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ピックアップ Pickup / Column

楠山Dr

見るとやるでは大違い

こんばんは。
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月下旬なので当たり前であるかと思いますが、寒くなってきましたね。
いつの間にかセーターを出しています。
カテーテル検査室も少し忙しくなってきました。
やっぱり循環器内科は冬場の商売なのでしょう。
さて、先日はハンバーガーで盛り上がり、次回はカテーテルで真面目なブログと宣言しておりますので、カテーテルのお話です。

カテーテルって皆さんが思う外科手術みたいに派手さはないです。
カテーテルができる場所はたったの6カ所。
手首・腕・足の付け根、左右ありますので6カ所です。
で、そこからカテーテルを入れて、私でしたら主に100cm 先の心臓の血管をゴソゴソしているのです。

まあ、自分たちのことを土管工事屋さんと呼んでいるぐらいです。
傷はカテーテルを入れたところだけ。
手術も検査の延長線上にありますので、傷を見ても検査なのか、手術なのか分かりません。
時々、患者さんに「今日は手術だったの?検査だったの?」と聞かれることがあります。
「アレ~、ちゃんと事前にお話しているはずなんだけどな~」と思いながら笑顔で答えるようにしています。

ま、医者の説明はわかりにくいですよね~。
できるだけ専門用語は使わないように頑張っているのですが・・。
でも自分の検査・治療でしたらちゃんと自分で理解していた方が良いですよね。

さて、私の仕事であるカテーテルですが、私にも初めてのカテーテルはあります。
最近、研修医の先生も付いてくれていますので、一緒にカテーテルをすることもあります。
カテーテルの器材、技術は良くなってきているのは事実ですが、実はやっていることは大きく変わりません。

基本さえしっかりして、毎日一例ずつ自省して努力していれば「ある程度」まではみんな上手になることができる手技です。
あ、「ある程度」は普通の手術はできるという所だと思います。

ただ、やっぱり人に教えられて習得することと、現場で自分の眼で観察して、何が大切かを探して自分なりに解釈して身につけておくことは大切ですよね。
なんせこの業界はどこまで座学・知識で経験していても最後は臨床現場で体験するときに大きな段差を乗り越えないといけません。
そこで助けてくれるのは幅広い知識なんですけどね。

ココが難しいんですよね。
私も初めてのカテーテルの時は手が震えていました。
だって、動脈に管を入れるんですよ。
どう考えても普通の生活をしていた24歳男性からするとおかしいですよね。

勿論、大学でも学生時代にやることはありません。
医者になって実際の検査の習得が始まります。
最近、シミュレーターもありますし、教育環境は良くはなってきているのですが、やっぱり実際の人間と模型はカテーテルの感触、雰囲気が異なります。

結局初めて実際に手技を患者さんにするときは大きな段差があります。
どの科であっても医師はその大きな段差を乗り越えて行かないといけません。
その為に 100% とはいえないですが、座学、幅広い知識、先輩の手技を盗んできた経験、その辺りをかき集めてそれぞれ乗り越えていきます。
勿論、その一部に指導的介助を行う医師がいるわけです。
その一歩は非常に大きいし医師人生で思い出深い大切な一歩になるはずです。

最近は私がいつの間にか指導する立場に立っておりまして、指導方法に悩むこともあります。
良い悪いはともかく、今と昔では時代が違うようですのでね。

どうしても患者さんの安全第一で教育は2番目以降にすることは心に決めているのですが、安全な範囲でできるだけ頑張らせたい。
そうなると彼らの手先を見て彼らの感じている感触を想像している自分に気付きます。
結構、コレって頭、疲れるんですよ。

クラブ活動と一緒で私も先輩方からカテーテルを指導されていたときは、ヒヤヒヤさせた事も数多くなるんじゃないかな、と思いますので、先輩にやってもらったことを後輩にしてあげるぐらいしかできません。

人それぞれで合った指導は異なりますので、それぞれが効率的に体験できるように工夫はするようにはしているんですけど、本当に人に教えるって難しいですね。
技術の伝承、誰にでもできる事を目指すことも重要です。いつかAI がそこを越えてくるかもしれませんが、全てを誰にでもできるようにするのはどうしても難しいんじゃないかな、とも思う今日この頃です。

グダグダ言っていると紙面がなくなってきました。

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晩秋があっという間に行ってしまいました。
ふと空を見ると空が高かったです。
寒くなったときの月は綺麗ですよね。
あの碧 (あお) のかかった白い月は何故か見ると悲しくなります。
そうして家に帰ってみると美味しそうな干し柿が待っていました。

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これはこれで秋の風物詩ですね。
もうすぐ12月。冬がやってきました。
身体には気をつけてくださいね。
ごきげんよう。

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