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下肢閉塞性動脈硬化症

下肢閉塞性動脈硬化症

下肢閉塞性動脈硬化症は、足の血管の動脈硬化により、血管が狭くなったり(狭窄)、詰まったり(閉塞)する病気です。足への血流が悪くなることで、足に栄養や酸素を十分に送ることができなくなるため、さまざまな障害が現れます。

動脈硬化が原因であり、糖尿病・脂質異常症・高血圧症・喫煙・高尿酸血症・慢性腎臓病・肥満等の生活習慣病をお持ちの方ほど、起こりやすい病気といえます。また動脈硬化は全身同時に進行するため、狭心症や心筋梗塞・脳梗塞などと合併しやすい病気になります。

症状

症状によって大きく4つの段階に分けることができます。

1.冷感・しびれ感 眼科医としての仕事はあくまでも視機能の改善にあるので、合併症なく手術を施行できる事で60点はとれるわけですが、患者さんの自覚症状に大きく関わる術後の眼瞼形状にこだわる美的センスというかデザインセンスはもちろん軽視できませんね。女性である清水好恵先生の面目躍如という感じでしょうか。
2.間欠性跛行
(はこう)
眼科医としての仕事はあくまでも視機能の改善にあるので、合併症なく手術を施行できる事で60点はとれるわけですが、患者さんの自覚症状に大きく関わる術後の眼瞼形状にこだわる美的センスというかデザインセンスはもちろん軽視できませんね。女性である清水好恵先生の面目躍如という感じでしょうか。
3.安静時疼痛 じっとしていても足が痛み、夜も眠れなくなったり、刺すような痛みが持続することもあります。
4.潰瘍・壊死 治りにくい潰瘍ができたり、黒く壊死することがあります。

外来に来て頂くと、まず上記のような症状がないかを確認いたします。また狭心症や心筋梗塞・脳梗塞等の既往歴についても確認をします。その後に足を直接観察し、ふとももの付け根や膝の後ろ、足の甲やくるぶしの下側の動脈が触れるかどうかを確認します。

検査

簡易検査として、ABI検査(上腕・足関節血圧比)があります。両腕と両足の血圧を同時に測り、比率をだします。通常は足の血圧の方が高いので、1.0以上が正常となりますが、足の血流に異常があると1.0未満となり、特に0.9未満では下肢閉塞性動脈硬化症の可能性が高くなります。

下肢動脈エコー(超音波)検査:ゼリーを付けて体表面からプローブを当てて観察をします。特にふとももの付け根から下の血管は観察がしやすく、この検査に適しています。

造影CT検査:点滴を確保した上で造影剤を注入し、下肢動脈が造影されたところで撮影を行います。大動脈からくるぶしの辺りまでの動脈が観察可能です。造影剤を使用しますので、腎臓の機能が悪く、まだ血液透析を施行されていない方には不向きです。

下肢動脈造影検査(カテーテル検査)

以上の検査は外来で検査できますが、この検査は入院が必要になります。手首や肘、ふとももの付け根の動脈を局所麻酔し、カテーテルを挿入し、下肢動脈の近くまでカテーテルを近づけて造影を行います。より詳細な血管の情報を得る事ができ、治療方針の決定に役立ちます。当院では1泊2日もしくは2泊3日で検査を行います。

治療

主に4つの治療法を挙げることができます。

① 運動療法
とにかく歩くことです。間欠性跛行の患者さんに有効です。病院で行う監視下運動療法と自宅で行う在宅運動療法があります。1回30分程度、できれば1日2回を目標に最低でも週に3回程度するのが好ましいです。

② 薬物療法
抗血小板剤(血液をサラサラにする薬)や末梢血管拡張薬などで、症状の改善を期待できる場合があります。

③ 血管内治療(カテーテル治療)
血管の狭い部分もしくは詰まっている部分にワイヤーを通して、風船やステント(金属チューブ)等を使用して元々の動脈を広げる手術です。

④ バイパス手術
血管の狭くなっているところ、もしくは詰まっているところの先に、自分の血管(足の静脈)や人工血管をつなぎ合わせる手術です。

以上の選択肢から治療方針を決定します。当院では心臓血管外科もありますので心臓血管外科医と密に情報交換を行い、すべての選択肢を提示させていただくことができます。 

日常生活での注意点

動脈硬化が原因であることがほとんどですので、狭心症や心筋梗塞と同様に禁煙や食事療法は大変重要となります。その上で足では特に注意する点があります。それらはフットケアと言われていますが、そんなに難しいことではありません。

入浴の際に、足に傷がないか・むくみがないか・色が悪くないか等をチェックし、足の裏や指の間もきちんと洗い清潔にしておきましょう。 また自分にあった靴を履いて、傷やうおのめ・たこ等ができにくいようにしましょう。
裸足で靴を履く方もおられますが、傷や靴ずれの原因となりますので、靴下をはく方が良いです。

また立位・正座・しゃがみこむ姿勢(大分減りましたが、和式トイレなど)などを長時間続けると足への血流が悪くなり、症状が悪化することがあるので注意が必要です。特にカテーテル治療後の方で、ふとももや膝に近い部分にステント(金属の筒)が入っている方には、上記のような姿勢をとらないようにと指導しています(自宅の和式トイレを洋式トイレに代えてもらった方もいます)。

特殊なカテーテル治療

当院で下肢閉塞性動脈硬化症の治療をされる方には、血液透析をされている患者さんが多数おられます。その際に問題になるのが、動脈硬化の部分が石みたいにとても硬くなっていて(石灰化)、ワイヤーを通過させることが困難であったり、風船では十分な血管の拡がりを得られない事があります。

そのため当院ではそのような方に対して、Crosser(クロッサー)という特殊なカテーテルを用いて、カテーテル治療を行っています。このカテーテルは毎秒2万回という高速振動で石灰化部分を破砕することで、ワイヤーやカテーテルを通過させる治療機器になります。これまでワイヤーやカテーテルが通過せずに治療を断念していた方にも、治療を行うことができます。

重症になると・・・

【重症下肢虚血】

なかなかそのままの病名ですね。虚血(きょけつ)とは血液が不足していることを示します。

この段階になると感染を合併していたり、膝から下のとても細い血管の動脈硬化があり、極端に治療が難しくなります。またこのような方は心筋梗塞・狭心症・脳梗塞と他の動脈硬化疾患の既往があることが多いです。 やむなく下肢切断をせざるを得なかったり、亡くなられる方も経験します。

当院ではフットケアチームがあり、血管外科医・形成外科医・循環器内科医・認定看護師(皮膚・排泄ケア領域)・透析スタッフ・理学療法士が密に連携をとり、このような患者さんの治療にあたります。

カテーテル治療やバイパス手術による血流の改善と併行して、フットケアチームによる傷の管理をすることで可能な限り下肢切断を回避し、自分で歩くことができ、生活の質の向上に貢献できればと考えています。

【文責:河野 浩明】

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