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白内障手術について

はじめに

白内障手術について

単に白内障手術といっても、いくつかの種類があります。本稿では現在主流となっている超音波乳化吸引術および眼内レンズ挿入術について説明させていただきます。

1.まずは眼の表面の角膜に2mm程度の切開創を作ります。

2.次にセッシを用いて水晶体を包んでいる袋(前嚢)を丸くくり抜きます。

3.メインの創とは別に1mm弱のサイドポートを作成し、そこからフックと呼ばれる金属の棒を挿入します。
メインの創からは超音波・吸引・還流を同時に行う装置を挿入し、濁った水晶体を眼内で小さく砕きながら吸い取ります。

4.水晶体を包んでいた袋(嚢)だけになるまで、濁った水晶体を綺麗に吸いとった後、眼内にレンズを折り畳んで挿入します。

術中、眼の中の水(房水)の流出を防ぎ、眼内の組織を守るために、粘弾性物質と呼ばれる充填剤を適宜使用します。 以上が白内障手術の一連の流れです。

合併症はどのようなものがありますか?

手術中の合併症としては、チン小帯と呼ばれる水晶体を支えている紐のような組織が、弱っていたり、ちぎれていたりする患者様の場合、レンズを挿入することができません。
そのような場合、もともとあった水晶体の袋は使用せずに眼内レンズを固定する手術が必要になります。
術後の合併症として重篤なものには、「眼内炎」があります。手術でつけた創口から眼内に細菌が侵入してしまうことが稀にあります。
眼内炎は失明の危険性がある病気なので早急な対応が必要になります。症状としては、眼の充血・痛み・視力低下などがあります。
また、術後の合併症の一つで頻度の多いものとして「後発白内障」があります。
水晶体の袋の後ろの部分が濁ってしまうことがあり、発症時期は様々です。 早い人だと術後1年以内に生じる方もいれば、十数年後に起こる方もいらっしゃいます。
症状としては、白内障のようにかすんで見えたり、光がまぶしくなったりします。
こちらは外来にてすぐに治療が可能です。

手術しなければならない時期はあるのですか?

現在は白内障手術の安全性も上がってきており、手術をおすすめする時期は患者様それぞれ生活への影響度合いによって異なります。
一般的には60歳位から手術を受ける方が増えてきますが、必ずしも手術をしなければならない時期というものはありません。
私どもからは患者さんの矯正視力が1.0を切ったらおすすめするようにしており、進行した白内障でなければ、前述した通常の手術が可能です。
進行した白内障ですと、また違った術式で手術を行わなければならない場合がありますので、そこまで進む前に手術をおすすめしております。

術後の受診はどのぐらいの頻度で通えばよいのですか?

術翌日の診察のあとは、術後2・3日目、1週間目、1か月目と徐々に間隔を延ばしていきます。(担当医の判断や術中・術後の合併症の有無によって、多少の変更はあります。)

術後の生活の制限はありますか?

先ほど述べた眼内炎に罹るリスクを減らすために術後1週間の保護メガネを装着して頂きます。(就寝中も含む)
その間、洗顔・洗髪は基本的に禁止ですが、蒸しタオルで顔を拭いたり、美容院などで眼に水が掛からないように洗髪したりしてもらうのは大丈夫です。
運転や軽作業などは術後2・3日目の診察で視力や手術創に異常がなければ可能です。

最後に

人間は年には逆らえず、白内障は誰しも起こる疾患です。
しかし、眼の病気は数多くあり、充血や痛みがなくても視力が下がる病気も然りです。白内障はすぐに治療しなくても良い場合が多いですが、視力低下以外の症状がない眼疾患ではすぐに治療したほうが予後良好な疾患もあります。
そのため「あれ?みえにくいな。」と思われたら眼科に受診していただければと思います。

診察を希望される方へ

受付は朝8時から夕方5時までですが、散瞳検査等での時間を考慮して、出来るだけ早い時間帯での受診をお勧めします。
セカンドオピニオンにも対応致します。

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