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ピックアップ Pickup / Column

楠山Dr

当直と教科書と研修医とお弁当

おはようございます。
朝夕は少し涼しく感じるようになってきましたね。
青空も秋らしく高くなったように思いました。
その話を看護師さんにすると「まだお昼は○ソ暑い日ですけど・・」なんて事を言われました。
(
○は勝手な楠山ブログコードにより一字削除・・)

ふと思ったんです。
よく考えるとお昼は院内フリー(外出不可)ですので、お昼の外界の状況は知らないわけです。
ちょっと沈黙してしまいました。
で、今は日曜日の午前815分なのですが、確かに空調を入れていても陽が差してくると暑い・・。
その看護師さんの仰った通り確かに「ク○暑い」ですわ・・
(
これまた楠山ブログコードにより一字削除)

さて今日のブログの題名は関連性がなく、言葉のサラダ(これ、立派な医学用語です)の二歩手前のような感じですが、「セーラー服と機関銃」のように、今日はコレに意味を持たせたいと思います。

先日当直をしておりました・・・。
その日は研修医2年目の先生と当直しておりました。
私は1年目の時は見せる、2年目の時はやらせてみる、を基本路線にしております。
「今日は宜しくね・・」と挨拶をしたのですが、常識として後輩がまず当直でやるべき事があります。
私は待っていたのですが、その研修医、それをしてくれません。

当直開始2分でする「べき」事でありますので、最近の研修医教育がなっていない!と思い、「先生、夕ご飯何食べる?」と私から聞いてしまいました(>_<)

当直はある種のギャンブルです。
電話一本で救急や手術対応であっという間に5,6時間経過することもあります。
鉄則は「食べれるときに、食べる。寝れるときに寝る」です。
ま、最近は独りの時は栄養科さんが作ってくれた夕ご飯です。
結構美味しいし、中年には良さそう(^_^)なんです。
栄養科の愛を感じます。

で、その彼。
急に笑顔になって「お肉食べたいです!」と言うじゃないですか。
勿論、後輩が食べたいものを食べさせる。
これも当直の上司の常識です 。
(
金さえ出せば、上司が自分が食べたいものを後輩に押しつけてもOK)

嬉しそうにスマホでこそこそと注文しておりました。
その注文の後、救急外来に一人来て、まずは一人で診てもらってその先生の判断を聞いて一緒に診てきました。
そうすると夕ご飯が着きました!

当直中の先輩との夕食の時間は研修医時代の私にとっては非常に勉強になる時間でした。
日中と違って上も余裕があります。
彼には2日前の救急対応で教科書の1ページをコピーして渡したのです。
当直の時に質問に答えようね、と言っておりましたので、見たところ、あげた資料(A4用紙)に色々と書き込んで持ってきました。

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勿論、お弁当が冷めては勿体ないので食べながらお話をするのですが、真面目な先生なのか、一生懸命聞いて教科書に更にメモするわ、全然食事は進んでいません。
私より良い弁当を頼んだのに温かいウチに食べないと勿体ない・・と思いながらこちらは構わず食べながら議論・質問に応じていると次は一生懸命考え込んでいるんです。
(
その時にはこちらは食事終了!)

今は教科書に書いていること、AI に聞いて調べる時代なのでしょうが、知識と実践、いや実戦は異なります。
実臨床の混乱した現場で得た経験を教科書などで自分の中で自分なりに体系立てて落とし込んでいく作業が私達の仕事には必要不可欠なのでしょう。

教科書に書いているだけのことをそのままして上手く行くことは少なくとも私がしている仕事の中では少数なように思います。
その混乱した状態を許容される混乱で秩序立ててクールに状況をコントロールするのが循環器内科医の格好良いところです 。
(
日本中で格好良い循環器内科、絶賛募集中!)

その日の議論のテーマは、いつ、なぜ、電気ショックをするか、だったんですね。
御想像の通りそのテーマは緊急事態ですので、その時の咄嗟の判断・運用が必要です。
ま、教科書には色々書いているけど、「正しい 100%」で決断できないよ、総合的に考慮して決断しようね、って事を教えるって難しい。

医師国家試験はマークシートのはずですのでどうしても、○か×、の判断です。
でも人間ですからそれが上手く行かない、コレが数学や物理学と医学が異なる部分なのでしょうね。

そこが医学の興味深く、一生涯深めていくことができる終わりなき学問だと思うんですよ。
救急外来やカテ室での首筋がピリピリする予感とか、当たるとちょっと嬉しくなりますよね。

そんなに難しく考える必要ないのになぁ・・って思うんですが、教科書通りだけで判断しては現実から解離する、という事実を知ったときは私もそんな顔をしていたのかもしれません。
だからこそ、ベッドサイド・現場でしかウデは磨けないんですよね。

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色々お話して最後はこんな顔になったので、ヨシ!としましょう。
で、夕食の時間は平和に終わったんですが、その日はそこからその電気ショックをする機会が集中治療室と救急外来と2回もありました。
しかもその2回は違う状況・・・!

いや~、神様は私達を見ていたのでしょうか?
座学と実践をして電気ショックは今日で習得しろ!と。

それぞれ決着をつけて翌朝、彼は栄養科の暖かい朝ご飯を頂きながらまとめの議論をしていると「勉強になりました~」と笑顔でしたが、こちらのおっさんは睡眠不足の顔で「おつかれさん・・・」がやっとでしたが・・。

あ、研修医の先生の肖像権は自分で喜んで放棄して頂きました・・・。

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