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ピックアップ Pickup / Column

楠山Dr

ある忙しい日

こんばんは。楠山です。今、午後735分です。
普通は夕ご飯を食べてちょっとお楽しみの時間・・・となるところですが、先程起きました。
休みの日ならそんなことがあっても良いじゃないか、ってお考えの方もいらっしゃると思いますが、ちょっと遅すぎますよね。

こんな新緑も美しい季節なのに何、趣無いことしてるの?って?!
実は当直明けなんです。当直も色々あります。
全く呼ばれずに完封勝利を飾る場合もあれば、PHS を投げ捨てたくなるぐらい電話が鳴って休むこともできず、ボコボコにされたボクサーのように夜の病院の廊下をフラフラ歩く場合もあります。

当直って本当に水物です。
来るのか、来ないのか、それが問題です。
来たら来たで経験にもなりますし、患者さんが良くなってくれたら嬉しい。
急性心不全なんかも1勤務帯(8時間) で症状は軽くなる方もいらっしゃいます。
翌日回診したら「だいぶ楽になりました・・」って言われると、この商売やっていて良かった、と思える瞬間ですよね。

じゃあ、来なかったら医者は何をしているかって?色々ですよ。
医局で残務に埋もれている人もいれば、ネットでなにやら調べている人、静かに小説を読んでいる人、同僚とカルテの前で議論している人様々です。
寝てる人もいます。
そうそう、最近では研究会もWebでされるので、研究会に参加している人もいます。
それぞれ思い思いの時間を過ごしています。

私の場合、大体は仕事が遅いからか当直は残務を済ませるチャンス!と割り切っていて、やることリストを作っています。
その日の仕事が終われば夕ご飯を食べて粛々と業務処理をしていくはずだったのですが・・・。

昨日は違いました。
こんなに気候が良い季節なのに近隣の先生や救急隊からの電話が鳴り止みません。
仕事があるのは有難いことです。ぶっちゃけ医療業界も客商売です。
「あそこは行かない方が良いよ」なんて言われるよりは、忙しくても声をかけてもらえるというのは有難いことです。

電話を受けたときに、その患者さんを診ることができるかを判断するのも医者の腕です。
例えば手術していて、他に医者がいないときにその要請を受けるのはダメです。
それは無鉄砲・無謀です。
でも、今の仕事が終わりそうであれば、次の患者さんが来るまでの時間を上手く使えば対応することができます。
それはスマートな効率よい仕事です。

そうです。結果で同じ事やっても評価が正反対、大人の世界って厳しいなぁって感じた事柄の一つです。

救急医療って、テレビで見たことがありますが、飛行場の管制官をやっているような感じかもしれません。

さて仕事って8時間ずっとやり続けている訳ではないですよね。
病院内の移動やちょっとお茶を飲む時間、同僚と雑談する時間ってありますよね。
その日はあれが無い状況でした。
で、どうなったかというと・・・私の場合は・・

段々、考える力が落ちてきますし、心の中に波風が立ってくるんです。
私達の救急外来での仕事はできるだけ効率的に情報を集めて、その情報を元に方針を決断することです。
文章にしてみるとたった1行ですが、同時に複数の患者さんに対応していたり時間に追われたりすると、どの仕事でも経験されることと思いますが、結構難しいことになるんです。

人間の頭って不思議ですよね。
私は暇よりも忙しい方が良い、と思う人間ですが、切れ目なく頭を働かせていると疲れてくるのが分かります。
疲れといっても頭が痛くなるとか、筋肉痛が出る、といった事ではなく、決断が遅くなる、とか迷いが出てきて考えがまとまりにくくなる、といった事が起こります。
ただ、自分の状況って自分で把握するのは難しいことですよね。

先日はいつもであれば腹が立たないようなことでなぜか「かちん--#」と来てしまったことに気付きました。「
あ、感情がコントロールしにくくなってる」って。
状況にも依りますがコレに自分で気付くことができれば、仕事を止めて自分のメンテナンスをすることができます。

昨日は昼ご飯も食べていなかったので、止めることができる所で仕事を強制停止させ、研修医の先生を連れて、売店で焼きそばを買って、お湯を入れて給湯室でコーヒーの薫りをかぎながら目を閉じて深呼吸しておりました。
コーヒーの香りってアロマ効果があるらしいですが、アレ、本当だと思います。
ただ、その焼きそば待ち時間が3分ではなく、1?!であったのは計算外でしたが・・。

研修医の先生も一緒に行動していたので、指導医が追い込まれていく姿を見られてしまったのですが、どうやってそんな状況になっていくかを見て頂くのも大切な研修でしょう(自己正当化?)

私がトレーニング受けていた時、幸せなことに指導医の先生方、とてもスゴい先生達でした。
格好良く仕事するし、飲み会も楽しかったです。
でも稀にプレッシャーを受けている姿を見たこともありますが、それはそれでその時の対応・姿勢を見ることができて良い経験になった物です。

先輩方のように格好良くはなかったかもしれませんが、研修医の先生の参考になれば、それはそれで良しとしましょう。
その後は病院を離れて、よく寝てブログ書いて、だいぶリラックスしてきました。
もう一眠りしましょうか。お休みなさい・・・。

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