
霰粒腫とはどのような疾患ですか。

霰粒腫は眼瞼(まぶた)の中にできた小さな固い腫瘤です。涙の成分を分泌する脂の腺(マイボーム腺)の出口が詰まり、その中に粥状の分泌物がたまって肉芽腫を形成したもので、痛みを伴うことは多くありませんが徐々に大きくなり異物感や整容的に問題となる疾患です。
日本眼科学会HPより
どのような症状がありますか。
症状は眼瞼の腫れや異物感です。典型例では痛みも赤みもなく、眼瞼にコロコロとしたできもの(腫瘤)を触れます。霰粒腫が大きくなると自然に治ることはないため基本的に外科的手術が必要になります。炎症を伴った場合は麦粒腫と似た症状が出ることがあり、急性霰粒腫と呼びます。この場合は抗生剤などで消炎後に外科的手術をします。
霰粒腫はどのくらいの頻度で見かける疾患ですか。また発症しやすい人の特徴などがあれば教えてください。
霰粒腫は非常にありふれた疾患で全年齢に発症しますが、生涯で一度も発症しない人もいれば何度も繰り返し発症する人もいます。原因がマイボーム腺の目詰まりであることが多いため、背景にマイボーム腺機能不全があることがあります。マイボーム腺機能不全に対しては温罨法(おんあんぽう)といってマイボーム腺内の油を溶かしたり、まぶたの血行を良くすることが改善に繋がると言われています。また、アイシャンプーを使った衛生管理も重要です。マイボーム腺機能不全ついては木原先生のページで詳しく解説されているのでそちらもご参考にしてください。

よく似た疾患で麦粒腫というものがありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
麦粒腫は霰粒腫とは異なりまつげの毛根やマイボーム腺に細菌感染を伴う炎症で、痛みを感じることもあります。
基本的な治療としては抗生物質の点眼や内服を行います。自然に自壊して排膿後に治癒することが多いですが、化膿が進んだ場合には外科的に切開して排膿させることもあります。他に似た疾患として涙嚢炎、涙小管炎、眼窩蜂窩織炎、悪性腫瘍などがあります。特に蜂窩織炎や悪性腫瘍など怖い病気もありますので、気になるまぶたの腫れはお早めに眼科にご相談してください。
治療としてはどのような治療が行われていますか。

急性のものに対しては、まず抗生物質やステロイドの塗り薬で消炎をはかります。
消炎後は霰粒腫を包んでいる袋ごと摘出する手術が必要です。基本的には局所麻酔で日帰りで行える手術ですが、一部小児など局所麻酔下での手術が難しい場合に全身麻酔が必要になることもあります。また、霰粒腫の中にステロイド薬を注射することもあります。治療後も再発したり、しこりが残ったりすることも珍しくないため根気強く向き合っていく必要がある疾患です。
整容面にも関わる疾患であり、早めの受診と再発予防が必要ということですね。
はい。目のできもの自体は小さなものですが、まぶたという部位は整容的に非常に重要なポイントです。症状で気になることがあれば、いつでもお気軽に受診していただけたらと思います。
ありがとうございました。
参考文献
日本眼科学会
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=6
Chalazion Treatment: A Concise Review of Clinical Trials.
Tashbayev B, Chen X, Utheim TP
Chalazion.
Jordan GA, Beier K.
診察を希望される方へ
- 斜視検査や立体視検査などの時間のかかる特殊検査等での時間を考慮して、出来るだけ早い時間帯での受診をお勧めします。
- セカンドオピニオンにも対応致します。
- 終了間際の受診は、専門的な診療が困難ですので、後日の精査になることを予めご了承ください。
- また、初診日だけで治療方針が決まることは殆どなく、基本的に複数回の受診が必要であることも予めご了承ください。