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1日25時間働く循環器内科部長BLOG

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  1. 2017
2017.09.05
カテ室で患者さんに助けられた…教えられた…かな…

こんばんは。楠山です。今、クーラーを消して窓を開けて書いています。まだ昼間は暑いですし、今日はお昼過ぎに病院を出たのですが、車が焼けていてハンドルが持てないんですよね。
ただ、漸く朝晩は涼しくなってきました。私の大好きな秋の到来です。朝の澄んだ空気を胸一杯に吸い込むと爽やかで身体の中が綺麗になった気がします。多分、これは日頃の行いで「黒い楠山」になっているから身体が清浄な空気を求めているのでしょうね。

さて、夏休みボケも日常臨床によるリハビリのお陰で少し感覚が戻ってきました。先日、カテーテルの治療で患者さんに助けられました。御本人も許して下さっているし少し今日はつぶやいてみようと思います。

その方、我々の科としては若い方ですが、冠動脈のある病変で難渋していた患者さんです。ごく短期間に同じ病変に対して治療を必要としたのです(そのようなことは稀です)。私にとっては仕事場がカテーテル検査室なので、そこまで感じることはないのですが(どちらかというと舞台の様に感じることもあります)、やはり患者さんにとっては気分の良い場所ではないですよね。当たり前です。

私個人としては「明るいカテ室」を目指しているので、我々スタッフ間の会話、患者さんと私たちとの会話の内容・声色・間合いについては、一家言持っているつもりです。やはり、局所麻酔の検査・手術ですので、患者さんの緊張をどのように取り除くかはカテーテルのテクニックのみならず非常に重要な事と思っています。

皆さん、カテーテル検査は医師・看護師・放射線技師・臨床工学技士(生理検査技師の施設もあります)のチームワークでの仕事と思っていらっしゃるかもしれませんが、実は患者さんもチームの中に入っているのです。

「え?!。患者は手術受ける側だから関係ない?」

いいえ、違います。全身麻酔でないからこそ、患者さんの協力も必要なのです。だって、手術中に患者さん暴れ出したらアブナイでしょ?病気でそうなってしまう場合もありますが、患者さんが安心して恐怖感を覚えずに検査・手術に臨めることは大切なことです。
その為には、Safety, Speedy, Smooth と「3S」と私は研修医時代に先輩からしつこく、厳しく教わりましたが、それはカテーテルの手技のことです。そこにGentle と「G」(ゴキブリ💢ではない、あしからず)がつくとサービスを越えるように思います。 辞書の中の意味では「紳士的」よりは「上品な」が最も近いニュアンスかと思います。

 最近、インターネットで炎上した手術室で手術中にピースしてスタッフ集合写真は「質の悪い」ユーモア?と思いますが、看護師さんを巻き込んだ世間話は自分の手技や判断がおろそかにならないようであれば、良いことですし、患者さんと罪なく笑えるユーモアは「質の良い」ユーモアです。

 確かに手術を提供するという観点からは必要ないのかもしれませんが、医師も人間ですし、そこには適切な遊びが有った方が良いと思います。
だって、患者さん、術者がお話できると言うことはまだ余裕があると言うことですよね。余裕がなくなれば、無言になっていきます。色々な話題が皆さんから出てきましたよ。人生(みんな私より先輩なので傾聴!)、家族・結婚、仕事に趣味、農作物の出来、政治の話などなど・・・ホントいろんな勉強をさせてもらいました。

 さてその方、その日の朝にベッドサイドに伺うと主治医の先生からお話を聞いていらっしゃいました。横顔を拝見しても平静を保たれていましたが、とても緊張されているのが分かりました。当たり前ですよね。同じ病変で上手くいかなかったら・・・と考えるのは至極もっともなことです。もし「大丈夫っすよ!」と言われた方がこちらも気になります。

 長い待ち時間で悪名高い月曜日午前の楠山外来を終えて手術開始です。いつもは私、ショパンのピアノを聞いてカテーテルをしています。ホントはバッハ好きなんですが、宗教を連想させるので避けています。ただ、ちょっとでもと思い、「何かお好きな音楽は・・?」と伺ったのですが、有線でなかなかその方のリクエストが出てこず、チャンネル変えても変えてもその方の少し上の年代の曲ばっかり出てきます。そこから看護師さんも入って、年代ごとの流行曲をお話し、年齢の話で大いにカテ室盛り上がりました。
 実は私も「失敗は許されないよ」と実は緊張していたので、明るい患者さんの声のお陰で、非常に肩の力が抜けて苦労しながらも手技を上手く進めることができ、終わってみると思いの外、スムーズに満足いく仕上がりを得ることが出来ました。

 数日して、その方の回診ではなくお見舞いに伺った際にお話をしました。やはり私と同じ価値観をお持ちのようで、「真剣さは必要だけど、看護師さんが来て『血圧測ります、脈とります、食事はいくらしましたか?』だけでなく、そこに一言二言関係ないことが入って、人間味が入っていることは良いことだよね。僕なんかは愛称で呼ばれても良いし。ただ、人それぞれ好みがあるから答えは一つではないけど」とおっしゃっていました。

そうですよね。やはり料理の隠し味ではないですが、同じ事をするにしても特に我々の業界では適切な量の人間味が有る方が良いのでしょうね。勿論、患者さんや御家族の病気の時期・好みをいち早く察して合わせていく、これも接遇だと思います。

 最近、当院含めて企業でも接遇研修とかよく見るようになりました。マニュアル化された基本的なことを身につけるには必要な研修と思います。しかしながら人間を扱う職種であるからこそ、その基本的な接遇に加えて、「たった一つの答え」ではなく、「その人にとっての正解」を探していく。とてもチャレンジングで難しい、でも出来れば非常に仕事が楽しくなりそうですね。

 そのような患者さんとの信頼関係が出来れば、深く情報を得ることで更に医療としても良い仕事が出来るようになるのでしょう。車の両輪の様なもののように思います。

 最近、パスとか業務の画一化が質の担保にも寄与するとも聞きますが、それが出来たら次はその上に「オーダーメイドの仕事」を積み上げてオンリーワンの仕事をしたいものです。おそらくそれは患者さんのみならず、我々医療従事者にも満足を与えるもので無いかと思います。

 今回の患者さんのお陰で色々なことを考えることが出来ました。最後にとても嬉しかったのは「色々病院知ってるけど当院のHCUの看護師さん達、人間味があって良かった」とおっしゃっていたことです。私もとても嬉しくなりました。

早く元気になって退院していただけることを祈っています。ご趣味が「釣り」ということでまた趣味を楽しんで頂きたいものです。そして「良い意味」で当院に再び来院されないことも。