手術支援ロボットによる腹腔鏡手術開始のお知らせ
2023年2月より手術支援ロボット ダヴィンチ(da Vinti Xi 米国 Intuitive Surgical社製)を導入しロボット支援腹腔鏡手術を開始しました。
ロボット支援手術とは
外科一般的手術である腹腔鏡手術をさらに進化させたものと言えます。
患者様の側では腹部に数カ所の小さな穴をあけ、内視鏡やハサミ・鉗子類を挿入し、これらをダヴィンチのロボットアームに装着します。術者はコンソールと呼ばれるロボット操作用のスペースに座り、体の中を拡大した3D立体画像を見ながら手術を行います。コンソール内で手の動きが、ロボットアームと患者様体内の鉗子と連動し正確な手術が行われます。ダヴィンチの鉗子は人間の手よりもはるかに自由度の高い動きが可能で、手ぶれ補正機能もあり、切開や縫合などがより安全で精密に行うことが可能となります。
▼操作している様子(動画)
泌尿器科領域でのロボット支援手術
泌尿器科領域では他の外科系に先んじ、ロボット支援手術が普及しております。
2012年より前立腺癌に対するロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術が保険適用となりました。
その後順次、小径腎癌に対するロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術、膀胱癌に対するロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘除術、腎癌に対するロボット支援腹腔鏡下腎摘除術、上部尿路上皮癌に対するロボット支援腹腔鏡下腎尿管全摘除術など泌尿器科悪性腫瘍の大半が保険適用となりました。
当院泌尿器科でのロボット支援手術
当院には、日本泌尿器科学会および日本泌尿器内視鏡学会・ロボティクス学会の定める「泌尿器腹腔鏡技術認定制度」および「泌尿器ロボット支援手術プロクター認定制度(前立腺)」に認定された医師が在籍しています。
ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術・ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術・ロボット支援腹腔鏡下腎摘除術を開始しており、患者様の術後の早期回復や疼痛の軽減・入院期間の短縮・術後合併症の低下・術中出血量の低下などロボット支援手術の恩恵を認めております。
消化器外科領域でのロボット支援手術
消化器外科領域では、2018年4月から食道癌、胃癌、直腸癌、さらに2020年4月から膵臓癌、2022年4月から結腸癌、肝臓癌の手術においてロボット支援手術が保険適用されました。
このように消化器外科領域の手術において保険適用が拡大されたことによって、今後さらにロボット支援手術が普及していくことが予測されます。
実際に、例えば国内の直腸癌のロボット支援手術件数は、保険適用前の2017年と保険適用後の2021年の手術件数を比較すると、約18倍と飛躍的に増加傾向となっています。
当院消化器外科でのロボット支援手術
当院消化器外科では、2023年4月に日本内視鏡外科学会技術認定医(内視鏡手術に携わる医師の技術を高い基準にしたがって評価され、後進を指導するにたる所定の基準を満たした者)の資格を有する医師の赴任に伴い、同学会が定めるロボット支援手術導入に関する指針に従って準備を進め、2023年12月から直腸癌に対して、2024年12月から結腸癌に対して順次ロボット支援手術を導入し、着実に実績を積み重ねています。
ロボット支援手術は、高解像度の3次元画像と繊細な鉗子操作によって従来の腹腔鏡手術よりも精緻な手術が期待でき、合併症の低減、手術成績の向上につながるものと考えられます。引き続き直腸癌、結腸癌に対してロボット支援手術を安全に遂行し、今後は胃癌に対するロボット支援手術の導入を目指しています。