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片側顔面痙攣

片側顔面痙攣

片側顔面痙攀は、顔面神経が脳幹部から出るところで、動脈などが圧迫することによって生じます。発生する機序については2つの説が報告されています。

  1. 顔面神経を覆う髄鞘(電線を覆うビニールに相当)が動脈の圧迫によりはがれ、動脈の刺激で直接異常電流が流れる
  2. 髄鞘がはがれた部分から異常刺激が顔面神経の神経核(神経に電流を流す中枢)に働き、異常電流が流れる。

原因は動脈の顔面神経への圧迫によるものですが、動脈硬化、解離性動脈瘤、動静脈奇形、脳腫瘍等による圧迫も原因になります。

本疾患は、命を脅かす病気ではありません。しかし、患者さんの日常生活を不快にさせる疾患です。従って、治療方針は患者さんの日常生活の不快度に応じて患者さんに決めて頂くことになります。

治療

治療には保存的治療と、外科的治療があります。

保存的治療の場合、抗痙攣剤の投与を行うことがあります。患者さんによっては効果を発揮します。その他に顔面筋にボトックスという筋肉を弛緩させる薬を注射する方法があります。

外科的治療の場合、微小血管減圧術をおこないます。
顔面神経への圧迫を手術により解除します。すなわち動脈を神経から移動させます。これには、(1)脳幹部と動脈との間に特殊なスポンジや綿状のものを挿入して血管を浮かせる方法と(2)血管を釣り上げて移動させる方法、とがあります。血管と神経との関係により最適な方法を術中に選択します。
手術は、後頭下開頭による到達法で行います。側臥位に近い体位となり、後頭部から頚部の耳の後ろに約8cmの長さの皮膚切開を加え、筋肉をわけて後頭骨を出し、後頭骨を約3cmの幅で切除します。硬膜という硬い膜を切開し、左の小脳を正中に圧排しながら顔面神経が脳幹部からでてくるところを露出します。圧迫血管、さらに周囲の構造を観察しながら、最適な血管移動の方法を行います。綿状の素材をほぐして血管と脳幹部との間に挿入します。釣り上げるときは、周囲の硬膜に貼り付けたり、くくったりします。 最後に、臀部より脂肪を採取し、硬膜を密に閉鎖し、頭蓋骨を元に戻して創を閉鎖します。

顔面神経に血管が接触しています。

血管が顔面神経にあたらないように移動しました。

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