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愛と情熱の脳神経外科BLOG
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  1. 2018
2018.10.24

人間は必ずミスをする

20年前、僕が2年目の研修医だった時の話です。
1年目の研修医の後輩が、青い顔をして僕に電話をしてきました。

後輩:「先生、患者さんの頭、反対を剃ってしまいました」
僕:「ええっ!」

現在は術前の剃毛は可能な限り小さく行い、手術翌日に髪をおろせば傷がわからなくなってしまうほどですが、当時は大きく剃毛する時代でした。その上、その後輩には、いつも僕に「先生は大胆に剃毛するねぇ」と言われるほどダイナミックに剃毛する癖がありました。

慌てて手術室に駆けつけると、本当に反対側がバッサリと剃毛されています。
しかし患者さんは意識障害が出るほど重症であり、すぐに手術をしなければなりません。

僕:「すぐ裏返して、反対を剃毛しろ!手術を終えてから、僕も一緒に患者さんに謝るから」
後輩:「はい…。すみません…」

落ち込んでいる割には、後輩は反対側もバッサリ剃毛してくれました。
手術が終わった後、患者さんをベッドに戻したとき、近くにいた看護師が言いました。

看護師:「…モヒカン?」

悪いのは我々ですが、そういわれるとモヒカンにしか見えなかったので、非常に不謹慎ですが笑いをこらえるのに必死でした。

翌日患者さんにお詫びを申し上げたところ、患者さんは命を救ってくれたのだからと許して下さりましたが、手鏡をお渡しした瞬間、「とりあえず、今から髪の毛切りに行ってイイすか?」と聞かれたので、あぁ、やっぱり申し訳ないことをしたと思ったものです。

高名な脳神経外科医が、脳腫瘍の手術で反対側を開けてしまったという訴訟も起きています。

医療ミスはあらゆる場面で起こり得ます。「そんなバカな!」ということが実際起こるのです。だからこそ今でも僕は消毒前に5回は「左!左!」と患者さんの向きをチェックし、「今日は左であってるよね!左だよね!」と周りのスタッフにも確認します。ミスが存在しえる場所で絶対に油断しない。それが大事だと思っているからです。

ところで先日、研修で東京に行きました(台風で帰れなくなり、大変な思いをしましたが)。
その中でこのようなビデオが流れました。有名なので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
画面には、白い服の男女3人と、黒い服の男女3人が出てきます。
その中で、白い服を着たチームが、何回パスをしたかを数えてください。
画面が暗くなり、“How many passes did you count?”と表示されたら、いったんビデオを止めてください(37秒あたりです)。

…さて、何回でしょう?
会場には100人以上の医者が集まっていました。僕は「15回」に挙手しましたが、意外と少数派。16回とか、18回という先生も見えました。

正解は15回です。

それではビデオを再スタートしてください。

…気づきましたか?

会場で気付いた方は20%程度でした。僕も気付きませんでした。人間の目は、なんとあてにならないことか!
しかし、気付いた方も、「注意力散漫な可能性」があるそうです。

これは遊びですが、実際の医療で数え間違いも注意力散漫も許されません。
ただ愚直に、ミスを予防するため、決められたプロトコールを守ることが一番の安全への近道です。
最近、自分のプロトコールの順守に少し油断があったように思えるので、気を引き締めなければと思った次第です。

地域の先生方へ(紹介手順)