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ピックアップ Pickup / Column

楠山Dr

The Last Lecture by Dr. Yoshihisa Shimada

こんにちは。楠山です。
朝晩は寒くなってきましたね。
いかがお過ごしでしょうか?
世間様ではインフルエンザが少し早めに流行しているという噂を聞きました。
この時期はどんな病気にせよ体調を崩しやすい時期です。
体調管理をお願いします。

さて、久しぶりに英語の題名をつけてみました。
日本訳では「嶋田芳久先生の最終講義」となるのでしょうか。
ああ、冠詞の扱いは不得意なので、もし英語に堪能な方がいらっしゃったら当院まで御連絡ください。

さて、「最終講義」って皆さん、御存知ですか?
皆さんコレまで色々な講義を受けてこられたのではないでしょうか?
ふと、思ったんですが、高校までは授業ですね。
大学以上は講義。
授業と講義に関して違いをみてみると、授業は体育など全ての学科で先生と生徒がやりとりしながら進めるもの。
講義は先生が「一方的に」話して知識を伝えるため、学生は「自主性」が求められるそうです。

ま、講義の方が専門的ですし、受けている学生側も専門分野ですので、授業より自分で勉強するネタ・きっかけをくれる場所、ってことですね。
ま、大学生は自由人でないといけません。
勿論、勉学を探求するもヨシ、クラブに励んで医学部チェロ科を専攻するもヨシ、雀荘で確率論と人間観察に関して深めるもヨシ、ただ自己責任ですが・・。

実は授業料が勿体ないので、という訳わからん思い込みで大学の講義はほぼ全出席です。
正直興味を惹かれない講義もありましたが、後で役立ったり、みんなは「面白くなさそうに」聞いていても捉え方を自分で変えてみると面白い講義はありましたね。

できればそのテーマの面白さを素人に分かりやすく説明してほしいのですが、難しいですよね・・。

さて、その講義ですが特別なものとして「最終講義」があります。
それは大学教授が退官されるときに催される講義です。
ただ、その講義はいつもの教授の専門分野の講義ではなく、その教官の人生の総決算となるような講義です。

ですので、内容は概ねその先生の専門分野のお話を起点としたその先生の教師人生の歩み、そこから得られた深い洞察と知見に根ざした私達後輩への贈り物(お話)です。
ここまで読んで頂いてお分かりかと思いますが、「最終講義」はその教官の人間そのもののお話です。

以前、読書が好き、とブログに書かせて頂いたことがあります。
小説ってその登場人物の人生を疑似体験できますよね。
それが社会勉強になります。
最初に長編小説で覚えているのは司馬遼太郎の「項羽と劉邦」です。
読んだときは、リーダー論についてちょっと考えた事があります。

さて先日、ある内輪のカテーテルの研究会がありました。
丁度噂で、カテーテルの第一線から離れられる嶋田先生が発表されるという噂を聞きました。
嶋田先生は一緒に働いたことはないのですが、ツカザキ病院のOB でもあり、昔からなぜか出来の悪い私によく声をかけてくださっていました。

その嶋田先生、非常に面白い先生です。
ユーモアもありながら、仕事は信じられないぐらいしっかりされ、それでいてお肌は綺麗・・。嶋田先生の事ですから絶対面白可笑しく発表されるはず、と期待して研究会に参加してきました。

さて嶋田先生の発表の番です。
カテーテルの会ですので、非常に勉強になる症例を期待通り聴衆を惹きつけながらユーモアたっぷりに発表してくださった後(カテーテルの発表で笑い声が聞こえることは滅多にありません!)、医者の人生へテーマは移り、私達後輩を叱咤激励するお話をしてくださいました。

先生、仕事の事、プライベートな部分も話してくださりながら、私達に「プライドを持って全力で頑張れ!」と励ましてくださっていました。
丁度、私は最近日常生活のルーチンの中につい囚われてしまっていて (勿論、「日常生活」も生きていくためには必要不可欠です!)、新しい事にチャレンジする事ができていなかったので、ちょっと恥ずかしくなりました。

他の先生方も感じていたかもしれませんが、私は現在、中年になって医者人生の折り返し地点を過ぎた辺りで、後半戦、何をしていくかを自分なりに探しております。
その時期であるからか先生のお話が特に心に刺さったのかもしれません。
先生の発表が終わった後、スタンディングオベーションをしておりました。
独りでしたけど・・・。最終講義なのに・・。

先生とお話する機会があるかな、と思っていたら「昨日の患者さん、気になるから病院に帰るわ。ゴメンな」と言い残して風のように去って行きました。
その辺も先生らしい。
そんな大変な生活に一区切りをつけて、自分の時間を持ちながら次の人生を歩んで行かれるんだろうな、と後ろ姿を見ておりました。
でも自分の先輩がいなくなるのはちょっと寂しいものですね。

研究会の後、梅田でしたのでちょっと独りになりたくて、よく行くお店にわがままを言って独りでお邪魔しました。
独りで食べているといろんな事を思い出しますね。
先生とは腐れ縁と思っておりますので、また会う機会はありそうですが、嶋田先生、お疲れ様でした。
先生の新天地での益々の御活躍と御健勝をお祈りしています。

ちょっと出来の悪い後輩ですので、先生の想いのどれだけを現実化できるかは分かりませんが、頑張ってきますね。
ありがとうございました。

先日は片岡先生とでしたが、やっぱり先輩と写っている写真って自分の笑顔が違うような気がします。
なんか、いつもより私が安心しているように見えます。
有難い話です。

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 Dr. Shimada, Bon Voyage

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