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ピックアップ Pickup / Column

楠山Dr

新しい学会様式

こんにちは。楠山です。
皆さんお元気でしょうか?雨がよく降ります。
今日は日曜日に家で静かに書いています。
色々な雨音が聞こえてきます。
寝ていても眼が覚めるような屋根を叩くような雨音、ポタポタと雨だれの音が聞こえるとき、サーっという音しか聞こえない雨、同じ雨でも色んな表情を見せてくれます。ショパンの「雨だれ」もありますね。
でもあれは多分弾く人で「雨だれ」にも「土砂降り」にもなるのでしょうか?

どんな雨の日でも静かにお家の中にいたいように思いますね。
独りで目を閉じて静寂を感じる時間も良いですね。

ただ、コロナのせいで最近、私も人と話すことが減ったように思います。
勿論、患者さんは変わらずいらっしゃいますし、院内でのコミュニケーションは変わりません。
ただ、外に出る機会はめっきり減りました。

確かに病院の仕事はしていないことになるので遊んでいることになるのかもしれませんが、院外に出る時間は意外と大切かな、と感じることがありました。
コロナ云々の前は研究会や勉強会がありました。
無駄、という考え方も確かに一般にはあるようですが、勉強会の中での自由な議論、症例の検討などでの経験の共有は私にとっては非常に日常臨床にも役に立っていたようです。

実は会が終わってからの情報交換会や飲み会は更に非公式発言出まくりで本音を聞くことができ、そっちの方が勉強になることがあります。

研修医の時は色々上司・先輩から習うこともあります。
5-10
年目は上司から叱られて育つことも多いです。
でも、医師として成人(20)してしまうとあんまり怒られなくなってしまいます。

その段階になると自分のやり方もある程度確立してしまっているので、手術をやっていてもルーチンワークになってしまうことがあります。
勿論、いつも通りの手術をする事は非常に重要です。
スポーツマンと一緒で自分のスタイル (ルーチン) を大事にすることで磨き込まれて成功率や集中力は高まります。
しかしながら、独り立ちしてしまうとそのパターンを大事にしてしまうのでそこからの進化・発展は自分で起こそうと思ってもなかなか上手くいきません。

処方でもそうです。
循環器疾患の薬剤はこの20年で大きく進化しました。
私自身は数年前に「もう新しい機序の薬はなかなか出ないかな・・」と思っていたのですが、最近、心不全に関する複数の新しく興味深い機序の薬剤が上市されるようになりました。

確かに今までの投薬でも大部分は上手くいっているのでしょうが、100点は勿論取れていません。
そうなりますと今より、より良い治療を求めてそのお薬を勉強しないとなりません。

実は怠け者である私は、つい現状を保持したい人間です。
パンフレットとかは読んで理解するのですが、なかなか初めての薬剤は使うのに心のハードルがあります。
頭では理解しているつもりなのですが、何か自信が無いのですよね。

そうなると外からの刺激が必要になります。
学会や研究会などは自施設以外の経験や知識を集める良いチャンスでもありますし、仲良くしてもらっている先生と会って色々な話をしている時にヒントを貰うこともあります。
手術に関してもお互い情報交換してみると意外と新しい観点が見えてきたり、自分が使っていない機材の印象を聞いて情報収集をしたりします。
あ、後は自分より先輩がいて教えてもらうことができるのも良いことです。

医者って実は科学者のはずなんですよね。
私自身、考え方は科学者でないとならないと思っています。
勿論、色々な科学がある中の医学という学問は数学のような美しさはない科学です。
私は門外漢ですが、数学は「解無し」を含めて唯一の正解がある美しい学問ですが、医学は同じ薬でも効果は人それぞれで異なる少し幅のある学問です。
だからこそ捉えにくいし、その雑多な情報の中から真実を見つけようとする面白い学問だと思います。

こんな感じで医師は科学者の端くれですから知的好奇心はそれなりに持っている集団です。
毎日、同じ事の繰り返しですと、どうしても脳ミソの元気が無くなってくるような気がします。

だから学会や研究会から返ってくると、何か元気をもらってくるような感じがします。
最近それが無くなってしまってちょっと寂しい思いをしておりました。
でも人間は強い生物のようでこれを機会に学会は Web 開催になりました。
直接会って、リアルタイムに雰囲気を感じながら議論することができないのは残念ですが、よく考えると仕事で行くことができなかった学会も参加することができるという利点もあるわけです。

今週は延期になった日本循環器病学会があります。
いかんせん初めての経験なので上手くリズム良く議論をする事が出来るかは分かりませんが、頑張ってこようと思います。 

残念ながらコロナウイルスもまた各所で出てきているようです。
学会も私達も新しい様式に脱皮していかないといけないのでしょう。
ただ、学会の後の離れた友人に会う方法は少し考えないといけないですね。
家飲みもすぐ寝ることができるので悪くないですが・・・「接待」は無くて良いので、飲み会したい・・・です(>_<)

写真は雨に濡れる緑です。
雨を喜んでいる存在もあるようですね。

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