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ピックアップ Pickup / Column

楠山Dr

さよなら25年の友人

こんにちは。
早いもので今年になって2ヶ月が経ちました。
今、東京から帰る新幹線の中です。
この時間は寝るか、雑誌を読むか、ブログ書く、の時間です。
旅先っていうのはちょっと非日常でもあるので、ブログを書きやすいんですよ。

私のブログは書きたいことが先にくることもあれば、写真を撮りたくなる風景に出会ってブログができることもあります。
旅先では後者が多いんですよ。でも今日は前者。

何回か往復していると新幹線の車窓も知った景色が幾つか出てきます。
品川から乗って席に落ち着いたらもうすぐ新横浜です。
年度替わり、年末は別れの季節です。
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月とか10月ぐらいに廊下を歩いているときに声をかけられるのは大体良くない徴候です。
更に「あのー・・」とか言い出すと退職のお知らせか、ロクでも無いことの報告と相場は決まっています。

さて、さる2026225日、私のカテ室人生で最も長い友人との別れがありました。
当科のみんなともそんなに長い付き合いをしている人はいません。
そういうことを思うと、この別れがどれだけ私にとって大きなものであるかがお分かりになると思います。

誰でしょう?そう、実は人間ではありません。
その名前は「Everest」 です。
この機器は私がやっているカテーテル治療では必要不可欠、無くて手術は絶対にできません。
しかも手術で機材代金を請求することもできない完全に裏方、日陰者(>_<)です。
文章にしていると可哀想すぎる・・・。

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でもくり返しになりますが、手術には必要不可欠な物品です。
用途は治療用の風船を広げるための機材です。
そう。風船でもステントでも石灰化を削ったり、血栓を溶かしちゃう等の直接血管治療に関わる機材ではないのですが、大切な機材です。

どうやら話を聞くとコロナ禍の時に部品会社が潰れちゃって、製品を作ることができなくなったみたいですね。
で、そのMetronic う会社、他の会社に作ってもらおうとしたみたいですが、自社の基準を満たすことができなかったから、潔く製造中止しちゃったみたいです。

色々な医療機器メーカーはあり、Medtonic という会社は先輩方もよく使っていたから私も使うようになったのですが、ペースメーカーを発明した会社だけあって、技術者集団の側面は持っているように思います。技術者集団であるから故に品質に厳しく販売中止にしたのでしょう。
そういう企業姿勢は潔くて好きなのですが、それだったら自社で納得する部品も作ってよ!と思いません?
でもやっぱり外資、ビジネスライクに商売になるかも考慮して決断されたのでしょう・・。

さて、その Everest 販売中止になったときには私より年上のオジサマ世代では少し話題になりました。
勿論、私もあるだけ買い占め。
その買い占め分がくなろうとしたときにその会社の方が「先生、倉庫に残っていた部品で作られた Everest があるのですが、使ってやってもらえませんか?」とおずおずと言いにました。

くなったと思ったら部品が倉庫から出てき、勿体ないから作ってみた?!、なんか会社の不祥事なんかで後で書類が出てきた!みたいなことを言い出したのですが、「全部もらうわ!」と更に買い占めました。

更に最後の一つは記念に会社の方が私にくださいました。
私にくれた一つ以外は全て使用し、他の会社のインデフレーターを渋々採用し、文句を言いながら使っていました。
人間良い物を知ってしまうと物の質は落とせないですね・・・。

さて、そんな2月初旬のある日・・・。
医局の机の整理をしていたらふとEverest が目に入りました。
何か言いたそうにしているように感じました。
箱を見てみると滅菌期限が2月末です。

色々考え、更に血迷って Medtronic の担当者に「ボクの机で永久保存が良い?それとも使ってあげた方が良い?」なんて訳わからん連絡・相談をして、「医療器具で産まれた以上、医療器具として成仏させてあげてください」という正に正論ど真ん中、の言葉に心動かされて、滅菌期限内の225日私の手術で使用することにしました。

そうですよね。
自分の後輩や子供をずっと自分の下に置いておくのではなく、色々な事があっても外に出してやるのも優しさというもの
もう少しで世界唯一の Everest に可哀想なことをするところでした。

その日、Everest とのお別れの日だとっても勿論いつも通りの手術です。
カテーテルを冠動脈にかけて、狭いところをワイヤー通して風船を病変に持っていきます。
そして風船を広げるわけです。
実は動脈硬化の病変を広げるには結構な圧をかけます。
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気圧とか固い病変でしたら1416気圧をかけます。
風船さわってみると14気圧なんてもうカチコチです。
それだけの圧をかけるわけですからインデフレーターも構造的な強靱さ、圧のかかりかたも滑らかでいといけません。
実はこの辺りって難しいんですよね。

手術についてくれる後輩に、本日の手術の意義を説明して世界最後の Everest を体感してもらいました。
「なんかいつもより滑らかですね~」という正解な感想を口にしていました。
勿論、無事に手術も終了。
片付けして医療廃棄物として成仏されました。

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お別れなんだけど、Everest も何となく満足してゴミ箱に入っているように思いました。
ボクはちょっと寂しかったけど。

もしかしたらとても小さなことかもしれないですけど、人によってはとても思い入れがあることってありますよね。
実は使った225日は私の49歳の最後の日でもありました。
まさか、 Everest 私の49(40)と共に私とお別れしたかったのかな?
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代は人生ではコレまで頑張ってたことの収穫の時期、とわれているようですね。

最早、年齢が一つ増えても感傷も実感もないですが、術後、カテ室を出て廊下を歩きながら医局に帰るまでのちょっとだけ「長い間、PCI させてもらってきたんだな~」と感傷に浸ってしまった日でした。

途中で富士山が綺麗だったので撮ってみました。
もうすぐ新富士駅です!

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GoodbyeMedtronic! じゃなかった!コホン。 
Goodbye! Everest.  Thank you for your long long 25 years Contribution to my PCI. Rest in Peace !

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筆者注:このブログに Medtronic との利益相反はありません(^_^)

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