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2019.01.17

犬の名は - The Name of the Dog –


画像:パブリックドメイン

医療の世界には、雑誌というものが存在します。たかが雑誌と侮るなかれ。それぞれの雑誌には点数がふられており、そこに論文を載せることで医師には点数が加算され、学位が取れるやら、教授になるやら、熾烈な争いが繰り広げられている(という噂)のです。

その中で名実ともに世界のトップと仰がれる雑誌 ”The New England Journal of Medicine” に、こんな文章が載っていたので驚いたとともに、非常に感銘を受けたので、意訳してみたいと思います。

“The Name of the Dog”
Taimur Safder
The New England Journal of Medicine, 4 October 2018

 研修医として最初の日、苦しいほどの緊張を感じながら私は真新しい白衣に袖を通した。白衣は今まで使っていた安物と違い、少し長めで、少し重かった。私は白衣に新人医師が思いつく限りのもの – 3本のお気に入りのペン。キラキラと輝くリットマン・カルディオロジーⅢ(訳注:高級な聴診器です)、担当する肝硬変患者についての沢山の論文のコピー、そしてもちろん、信頼するサバティーニの紫本(訳注:研修医のバイブル)- を詰め込んだ。

 その日が終わるころ、私は汗だくで、そのせいで白衣はくたびれていた。上級医は私が必死に勉強したことについて思ったほど感動してもくれず、そして最悪なことに、お気に入りの3本のペンは1本残らず失くしてしまっていた。しかしポケットに詰め込んだ本の助けを借りて、その日はなんとか乗り切ることができた。なんとかうまく自分の役割をこなせたと思った。しかし、上級医に投げかけられたある質問が、頭の中をグルグルと回っていた。
 朝の回診で、犬の散歩中、胸痛を訴え入院した患者のプレゼンテーションをしていたところ、上級医がこう聞いたのだ。

 「で、その犬の名前はなんだったの?」

 困惑した。なぜ上級医がそんなことを聞きたがるのか分からなかった。私が読んできた教科書には、犬の名前が鑑別診断に役立つなどと書いてある本はもちろん1冊もなかった。しかし上級医は私を患者のベッドサイドに連れていき、私に犬の名前を尋ねさせた。

 「ロッキーだよ!」

 患者は答えた。その瞬間、私がその日、患者と話したどの会話より生き生きとした会話が始まった!その時はよくわかっていなかったが、犬の名前を尋ねたその質問によって、患者は、“白衣を脱ぎ捨てた一人の人間としての私”を初めて目にしたのだ。

 4年たった今、私は研修生活を通じて、この質問以上に有意義なものはなかったと信じている。

本文はもっと続きます。訳がつたないため、良く伝わらないかもしれません。本文は非常にリリカルなタッチで、読みやすい文章なのですが、いかんせん僕の和訳能力が…。

医師として、患者と同じ目線で、同じ人間としてふるまうことの大切さを説いた文章です。
自信のない医者というのは、ともすれば患者さんに対して高圧的になりがちです。しかし本当に優れた医師というのは、まるで隣に座って話を聞いてくれているような、そんな感覚をもたらしてくれるものです。またそうでなくては、本当の患者さんの訴えや症状を聴きとることはできません。
白衣をガチガチの鎧と感じているようでは、まだ研修医レベルです。真の医者であるならば、白衣など脱ぎ捨てて、患者の横に座り、人対人として、真剣に話を聞いてあげるべきなのです。
 疲れているとき。救急車が行列しているとき、ついついこの心を忘れそうになります。自戒を込めてこの文章を載せました。もしあなたが医療関係者なら、是非原典に当たってください。
 ちなみに本文は、こんな言葉で終わっています。

 もし私が、真新しい白衣に身を包んだ新しい同僚に毎年一つだけアドバイスをするならばこう言うだろう。「犬の名前はきちんと聞いておきなさい」

 ああー、自分の和訳能力にはほとほと愛想が尽きました…。

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