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愛と情熱の脳神経外科BLOG
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  1. 2018
2018.10.17

視野の広さ

簡単な手術を、研修医に預けることがあります。もちろん自分も清潔になって、いつでも代われる準備はしていますが。

彼らの動きをみていると、「きっと20年前、僕も先輩からこう見えていたんだろうな」と思わず微笑んでしまいます。

研修医とはいえプロですし、手術の全ての責任は僕にありますので、僕が手術する時の状態を完璧に再現してもらいます。簡単な手術とはいえ、彼らにとっては相当な重圧がかかるのでしょう。前夜に何回も手術書を読み、真剣な顔をして消毒前の術野を凝視している彼らなのですが、ベテランにはそこが可笑しい。

僕:「ちょっとチンダウン(患者さんの頭が立つこと)がきつく無い?」
研修医:「あ…ハイ!直します!」
僕:「手術ベッドの角度は、これでよかった?」
研修医:「あ…ハイ!直します!」
僕:「ライトの位置は適正?」
研修医:「あ…ハイ!忘れていました!動かします!」

みな術野ばかりを見つめすぎていて、周囲に目が配れないんですね。手術は周到な準備の上に開始されるものですから、ちょっとした頭部やベッドの角度、ライトの位置などで手術の難易度が随分と左右されます。もちろん簡単な手術ではそれほど手術の難易度に影響を与えることは無いのですが、手術が難しくなればなるほど、術前の細かな準備が手術難易度に大きな影響を及ぼすため、上級者程メスを握る前の準備にこだわります。彼らが将来行う手術を考えれば、ここで丁寧な手術準備を行わせることは非常に大切なことです。手術書にも最初に記載があるのですが、チンチンと音を立てそうなほど頭を沸騰させて緊張している彼らの中では、もうメスを握った後の事しか頭にありません。

まぁ、可愛くもあり、可笑しくもあります。

僕もそうだったなぁ。と。

経験を積むと、メスを握った時には手術が半分終わったような感覚になります。また、視野もどんどん広がります。手術用顕微鏡を覗きながら、視野の外にいる、外回りの看護師さんの位置まで感じられるようになってきます。「先生、後ろに目がついてるの?」と言われるくらいです。

彼らも10年たてば、そういわれるようになるのでしょうか。

もちろん脳外科で「術者」になるためには、様々なセレクションがあるのですが、できれば関わる研修医の先生みんなに、そうなってほしいと思いながら見守る僕であります。

写真は徹夜で緊急手術を終え、医局のソファで眠り込む若き術者さん(僕ではないです)

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