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手掌多汗症に対する手術

手掌多汗症に対する手術

多汗症とは、体温調節のために必要な量を超えた過剰な発汗が起こる状態を指します。よって一般には病的な汗でないことが多いです。多汗症の中でも特に多くの方が悩んでいるのが、手のひらの発汗が過剰になる手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)です。これは日常生活で手のひらに病的な汗を書き、勉強や仕事に支障をきたします。試験での答案用紙がべとべとになったり、パソコン操作でキーボードが汗まみれになる、スポーツがでできない、握手ができないなど多量の手のひらの汗で精神的にもつらい思いをされている方がおられます。
この手掌多汗症の治療はまず皮膚科などにて外用薬(塩化アルミニウム製剤・抗コリン外用薬:オキシブチニン塩酸塩:アポハイドローション)、イオントフォレーシス、ボツリヌス毒素注射、抗コリン薬内服などにより行います。それでもコントロールが困難な場合は手術の適応となります。手のひらの汗腺はエクリン腺の関与が大きく、交感神経に支配されています。よって手術は胸部交感神経節を切除する方法をとります。これを交感神経節切除術(ETS:Endoscopic Thoracic Sympathectomy)といいます。

通常、我々は基本的に細径胸腔鏡用具(3mmスコープ)を用いて、腋窩近くの2か所の数mmの切開で両側胸部交感神経の第3+4交感神経節(Ganglion)の切除を行います。Ganglionの同定は形態学的には困難なこともあり、特に第4神経節はかなり下方に存在している場合があります。よって第5肋骨上の交感神経を切断する場合もあります。いずれにしても創はほとんど目立ちません。これまでも現在も手掌多汗症の手術での最大の問題点は予期せぬ代償性発汗です。代償性発汗とは術後、手掌の大量の汗はかかなくなりますが、他の部位(腹部・背中・太もも・臀部など)に術前より大量の汗が生じることです。昔から術後、“こんなはずではなかった”と後悔されることの多い合併症であり、それが患者さん自身が手術を断念する原因にもなっています。残念ながら個人差の大きな代償性発汗を100%完全に無くす手術を行うことは現在でも困難です(代償性発汗はそれほどでもないが手のひらの汗の停止もそれほどでもないというような手術もあります)。しかし、30年前は第2-4の胸部交感神経節切除が定型手術でしたが、最近は3+4もしくは3+4+5の交感神経節(Ganglion)の切除、Kuntz枝の切離を行うことで従来のような気になるほどの代償性発汗(compensatory sweating)は大変少なくなっている傾向にあります。(第2交感神経節切除が最も代償性発汗が多い)
代償性発汗がどうしても気になる方は一側のみの手術をまず行い、代償性発汗および手掌多汗の改善の程度を見極めた上で、対側の手術を行うことも可能です。しかし、一側のみの手術だと対側半身の汗が2回目の手術まで過剰にでる(一種の代償性発汗)ことがあります。

 

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