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高血圧外来

高血圧をご存知ですか?

皆さんは高血圧をご存知でしょうか?
おそらく会社などの健診、何かで医療機関を受診されたとき、血圧をまず測りませんか?そこで「高血圧ですね!」と言われて少し驚かれたり、聞いたもののそこからどうして良いか分からない・・・という状態で放っていませんか?

実は高血圧は色々な病気の入口です。当科であれば狭心症や心筋梗塞、それだけでなく脳梗塞や脳出血など脳血管障害でも危険因子とされる堂々たる病気です。大血管であれば大動脈解離、大動脈瘤、腎臓であれば腎硬化症など腎不全にも関わります。

正に高血圧症は全身の臓器に悪いことをする困った病気なのです。 更に残念な事に高血圧症は脳心血管病の死亡数に関わる因子としては最大です。(約17万人に影響を与えているとされています)

また最近は「心不全パンデミック」と言われており、心不全患者さんが今後増えることが予想されています。
心不全はくり返しながら心臓が悪くなっていく病気です。皆さんは心不全と言いますと、息が苦しくなって救急車で運ばれてくるのを心不全ってお考えではないですか? これも正解ですが、実はその段階では心不全としてはかなり進んだ状況です。私達は皆さんにそこまで至って欲しくないのです。

    心不全ってなんだろう?

    心不全はステージA~Dに分かれています。実は先程の救急車で運ばれてくるのはステージCに当たります。

    では最初のステージAとは何か?「心不全リスク」とされています。
    具体的には高血圧・動脈硬化性疾患・糖尿病・慢性腎臓病・肥満などが挙げられています。一番上に「高血圧」とあります。高血圧は広い意味で心不全と言うこともできるわけです。

    しかしながら高血圧治療の状況は日本では実はなかなか厳しい状況にあります。2017年の資料ですが、高血圧患者さんは4300万人いるとされています。人口の1/3以上です。そう考えると珍しい病気ではありません。

    その4300万人の中の内訳です。

        • 高血圧と認識していない方          
            : 1400万人 (33%)
        • 高血圧と認識しているけど治療を受けていない方
            : 450万人 (11%)
        • 治療をしているけど、不十分な方       
            : 1250万人 (29%)
        • 治療が上手く行っている方          
            : 1200万人 (27%)

     
    実は高血圧治療で上手く行っている方は約1/4 です。高血圧そのものが悪いと言うよりも、くり返しになりますが、放置しておくことで心臓・脳・腎臓・血管などの重要臓器が悪くなって大きな病気になってしまうことが問題です。

    いかがでしょうか?皆さん、高血圧に少し興味を持っていただけたでしょうか? そうなるとまずは自分の血圧がどれぐらいか興味を持っていただけたのではないでしょうか?

    では、測ってみましょう!ということで、ある人は病院で、ある人は自宅で、ある人は街中にある自動血圧計で計測されると思います。1回高い値が出たからショックを受けて病院に駆け込まないでくださいね。

    血圧測定をしてみよう

    以前は当科の外来診察室には血圧計がありました。私が研修医で教授外来のお手伝いをしていた時代は血圧を測るのが研修医の仕事でした。でも、今では血圧計は診察室内には見当たらないですね。皆さん、外来で待たされて、白衣を着たエラそうにしている医者を見たら、血圧上がりません?でもご自宅での血圧と病院での血圧を比較すると、数値が良いことを経験されませんか?
    そうです。血圧は測る度に違う値が出て当然です。まずは家庭血圧を測りましょう。

    家庭血圧の測定

    できれば朝夕2回同じ時間ぐらいで測りたいですね。最低でも5日間、理想は7日間計測して記録を付けてみましょう。
    この結果は高血圧診断の大きな資料になります。もしご自宅で計測しているのであれば、血圧記録をお持ちになると先生方は助かると思います。

    目標血圧

    診察室での血圧は 130/80mmHg 未満、家庭血圧では 125/75mmHg 未満を目標としています。

    高血圧治療とは?

    さて、では高血圧はどのように治療するのでしょうか?お薬を飲んだらおしまい!ではありません。高血圧は様々な原因から起こります。

        • 本態性高血圧 (皆さんが思われている高血圧、明確な原因が特定できない)
        • 二次性高血圧 (様々なホルモン、睡眠時無呼吸症候群、お薬等々、高血圧を引き起こす原因がある高血圧)

    に分けられます。

    勿論、食事、生活習慣、ストレス (なくすのは難しいですが) など様々な環境要因もとても大切です。

    一口に高血圧と言っても原因は様々です。ただ、二次性高血圧や生活習慣などが原因であれば降圧剤を内服するだけでは良くなりません。高血圧の診断であれば最初にこのような高血圧を起こす原因も一緒に探していくことになります。
    大きな病気を避けるためにも高血圧治療は必要です。高血圧の原因を検査や看護師・薬剤師・管理栄養士などメディカルスタッフと一緒探りながら、降圧剤を処方します。

    お薬が沢山になるのは誰でもいやです。でも降圧剤はなかなか1種類では目標の血圧を達成するのは難しいとされています。また同じ薬の量を増やすよりは色々な作用のお薬を合わせた方が良いとされています。

    思い出していただきたい大切なことはお薬を飲んでいる事ではなく、血圧の数値を下げることです。
    お薬を増やしましょう!と申しますと皆さん、ちょっぴり悲しそうな顔をされます。将来のためにも少し頑張っていただければ、と思います。薬を内服して1日で効くわけではありません。毎日忘れずにお薬を続けましょう。

    さて、そのようにお薬・生活習慣を改善してもなかなか血圧がコントロールできない方もおいでです。利尿剤を含めて3種類以上内服していても治療目標に達せない高血圧を治療抵抗性高血圧と言います。

    最近、そのような治療抵抗性高血圧症の患者さんに対して「腎デナベーション」という高血圧に対するカテーテル治療が始まりました。

    腎デナベーションとは

    高血圧の中で交感神経は非常に重要な役割を果たしています。脳と腎臓は繋がっていて、腎動脈周囲に分布している交感神経を焼灼することで、交感神経の活性化を抑えて高血圧を抑制します。
    足下の動脈から腎動脈へカテーテルを進め、腎動脈に治療用のカテーテルを挿入し腎動脈周囲の交感神経を焼灼します。それを繰り返して左右腎動脈に分布している交感神経を処置します。

    この治療は既にアメリカ・カナダ・中国では承認されています。これまでの治療成績では3年間の追跡が行われていますが、良好な降圧を得る事ができています。
    腎デナベーションをして終わりではなく、お薬や生活習慣改善という一般的な高血圧治療をしっかり継続する必要があります。
    勿論、カテーテルとはいえ手術ですので合併症の危険性はありますが、腎動脈の狭窄などの問題は無く、カテーテル挿入部の出血などで 0.4% 程度の問題があったと報告されています。

    しかしながらこの治療は誰しも希望すれば受けることができるわけではありません。先程書いていますように高血圧治療の基本は生活習慣の改善・減量(体重が3%減少することで血圧も下がる)、適切なお薬です。

    ただそれでも血圧が上手くコントロールできない患者さんに検討する手術となります。高血圧外来できっちり検査をして、他の施設の先生に腎デナベーションの対象かを客観的にチェックしていただき、その上で治療が決定されます(治療が決まるまでには数回外来での検査・生活指導・必要あれば薬剤の調整などが必要です)。

    高血圧外来

    当院では予約外来でありますが、2026年9月から月曜日の午後に「高血圧外来」を始めることになりました。まずは高血圧外来を受診していただき、一緒に高血圧に関して治療方針を考えていきましょう。
    その上で、御紹介元の地域の先生方と一緒に高血圧治療を進めて行くことができればと思います。

    高血圧でお困りの方がおいででしたら、一度かかりつけの先生と相談していただき、高血圧外来においでいただければと思います。

    【文責:楠山貴教】

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