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ロータブレーター

ローターブレーター

皆さんも最近、動脈硬化についてのお話を耳にすることが多くなってきたことと思います。動脈硬化の一形態として石灰化病変が挙げられます。動脈に石灰(石)がついてしまいます。その動脈は触ってみると正に「土管」です。当院は維持透析施設も持っているためでしょうか、特に透析をなさっていらっしゃる患者さんに多く見られます(透析をなさっていない患者さんにも石灰化は認められます)。

さて、我々カテーテルで治療をしている医師としては、高度に石灰化を伴った病変にそのまま処置をせずにステントを留置したらどうなるでしょうか?そうです。十分にステントを広げることができません。
ステントが十分拡張できない場合は折角留置したステントに血栓ができて閉塞してしまったり、ステントフラクチャー(ステントの破断)で再治療やバイパス手術での際血行再建を余儀なくされる場合があります。

またガイドワイヤーは病変を通過したのに石灰化がひどくバルーンなどの治療器材が病変を通過しない場合もあります。他にもバルーンは通過したのだけど拡張したら風船が割れてしまったという経験もあります(固い病変で14気圧という高圧で広げたら石灰化で風船に穴が開いてしまいました……)。

そこでロータブレーターの出番となります。できれば血管内超音波検査などで病変部付近の血管の大きさ・可能であれば病変部の石灰化の様子を観察し、適切な大きさのBurrで石灰化を削ったり、割れ目を入れたりします。その時は図の弾丸のような形をしたBurrをガスタービンで毎分16-18万回転で回します。正に歯医者さんの様な音がしてびっくりされるかと思います。
高速回転のダイヤモンドチップがちりばめられたBurrで石灰化を処理するわけです。切削を行うとバルーンが通過するようになったり、石灰化を処理してからステントを留置することでステントの十分な拡張を得ることができます。

ロータブレーターのイメージ画像

ロータブレーターのイメージ映像

しかしながらそのような固く高速回転している物体を冠動脈の中を走らせるのですからロータブレーター特有の合併症があります。

1.冠動脈穿孔・心タンポナーデ

石灰化を削ることができるぐらいですから冠動脈に穴が開いてしまう可能性があります。最悪、緊急で心臓血管外科紹介し冠動脈バイパス術で手術を要することもあります。

2.「削りカス」が先の動脈を詰めることで血圧低下・胸痛

「削りかす」を大きくしないためにも繊細な操作を必要とします。もし治らない場合は足の付け根から心臓を補助する機械(大動脈内バルーンパンピング)を挿入しサポートします。

主に上記のような合併症があり、十分注意して使用しないといけない治療器具ではあります。それ故に万が一の致命的な合併症のために緊急に心臓外科処置ができる施設であることが必要です。ロータブレーターの使用に関しては厚生労働省で施設基準が定められており、年間200例以上の冠動脈形成術と年間30例以上の開心術・冠動脈バイパス術をしている施設とされております。

安全なロータブレーターの手技を行うためには通常のカテーテル治療の手技は勿論、ロータブレーター中の適切な判断と合併症管理が必要となります。合併症のリスクはあるものの石灰化病変に対する効果は絶大なものがあります。

ロータブレーター症例の
PCI画像(静止画)

ロータブレーター症例の
PCI画像(動画)

治療前

治療後

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