
加齢黄斑変性に対するサプリメントについて

田淵 | 加齢黄斑変性の話でサプリメントが予防に有効という話がありましたが、サプリメントについて教えてください。 |
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吉積 | 加齢黄斑変性の治療は保険診療で認められているものは抗VEGF剤の注射と光線力学的療法のみです。 ただ、これ以外に予防や進行抑制に有効な方法があり、私は加齢黄斑変性の方には禁煙、遮光(日射しの強いときにはサングラスを使う)とサプリメントの摂取をお勧めしています。 |
田淵 | サプリメントとはどのようなものでしょうか、効果はあるのでしょうか。 |
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山内 | サプリメントの効果の根拠は、2001年に発表されたAREDS (Age Related Eye Disease Study)(1)と2013年に発表されたAREDS2(2)という2つのアメリカでの大規模研究です。 これらの研究によりビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、ルテイン、ゼアキサンチンの組み合わせにより加齢黄斑変性の発症頻度を下げることができることが実証されました。 したがって使用する際はこのAREDS2の配合に従ったものをしようするのがよいと思います。加齢黄斑変性は長年の光暴露や生活習慣に伴う酸化ストレスの蓄積が原因という説が有力で、 これらの成分の抗酸化作用により進行を抑制するものと考えられています。 また30代~50代に好発する中心性漿液性網脈絡膜症も加齢黄斑変性とメカニズムが共通する部分が多く、有効性がある可能性が高いと考えています。
(1) Arch Ophthalmol. 2001;119(10):1417-1436. doi:10.1001/archopht.119.10.1417 |
田淵 | ブルーベリーが良いとよくいわれますが |
山内 | ブルーベリーに多く含まれるアントシアニンは網膜の細胞で光に反応する物質を作る際に使われます。 ただ、アントシアニンにより加齢黄斑変性の発症が予防されたり進行が抑えらえるということを実証した研究結果はありません。 アントシアニンは抗酸化作用がありますので、なんらかの効果がある可能性はゼロではないのですが、加齢黄斑変性の予防や治療において有用であるという科学的な根拠はありません。 |

田淵 | 保険は使えるのでしょうか? |
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山内 | サプリメントは保険診療では認められていません。自費で購入していただくことになります。 |
田淵 | お勧めの製品はありますか? |
山内 | AREDS2ではルテイン10mg以上、ゼアキサンチン2mg以上が推奨されているので、これらの成分の多いものがよいのではないでしょうか。 |
田淵 | サプリメントの使用が望ましいことがわかりました。山内先生は加齢黄斑変性の治療においてサプリメントをどのように位置づけているのでしょうか? |
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山内 | サプリメントに抗VEGF剤や光線力学的療法のような即効性はありません。 実際に加齢黄斑変性の病気の勢いが強いときは、これらの治療を行うことが最優先になります。 ただ、これらの治療は効果は強いものの、予防的に行うことはできません。 また副作用があったり高額な費用がかかったりします。サプリメントは副作用が起こりにくく、ある程度病気を落ち着かせる効果がありますので、 治療の回数を減らすというのが使用目的の一つになります。 また、これは加齢黄斑変性に限った話ではないのですが目の病気を考える際には反対眼のことを考えることがとても大事です。 片目が加齢黄斑変性になっている人はもう片目にも加齢黄斑変性が起こりやすいのですが、サプリメントによりその発症確率を下げることができます。 病気が片目なのか両目なのかは非常に大きな違いがあり、片目がよく見えていれば高齢で体調が悪化し通院が困難となった場合に治療を中止することも選択肢になりますが、 もう片目が見えていないと治療を中止すると両目が失明に近い状態になるため、どうしても治療を続けざるを得ず、本人や家族の負担がとても大きくなります。 |

田淵 | なるほど、そのようなことも考えているのですね。 |
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山内 | 加齢黄斑変性はその名前の通り高齢者に起こる病気です。 高齢者はやはり体調が悪くなることも多く、抗VEGF剤や光線力学的療法のような治療はいつまでも続けられないこともあります。 そういったことを考えると加齢黄斑変性に進行しそうな目を持った人は早めにサプリメントの服用を開始して予防に努めることがお勧めされます。 特に片目に加齢黄斑変性がある人はサプリメントの服用を強くお勧めします。 |

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