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抗アレルギー薬含有コンタクトレンズ アレルケア®について

抗アレルギー薬含有コンタクトレンズ アレルケア®について

どんなもの?

日使用のソフトコンタクトレンズ素材に抗アレルギー薬であるケトチフェンを含有させた
ものです。目にコンタクトレンズを入れるとゆっくり薬が拡散します。

どう使う?

現時点ではアレルギー性結膜疾患を治すためのものではありません。アレルギー症状が落ち着いている方が、アレルギーを抑えつつコンタクトレンズを使い続けたい時に活用できる可能性を秘めています。

田淵 1日使用のソフトコンタクトレンズ素材に抗アレルギー薬であるケトチフェンを含有
させた、アレルケア®というコンタクトレンズがあります。本日は田中先生に、そのコンタクトレンズの概要と、使用症例についてお話しいただきます。
田中 よろしくお願いします。このソフトコンタクトレンズは下の図1のようにレンズの素材に抗アレルギー薬を取り込ませて、眼にコンタクトレンズを入れた後に、徐々に薬がコンタクトレンズから目の表面に放出されるようになっています。コンタクトレンズを使って少量の薬を眼表面に届ける点が今までになかった新しい試みになっています。
“アレルギー性結膜炎に悩まされているけれど、コンタクトレンズを使いたい”という患者さんのためのもの
田淵 実際にどういった患者さんにこのコンタクトレンズが活躍し得るのでしょうか。アレルギー性結膜炎の治療にも使えるのでしょうか。
田中 いいえ、このコンタクトレンズを治療目的で使用することはできません。
現状としては、アレルケア®は治療機器・治療薬ではなく、コンタクトレンズであるという立ち位置です。実使用では、“アレルギー性結膜炎に悩まされているけれど、コンタクトレンズを使いたい!” という患者様に対して、眼表面の炎症のコントロールと普段から使い慣れている屈折矯正方法を両立させたい時ににアレルケア®を使います。ひどいアレルギー反応が出ている時はアレルケア®を使わずに、点眼治療で一旦炎症を落ち着けてからになります。
田淵 ちょっと何言ってるかわからないですねぇ、って声が聞こえてきそうですね笑
このコンタクトレンズを使うメリットってなんなのでしょうか。眼表面の炎症が落ち着いた後なら、抗アレルギー薬が入っていなくても、通常のコンタクトレンズで十分そうですが。
田中 眼アレルギー症状に悩まされているコンタクトレンズユーザーの皆さんには、1日使用ソフトコンタクトレンズやハードコンタクトレンズを使いながら点眼薬をさしていらっしゃる方もいらっしゃると思います。それで眼表面の炎症のコントロールが効くならそれで十分かと思います。
一方で、その方法ではコントロールが効かない方もいますし、お仕事や子育てなどの都合で日中の頻回点眼が困難な方もいらっしゃるかと思われます。そのような方は試してみる価値があるかと思います。
田淵 実際に使ってみた患者さんの経過についてざっくりと教えていただけますか。
田中 写真の患者さんはアトピー性各結膜炎という重症のアレルギー性結膜炎をお持ちの方でした。近視が強くメガネでは見え方の違和感があるため、使い慣れたコンタクトレンズを仕事中に使いたいとのご希望がありました。写真で差を伝えるのが難しいのですが...
下の図2の時ぐらい炎症が強いと、アレルケア®を入れても炎症が悪化する可能性すらあります。まずは点眼薬でしっかり治療をして落ち着いた頃(図3上)にアレルケア®を始めました。その後は点眼薬を使わずにコンタクトレンズを付けながらアレルギーを抑えられています(図3下)。

図2: 症例の初診時。結膜充血および乳頭増殖(結膜のアレルギー性炎症を示唆する所見)を認めた。

図3:

アレルケア®導入時(上段)と1ヶ月後(下段)。充血および結膜の増殖(ブツブツ)が落ち着いた。

田淵 最後に抗アレルギー薬含有コンタクトレンズの今後の展望をお聞かせください。
田中 今までの眼科診療は、矯正視力(ピントを合わせるためのメガネをかけた状態での視力)が出ることを診療の目標にしてしまいがちであったと思います。今後はそれだけでなく、患者さんが望む方法での屈折矯正(ピントをみたいところに合わせること)をサポートするのも眼科診療の目標の1つになり得ると思います。
コンタクトレンズで薬を眼に投与するという手法はまだ新しく他院さんでも当院でもこれが何をもたらしてくれるのかは調査を続けていますが、眼アレルギー疾患や屈折矯正におなやみの皆さんにとって、抗アレルギー薬含有コンタクトレンズが解決策の一つになってくれる可能性はあります。また新しくお出しできる報告があれば皆様にお伝えできればと思います。

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