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ドクターインタビュー DOCTOR INTERVIEW

ドクターインタビュー

健康寿命の延伸をめざして

整形外科 顧問 栗岡 英生

どのような診療を行っていますか?

ツカザキ病院整形外科では多様な運動器疾患に対する治療が可能で、それらに対する手術を中心として診療を行なっています。病院の性格や地域性から、骨折を中心とした外傷治療が診療の中心となっております。他には人工関節(膝、股関節、肩関節)などの関節外科・手根管症候群・肘部管症候群など手術による改善が望める末梢神経障害などにも対応しております。

骨脆弱性骨折について

骨脆弱性骨折とは骨粗鬆症をベースに、転倒など軽微な外傷で発生する高齢者に多い骨折です。大腿骨近位部骨折(股関節)・橈骨遠位端骨折(手首)・上腕骨近位端骨折(肩)・腰椎圧迫骨折などが挙げられます。現在日本は過去に例のないほど急速な高齢化が進んでおります。2025年には、いわゆる「団塊の世代」800万人全員が75歳以上、つまり後期高齢者となります。当院でも上記の症例が年々増加傾向です。厚生労働省の統計では、65歳以上で介護が必要となった症例の原因として「骨折・転倒」が12.5%となっており、今後も増加が予想されています。

骨脆弱性骨折の治療法

最も手術が必要な骨折は大腿骨近位部骨折です。これは「立つ・座る・歩く」といった人間として最も必要な機能が喪失することを意味し、早期に手術を施行しリハビリを行うことが重要になります。また橈骨遠位端骨折・上腕骨近位端骨折のどちらもギプスなどの外固定で治療は可能ですが、関節付近の骨折であり、機能障害を最小限にするため手術をおすすめするケースも多いです。近年は手術方法・手術器械・麻酔法も進歩し、患者さんへの負担も少なくなってきており、安心して手術を受けていただけると思っております。腰椎圧迫骨折に関しては、コルセットなどによる治療が一般的ですが、なかには骨折の程度が重く、長引く痛み・下肢のしびれや麻痺などの症状が出る場合もあります。そのような場合は当院脳神経外科脊椎専門医にご相談し、最も適切な手術治療などを検討いただいております。

変形性関節症について

変形性膝関節症や股関節症、変形性腰椎症などの患者さんもよく来院されます。多くは保存加療(投薬やブロック注射)で改善もしくは、日常生活に支障のない程度にはコントロール可能です。しかし、痛みが強く日常生活に支障をきたすような場合は手術加療を検討します。膝や股関節は体を支える重要な関節であり、痛みがあると動くのが億劫になり、さらに筋力低下や体重増加をきたし、結果的に痛みを増強することもあります。保存加療・手術加療いずれでも早期に痛みを除去し、日常生活に復帰することが最も重要です。最近は人工関節手術の成績も安定し、ご高齢者でも安全に手術を受けていただけるようになってきております。

どのようなことを心掛けて診療に当たっていますか?

心掛けていることは、病気・外傷を総合的に加療するということです。我々整形外科医は運動器を専門に扱う診療科です。ついつい四肢末梢、一つ一つの骨・関節に注目しすぎてしまう傾向があります。もともとの持病、生活環境などは患者さんそれぞれ違いがあり、各診療科、各部署と連携を綿密にして、患者さん一人ひとりに適した治療を心掛けております。

最後に読者へメッセージをお願いします。

日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、平成28(2016)年時点で男性が72.14歳、女性が74.79歳となっております。平均寿命とは10歳程度の差が生じており、つまり介護が必要になってから死を迎えるまで10年ほどの期間があるということです。その期間をできるだけ短く、もしくは死を迎える直前まで元気に動けるお手伝いをするのが整形外科の努めと思っております。特に女性に関しては、閉経後は急速に骨密度が低下し、脆弱性骨折をきたしやすくなります。近年は骨粗鬆症治療薬の開発が進んでおり、当科でも積極的に治療にあたっております。かかりつけの先生や、当科にお気軽にお尋ねいただければ幸いです。

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