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2022.05.31

幼児体験について

 こんにちは今日は良い天気です。晴れてるし深呼吸しても新緑の香りがします。こんな日は午前中に仕事を片付けるに限ります。元学習塾の事務員ですが、子供達には午前中に勉強した方が良いよ、と言ってきました。

 さて、今日は幼児体験に関して。幼児と言っても私達の幼児はちょっと違って、学生実習や研修医時代になるのだと思いますが、とても印象に残っている事は皆さんの中にいくつかあるのではないかと思います。
 勿論、毎日の生活の中では出てくることはありません。ま、自分の臨床の中にそれが入っていることをわざと意識下に置いて自覚してやっている人間はいるでしょうがね。

 どの仕事でも一緒だと思いますが、その幼児体験は非常に大切な物になります。ですので、その体験をする場合には、その人にとって良い思い出・経験になるか、トラウマになるかです。
 蘇生科学の講習会では蘇生行為に関して実習や座学をやるのは当たり前なのですが、実は医療従事者のトラウマの問題に関しても議論されることがあります。あまり注目されない分野なのかもしれませんが、蘇生行為や急変に直面した後は「仕事だから・・」とそのままになることが多いのですが、医療従事者側に自分でも気付いていない目に見えない傷がついていることもあるのです。

 ですからこの業種には最初の間は指導医・プリセプターとかが必要であるのだと思います。特にこのような時は重要です。

先日、そのような事がありました。私もお手伝いに病棟に上がったわけです。色々指示を出しながら周りを見てみると廊下で所在なさそうにポツンと立っている学生さんがいました。
 皆さん、御存知のように当院は教育にも関与している施設です。研修医もおりますし、看護学生さんの実習にも協力させて頂いています。

 ちょっと状況が落ち着いた時に「どーしたの?」と聞いてみますと、大きな目をして私の方を見てくれました。ちょっぴり目が潤んでいるのを見て気付きました。「担当してたの?」と聞くと頷いてくれます。

 私達も患者さんの状況が悪くなる瞬間に直面することがあります。ですからいくら勘の悪い私でも「見たな」と気付きました。でも避けるべき事ではなく、適切に経験させてあげればその学生さんにとっては生きた臨床経験になるはずです。

 「一緒においで」って言って、処置を進めて行くのを見ていただきました。勿論、そのために処置のやり方が変わるわけでは無いですが、実習って教科書では書いていない現場を見て勉強させて頂く機会です。
 勿論、第一に患者さんの安全ではありますが、電子カルテ・ネット社会になろうとも医療業界の教育は現場(ベッドサイド)に基礎があると固く信じている楠山です。そこからの対応を見てもらうことも重要です。

 翌日その学生さんに会いました。心配していたのですが元気な笑顔を私に見せてくれました。多分、自分の経験の中に上手にしまってくれたのだろうと思います。後で師長さんや先生、指導役の看護師さんが適切に対応してくれたお陰だと思いますが・・。

 なぜ、私がそんなことを気にかけるか、ですか?その看護学生さんの目がとても純粋で綺麗だったから、が一つ(変な意味じゃ無くですよ!最近、怖いから)。でも、雨に濡れた小鳥のように立ち尽くしていたので。二つ目は私も同じ経験をしているからです。

 研修医1年目の時でした。実は患者さんの名前も覚えています。入院が長く私も仲良くさせてもらっていた患者さんです。朝回診したときは普通に話していたのですが、その日の採血で大きな異常が出ました。
 検査の異常値はもう一度確認しないといけませんので、採血の準備して集中治療室に入って「○○さーん、もう一回採血させてね」とお話ししながら準備していたら、突然意識を失ったんです。

 不整脈でした。集中治療室でしたのですぐにいろんな先生方や看護師さんがウワーって来て処置が行われていったのですが、私はみんなにはね飛ばされるように気付けば壁側に採血の用意を持ったまま突っ立っていました。

 一命は取り留めてくれましたが、その時の自分の力のなさ、役に立てないんだな(1年目ですから当たり前なんですが国家試験通った直後はできる!と思うのです。多分)、という無力感というか苦々しさを感じました。
 その時に「もっとちゃんと急変に強い医者になりたい!」と決意したことを覚えています。

 丁度、その学生さんのちょっと潤んだ目が(間違いだったらごめんなさい)、私の1年目の経験と一致したような気がしました。

 なかなか臨床現場では100点は取れません。それぞれのベストは尽くしますが、そのような仕事を選んだ彼女にとって何か大きな基礎になる日である事を祈るのみです。

 どの仕事もそうですが、社員教育ってありますけど、大人を教育するって難しいですよね(勿論、子供の教育も難しいですが)。単に教えることも必要ですが、成長する方向を上手く整える、というのも成人教育では必要なのかもしれません。

 いや~、難しい話になってきました。いつの間にかお昼になっていたので、そろそろお昼御飯にすることとします。
 ま、どうあれその学生さんが素敵な看護師さんになりますように。

 

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