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ピックアップ Pickup / Column

楠山Dr

本日は ICLS コースでした

お疲れ様です。楠山です。
今日の日曜日はとても良い天気であった様ですね。
「様ですね」って?と思われた方もいらっしゃったかもしれませんが、今日は当院で ICLS (immediate Cardiac Life Support) という蘇生講習会をやっておりました。

ま、読んで字の如く、心停止で倒れたときにどうやって対応するのかを実際に練習してお勉強するコースです。
私も循環器内科の端くれですので、救急と名のつくものはします。
ただ、私の場合は心血管系の救急が専門になります。

皆さん、街の至る所に AED がありませんか?
実は成人心停止の最大の原因は急性心筋梗塞症による致死性不整脈となっています。
さすがに私達医師も目の前の患者さんには対応できますが、院外の患者さんには対応できません。

そうなると市民の皆さんが119番をして、胸骨圧迫とAED を使用して救急隊に引き継いで頂けると傷病者の社会復帰の可能性・救命の可能性が高まります。
でも、急に目の前で人が倒れたときに適切な行動をとり続けるのはとんでもないストレスに晒されるので、言うは簡単ですが実際に行動するのは非常に難しい事です。

特に病院は病気の人が集まっているところですので、急な事が起こりえます。
起こらないことが一番重要なのですが、それに対応できるようにしておかないといけません。
医療従事者も人間ですので、急にストレス状況下に放り込まれると、いつもの実力は出るわけがありません。
あんな医療ドラマみたいにいくわけないやん!
(
その辺もドラマの医療監修してほしいわ(-.-#)。ボクはマイケル・クライトンの「ER 救命救急室」の若いエピソードが好きでした・・丁度カーター君ぐらいだったので)

コホン。兎も角・・

その為、スポーツと同じように練習をして身体と心に適切な行動を刻み込まないといけません。
ま、脊髄反射で行動できるように、ですね。
でも結構難しいんですよぉ。
あと、救急の現場ですと時間を止めて教育はできません。
でも、off job training の良いところは時間を止めてみんなで検討して正しい行動の根拠を理解する事ができます。

そういうことで折角のお休みの日曜日を使って講習会に来てくれました。
受講生の皆さん、そしてインストラクター・運営スタッフの皆さんありがとうございました。

実はこのような蘇生講習のワークショップは幾つか種類があります。
それぞれのコースで大切な事は異なるのかもしれませんが、私が大切にしていることは

1.蘇生行為の正しい行動、その根拠をもう一度振り返って、頭と心の中に刻み込む。

2.新しい人間関係を構築するコミュニケーション力のトレーニング。
   1グループ6人ですが、知らない人もいます。
   勿論、インストラクターは知らない人が多いです。
   だって、急変時はいきなりチームを組むことも多いですよ。

3.インストラクターには教えることで、もう一度知識の確認と他人に教えることの難しさ、方法を考えて頂く。

この辺が大切ではないかな、と思っております。

研修医1年目の時、私が尊敬する恩師 故 吉川純一教授は、ある手技ができて私がちょっと喜んでいるとき、それを御存知だったかは分かりませんが、大学病院のエレベーターの中で「楠山君、手技は See One, Do One, Teach One だよ。人に教えることで君の手技は完全なものになる」と言われました。

ただ残念なことにエレベーター内で教授の言葉を十分理解することができず、私も卒後5年目ぐらいの医者の時期は「自分の」腕を磨きたい、という気持ちが大きく、教育なんて全く興味も無かったのですが、ある時、ある先生にお目にかかって蘇生教育のプログラムに入れられました。(受動態・・)

私のポリシーは「ま、やってみましょ」ですので、やってみると自分の行動に根拠ができるのは安心感と自信ができますし、サービス業ですのでどうせ教えるのなら相手に楽しかった印象を残してもらおうとすると教え方・伝え方を研究します。

実は今の医師としての私を形成したのは蘇生教育プログラムではないか?と思う事があります。
蘇生教育のインストラクターコース、結構職場やプライベートでも役立つことがありますよ。

今日のコースはお世話係ですので、会場を徘徊しながら皆さんの手技を見せて頂いたり、白板の後ろに隠れて皆さんの議論を聞いていたりしました。
なかなか面白い議論もありました。

皆さんにお渡しする実績証にサインをしながら色々と考えるんですね。
この時間は臨床医である私にとっても大切な時間なのだと思います。

次の課題は世代交代です。
タイパと言われると近視眼的には休みを使うので人気は出なさそうですが、人生という長い視点で見てみると良いものなんですけどね~。
最後に少しその話をさせて頂きました。
誰か、引き継いでくださる方、いないかな~。

年に1回、色々な原点を思い出させてくれる講習会なのかもしれません。
ちょっと疲れが出てきました。
おやすみなさい。

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