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ピックアップ Pickup / Column

楠山Dr

見えないものの恐怖・・

こんにちは。今日は良い天気ですね。
ふと上を向くと春らしい空と風を感じました。
気付けばもう2月も終わりなんですよね。
このまま気持ちよい季節になってくれることを祈るだけです。

今回の題名は「見えない物の恐怖」です。

皆さん、多分先日から話題になっているコロナウイルスと思ったでしょう?
残念でした。ハズレです。
今日は当直で病院外に出ることはできないのですが、ベランダに出て風に白衣をはためかせながら、熱いコーヒーを眼を細くして飲んでいるとブログを書く気になったので、お付き合いください。

さて、皆さんは自動販売機でジュースを買ったことありますか?
大部分の方はありますよね?
反対に一生涯の中で自動販売機で物品を購入したことが無い方は御一報ください。
私なんか子供時代はジュース・電車の切符(初めての時はドキドキしました。今はICOCAであのドキドキ感が無いですよね)、学生時代は夜のサービスエリアでのホットスナック(あれ、自動販売機の中でおそらく電子レンジで「チン」して出てきます)、大人になってからはビールなどのお酒・・・と徐々に自動販売機との縁を着実に広げてきました。

どちらかというと大学時代は塾のバイト、引き続き昼夜の区別がない医療業界におりますので、他の方より自動販売機との縁は深いと自認しております。
当直中、救急外来で大変だった後、先輩と当直室に帰る途中にある自動販売機で
「くすやま~、ちょっとしんどかったなぁ(>_<)。飲み物買って帰ろうぜ」
と先輩がやや汚れた白衣のポケットから小銭を出して自動販売機に入れて
「好きなの押せよ」と言ってジュースを奢ってくれるのは、懐かしき研究医時代の当直の一風景です。

夜の病院も指導医も全然印象が違います。
自動販売機の光を浴びた横顔は結構かっこよく見えます。
でも、その時でも自動販売機を見るとちゃんとそのボタンを押せば出てくる商品は分かりますよね。
それは常識。鉄板でないといけません。

しかしその長年の常識は先日無残にも打ち砕かれました。
気分転換に家の近くを散歩しておりました。
別に哲学をしていたわけでは無いのですが、無目的に歩くと考え事ができますね。
その時、いつもは出勤のために暴走する道端の自動販売機に目が行きました。

何故かと言いますと、自動販売機の中に黒い物体を認めたからです。
普通、商品は目を引くようにカラフルな色であるべきです。
しかし、「黒一色」。黒という色は好きですが、びっくりです。

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いかがですか?怪しい、露骨に怪しい・・・。
「ペットボトル?」、「コーヒー?」って怪しすぎますよね。
勿論意味はわかりますよ。
「ペットボトル?」はおそらく「何かわからないけどペットボトル飲料が出てきます」ということです。

意味はわかるのですが、もし心の中で「お茶飲みたい!」と思っていて「レモンティー」が出てきたら「ペットボトル?」を押したとしても口がその気分ですから相当に悲しい気分になりますよね。
ちょっと運試しに挑戦してみようかな、と思ったのですが流石に勇気が無くやめました。

何となく後ろ髪を引かれる思いがして少し歩いてから引き返してきたのですが、やっぱり硬貨投入までは行きませんでした。
その後の散歩はあの自販機であの謎に満ちた商品を買うのはどんな方なんだろう・・・ということを考えているとあっという間に家に帰り着いてしまいました。

世の中には不思議な物があるものですね。
実はその自動販売機、通勤路にずっとあったわけです。
でも今まで気付きませんでした。
自動車で通り過ぎるのと歩いて通り過ぎるのでは同じ道でも見える景色が違うんです。

同じ物でも見方が変われば違って見える、これ仕事でも大切なことですし、自分が見えている景色が真実と思い込むと世界が狭くなります。
違った観点を同時に見て理解できると人間関係も仕事も更に面白くなるのでしょう。

もうちょっと気候が良くなれば、たまにはいつも通っている道やいつもと違う道を通るのも新発見できて悪くないかもしれないですね。

春はもうすぐですが、三寒四温と申します。
体調には十分気をつけてくださいね。

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