きな手術になりますが、大動脈瘤が人工血管に置き換わるので根治的な治療となります。そしてもう一つがカテーテルを使用して行うステントグラフト治療です。これは動脈瘤の中にステントグラフトと言われるデバイスを留置することで動脈瘤がさらに大きくなることを予防する治療です。動脈瘤が残るため根治性という意味では人工血管置換術にやや劣りますが、開胸や開腹を行わないので体への負担が少なく、ご高齢者に適した治療と言えます。患者さんごとに治療法を十分検討し、このいずれかの治療または組み合わせた治療などをご提案しております。ツカザキ病院では人工血管置換術とステントグラフト治療、どちらの治療も経験豊富な術者がおりますので、いずれかの治療に偏ることなく、フェアで妥当な治療方針をご提案させて頂くことが可能です。また、人工血管置換術を選択した場合でも可能な限り低侵襲となるような手術を心掛けています(当院での腹部大動脈治療は数cm切開での小開腹人工血管置換術を実施しています!!)。
上記のように大動脈瘤は破裂前に治療するのが理想ですが、実際は破裂し重篤な状況で救急搬送となる患者さんもおられます。急性大動脈解離と同じく、救命のためには緊急手術が必要な疾患です。治療の遅れが命を失うことにつながるため一刻の猶予もありません。ツカザキ病院では麻酔科医師や手術室スタッフの協力のもと24時間365日緊急手術を速やかに行うことができます。また、救急搬送から治療開始までの時間も非常に早く、これまで多くの患者さんを救命してきました。心臓血管救急という観点でも今後も地域の皆様のお役に立てればと考えています。

大動脈瘤以外によく診る疾患について教えてください

ツカザキ病院には透析患者さんが多くいらっしゃいます。透析患者さんはどうしても動脈硬化が進みやすく、狭心症などの虚血性心疾患や、大動脈弁狭窄症などの弁膜症といった心疾患に対する手術は日々行っています。また動脈硬化にて下肢動脈の狭窄、閉塞が起こる下肢閉塞性動脈硬化症は重症化しやすく、進行すると下肢壊疽につながる恐ろしい疾患です。治療のためには下肢血行再建が必要で、循環器内科の下肢専門の医師と共に日々協議し、患者さんごとに適切な治療方針を考え実施しています。カテーテル治療とバイパス手術を併用したハイブリッド治療も循環器内科医師と協力して多く行っており、チームワークの良い当院の特徴であろうと自負しています。また、透析患者さんに欠かせないシャントやシャントトラブル時の対応も日常的に行っている治療の一つです。私たちは血管を吻合することに関してのプロですので、クオリティの高いシャントを作成する義務があると考えて手術を行っています。

どのようなことを心掛けて診療に当たっていますか?

心掛けていることは、私たちのところで手術を受けることを決心された患者さんに対して、満足のいただける治療を行うということに尽きます。それは即ち、安全で確実な手術を行うことです。究極的には一切の妥協のない手術を、合併症ゼロで行うことが目指すべきところで、そのために必要なこと・注意すべきことなどを常に考えています。具体的にはしっかりとした術前検査から患者さんごとの特徴や注意すべき点を詳細に把握し、それらを意識した手術計画を練ります。そしてその計画をイメージして実際の手術に臨みます。術後は患者さんが回復していく過程で、足元を掬われるような問題が起きないように、経過を予想しながら先手必勝の意識で治療を行っていきます。心臓手術となると当然リスクがないわけではありませんが、上記のような十分な準備、手術、術後管理にてリスクはゼロに近づけることができると思っています。そのためこの一連の流れには妥協が許されないと肝に銘じています。

最後に読者へメッセージをお願いします。

手術というと怖い、痛い、できることなら受けたくないといった印象を誰しもが持っていると思います。しかし、手術によって命を救えたり、元気になったり、苦しんでいる症状から解放される疾患が多数あります。私たちは、是非ともそのような疾患でお困りの患者さんのお役に立ちたいと考えています。そして当院にて手術を受けられる患者さんには、持てる技術や知識をフルに活用し、全身全霊をもって治療にあたらせて頂きます。ですので、心臓血管疾患にお悩みの患者さんはお気軽に私たちにご相談いただければと思いますし、そのような患者様を診られた近隣の先生方はお気軽にご紹介いただければと思っています。それに応えられるようにこれからもレベルアップに努めます。

トップページへ

ページトップヘ